松山ケンイチと永山瑛太が初共演作で魅せる「鉄っちゃん」の化学反応
2023.2.26(日)

日本を代表するカメレオン俳優の松山ケンイチと永山瑛太(※本作の公開当時は瑛太)。両者とも演技力に定評があり、演じてきた役柄はさまざまだ。しかし、どの作品においても、しっかりと個性を出すことで観る者に強い印象を与えるところは一貫している。つまり、全方位的に演技のクオリティーが高いのだ。そんな2人の演技のコラボレーションが見られる作品が初共演作の映画「僕達急行 A列車で行こう」だ。
同作品は、森田芳光監督が十数年以上前から温め続けてきたオリジナル企画で、同作が遺作となった森田監督のこだわりが詰まったハートウォーミングコメディ。松山演じる大企業に勤めるマイペース男子・小町と、瑛太演じる実家の鉄工所勤務の小玉が、共通の趣味である鉄道を通じて出会い、「鉄ちゃん」ぶりで周囲を呆れさせながらも、幸せの輪を広げていく。

(C) 2012「僕達急行」製作委員会
大企業「のぞみ地所」に勤めるエリートサラリーマンの小町と、経営危機を迎えつつある「コダマ鉄工所」で働く小玉はふとしたきっかけで出会い、「鉄道好き」という共通の趣味で意気投合する。一方で、恋愛となると小町も小玉も趣味や仕事のようにはいかず、悩みを抱えていた。ある日、小町はそれまで住んでいたマンションを追い出され、小玉の紹介で「コダマ鉄工所」の寮に一時住まわせてもらうことに。そんな中、小町に九州支社への転勤辞令が下る。
ゆったりとしたテンポ感と独特の雰囲気、あえてワンカメで撮影した会話のシーン、細かい動きに付けた効果音などから創り出される森田監督ならではの世界観も作品の魅力なのだが、やはり松山と瑛太の芝居の掛け合いは関心を向けざるを得ない。

(C) 2012「僕達急行」製作委員会
松山が演じる小町は、彼女とのデートでも鉄道に夢中になり過ぎて振られてしまったり、九州への転勤が決まった際も九州の鉄道のことを思って、むしろ喜ぶ様子を見せたりと、超マイペースな役柄。一方の小玉は、モーター音で車両が分かるほどの鉄道好きだが、派手な女性にはめっぽう弱いという役柄で、瑛太は誰に対しても優しく真面目な男として役作りしている。どちらも他の作品にはない独特のオーラを纏った役柄を演じているため、それぞれのシーンも新鮮で楽しむことができるのだが、2人の掛け合いのシーンは必見だ。
境遇も、鉄道の楽しみ方も異なる2人なのだが、「共通の趣味で惹かれ合っているところ」「おだやかな性格で優しい」「相手を思いやる気持ちが強い」「朴訥な人柄」など、性格面で共通するところが多く、2人の掛け合いシーンこそが、それぞれの芝居の特徴を感じることができる。例えば、視線。松山は相手の目は見るが長時間続けて合わせることはしないのに対し、瑛太はまっすぐに目を見続けるなど、それぞれの演技で自身の役の個性や特徴を表現している。
似たキャラクターだからこそ、2人の名優がどう演じ、どう違いを出し、相手の芝居にどう返すのか、主演級の役者が心の底ではバチバチの真剣勝負を繰り広げているようにも見える。それほどに2人の芝居から生まれる演技の化学反応は、観る者の目をとらえて離さない。
森田監督が創り出す独特の世界観に浸りながら、2人の名優の芝居の違いと演技の化学反応も楽しんでみてほしい。
文=原田健
放送情報
僕達急行 A列車で行こう
放送日時:2023年3月4日(土)0:00~、2023年3月11日(土)15:15~ほか
チャンネル:WOWOWプラス
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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