高島礼子の女優としての力量を痛感するドラマ「御宿かわせみ」
2023.12.27(水)
平岩弓枝のロングセラー小説「御宿かわせみ」は、江戸の小さな旅籠「かわせみ」を舞台に、旅籠を営む女主人・るいと、その恋人で与力の息子・東吾が仲間たちとともに事件を解決していく人情捕物帳である。1973年から連載がスタートし、2005年まで出版社を変えながら30年余りにわたって書き続けられた作品だ。1973年に若尾文子主演でドラマ化されたのを皮切りに、度々映像化されている。なかでも有名なのは、NHKで放送された、真野響子が主演した作品だろう。1981年の初回放送から、第2シリーズ終了の1983年まで計47回も製作され、真野の当たり役となった。東吾を演じた小野寺昭と共に、「かわせみ」ファンには2人のイメージがすっかり定着したはずだ。
だが、2003年4月に20年の時を経て「御宿かわせみ」が復活した。NHK金曜時代劇として、主人公のるいを演じたのは高島礼子である。相手役の東吾には、中村橋之助(現・芝翫)が起用された。20年ぶりとはいえ、前シリーズや原作小説のるいに思い入れのあるファンも多かったはず。スタッフはもちろん、高島にも相当なプレッシャーがあったと思われる。しかし、高島は、もともと原作小説の大ファンだったということで、キャスティングされる以前から「るい」という女性像が自分のなかでできていたとのこと。そのため、過去の作品を意識することなく、スムーズに撮影に臨めたと語っている。

確かに、劇中でるいが一途に東吾を愛する素直なまなざしの艶やかさ、さらに旅館の女主人としての風格など、高島演じるヒロインは、新たな魅力をもっていた。相手役の中村も好演し、全体的に大人のムードが漂う作品に仕上がったという印象だ。視聴者にも好評で、「御宿かわせみ~第二章」と銘打った第2シリーズの放送も決まり、1年後の2004年4月からスタートしている。第1シリーズでは、現場の気迫がこもった力強さが感じられたが、第2シリーズでは、前作の緊張がいい意味で緩和されて、柔らかな雰囲気が漂っていた。原作者の平岩弓枝も「いい意味で"緩み"が出て、それが味になっている」と第2シリーズの感想を漏らしたそうだ。

共演者やスタッフと気心も知れたことで、一体感が強まったのか。そんなムードのよさが旅籠「かわせみ」のもつ温かい人情世界にマッチしていたという印象だ。主人公2人の切ない恋物語を軸としながら、1話完結で事件を解決していくテンポの良さもさることながら、2人を取り巻く人々の個性も際立っていた。老番頭・嘉助を演じた小野武彦、出戻りの女中頭・お吉を演じた鷲尾真知子、剛直な旗本・麻生源右衛門役の井川比佐志といった味のある役者が揃い、画面を引き締めてくれている。
再び1年後の2005年5月には、金曜時代劇「御宿かわせみ~第三章」がスタート。一部キャストの変更はあったが、主人公2人はそのまま続投し、すっかり人気シリーズとして定着した。第3シリーズでは、定町廻り同心・畝源三郎を演じた沢村一樹が新鮮な魅力を放っていた。
本作の魅力は、やはり主演の高島礼子の好演によるところが大きいだろう。人気が高い作品のリメイクとなると、どうしても前作と比較されるので視聴者の見る目は厳しくなる。それでも、艶のある演技と映画「極道の妻たち」シリーズでも見せた風格を感じさせ、しっかりと自分なりの「るい」像を体現して演じきった実力は感嘆に値する。
見ごたえ十分な時代劇「御宿かわせみ」は、大人の鑑賞に堪える作品であり、時代劇の傑作のひとつとして大いに見る価値があるといえる。昭和のドラマファンにはもちろん大歓迎だが、できればこの機会に令和世代の若い層にもぜひ見てほしい秀作である。
文=渡辺敏樹
放送情報【スカパー!】
御宿かわせみ (高島礼子版) #1
放送日時:1月4日(木)12:00~
放送チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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