雪組スター・和希そらが人間の振れ幅を表現した宝塚歌劇「心中・恋の大和路」('22年雪組・日本青年館ホール)
2023.12.30(土)
「心中・恋の大和路」は、近松門左衛門による心中物「冥途の飛脚」を題材とした作品だ。歌舞伎や文楽ではしばしば上演される演目である。タカラヅカでの初演は1979年。好評につき再演を重ね、今回が5度目の再演となる。
飛脚問屋の主人・忠兵衛は遊廓に通い詰め、惚れた遊女・梅川を身請けしたいがために、店の金300両の封印を切ってしまう。その忠兵衛に挑むのは、宙組から雪組に組替えしてきた実力派の男役スター・和希そらだ。宙組時代に「夢千鳥」の竹久夢二(主演)、「プロミセス・プロミセス」のシェルドレイクなど、恋に関して一筋縄ではいかない役で引き出しを増やしてきた。そして、2022年に雪組に組替えしてきてからも「蒼穹の昴」の順桂、「双曲線上のカルテ」のフェルナンド(主演)などを演じ、男役としてのスケール感を増してきたが、残念ながら2023年12月〜24年2月の「ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル」での退団を発表している。
その和希が果たして忠兵衛という難役をどう料理して見せてくれるのか。それが今回の注目ポイントだった。まず、男役・和希そらの魅力であるアンニュイな色気が、忠兵衛という役にピタリとはまっていた。ふとこぼれ出る笑顔から、男の可愛らしさも感じる。
元々は亀屋の暖簾を守るべく忠勤に励んでいた真面目で不器用な男、そんな男が恋に狂っていく。だが、和希の忠兵衛からは、最後の最後まで、生き残る可能性に賭ける諦めの悪さのようなものも感じた。人間というのはとても弱くて、でも強い。その振れ幅を、和希の忠兵衛は感じさせてくれる。
夢白あやが演じる梅川は、壊れてしまいそうなはかなさで、でも一途で情熱的。「守ってやれるのは俺だけだ」と男に思わせる女性である。そんな梅川と、どこかに心の拠り所を求めていた忠兵衛、二人が出逢えば恋に溺れていくのは必然だと思えた。
凪七瑠海が演じる八右衛門は大人の男の余裕たっぷり。孤独な忠兵衛を受け止めることができる、ただ一人の友である。二人の絆は近松の原作よりいっそう細やかに描かれる。八右衛門が歌う「この世にただ一つ」には、温かみと優しさが溢れている。
タカラヅカ版オリジナルのキャラクターである手代・与平(諏訪さき)の純情と律儀、かもん太夫(妃華ゆきの)の風格と悟り。恋によって身を滅ぼす梅川・忠兵衛とは対照的に、恋によって救われ、まっとうな人生を歩む二人である。
藤屋(悠真倫)が手堅くまとめる宿衆たちの、冷たく硬い結束が不気味だ。彼らの存在が、梅川・忠兵衛の悲劇をさらに際立たせる。
モノトーンでまとめられた舞台装置が、迷える人間の心の闇のようだ。不協和音が多用される音楽も不安をかき立てる。とりわけ1幕ラストの「封印切り」の場面でのロック調の音楽が鮮烈だ。いっぽう2幕の道行は、タカラヅカらしくショーアップされた場面もあり、緩急自在な構成。
そして、「心中・恋の大和路」といえば、何といっても2幕ラストの雪山の場面だろう。恋に命を燃やし尽くした二人の哀しくも美しい最期である。その余韻を心ゆくまで味わいたい。
文=中本千晶
放送情報【スカパー!】
心中・恋の大和路('22年雪組・日本青年館ホール)
放送日時:1月6日(土)23:00~ほか
放送チャンネル:TAKARAZUKA SKY STAGE
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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