西島秀俊のおせっかいさがクセになるドラマ「シェフは名探偵」
2024.1.7(日)
西島秀俊が人並外れた洞察力と推理力で、訪れた客たちの悩みや巻き込まれた事件を解決していくシェフを演じた連続ドラマ「シェフは名探偵」(2021年テレ東)。原作は、近藤史恵の人気小説「タルト・タタンの夢」「ヴァン・ショーをあなたに」「マカロンはマカロン」で、劇中に登場する絶品グルメ&謎解きのマリアージュを楽しめる、極上ミステリーだ。
©「シェフは名探偵」製作委員会
都内にある小さなフレンチレストラン「ビストロ・パ・マル」のシェフを務める三舟忍(西島)は、冷静沈着で穏やかだが、ひとたび気になることがあるとグッと首を突っ込んでしまう、少々おせっかいな人物。サラリーマンの高築智行(濱田岳)がくたびれたスーツ姿で来店した際には、その出で立ちを見ただけでリストラされたことをズバリ見抜き、ギャルソンにスカウトしたり、また素材の味を求めるあまり、凝ったフランス料理には目もくれない男性客の連れの女性には、「男性客と距離を置いた方がいい」と発言して女性客の怒りを買ってしまったり。はたまたデザートのチョコを一口食べて「まずい!」と激怒する男性客や、プロポーズを承諾したものの浮かない顔の女性客が気になって仕方がなかったり。
©「シェフは名探偵」製作委員会
三舟の言動には観察眼に裏付けされた推理があるのだが、初対面の客にとっては驚くことばかり...。だが、物語が進むにつれ、ゆっくりと紐解かれていく謎と共に放たれる三舟の推理と優しい言葉によって、クセの強い客たちの心もほぐされていく。西島の独特の雰囲気だからこそ、演じる三舟の言葉が心にスッと入って来て、客たちは不思議と納得し、温かな気持ちになるのだ。
©「シェフは名探偵」製作委員会
ミステリーながらほんわかする、そんな不思議な世界を作り出すのは、「TRICK」や「ATARU」を手掛けた監督・木村ひさし。三舟が客の気になるポイントを見つけてしまったときのギョッとする顔や、高築の困ったときのうろたえ具合、スーシェフ(副料理長)・志村洋二(神尾佑)を紹介する際のアイーンポーズなど、分かりやすいものから細かい芝居までコメディーのエッセンスが散りばめられている。木村の演出はもとより、それに応える役者陣も見事で、西島をはじめ、濱田、神尾の実力は言わずもがなだが、ソムリエ・金子ゆき役の石井杏奈や自由人なオーナー・小倉大輔役の佐藤寛太ら若手もこの秀作ドラマに色を添えている。また、橋本マナミが演じる謎の美女も気になるところ。三舟にたびたび会いに来てはヒソヒソと話をして帰っていく。その目的は?三舟との関係は?次々と謎が運ばれてきては、様々な人間ドラマを味わう、そして毎話、見終わったときには満足感と幸福感で満たされる。それはまるでフレンチのフルコースのように...。
文=石塚ともか
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