声だけだからこそ堪能できる、桜井日奈子の圧倒的な表現力「主観ドラマ オートリバースの恋」
2023.12.23(土)
2024年でデビュー10周年を迎える女優・桜井日奈子。2014年から芸能活動を始め、舞台、ドラマ、映画、CM、雑誌と活動の幅を広げ、今や実力派女優の一人として活躍中だ。コミカルな学生役から朴訥な田舎娘役、クールなキャリアウーマン役までさまざまな役に千変万化する彼女の表現の多様さに魅せられているファンも少なくないだろう。そんな彼女の表現力が十二分に堪能できる作品が、1月15日(月)に日本映画専門チャンネルで放送される「主観ドラマ オートリバースの恋」(2020年1月12日NHK初回放送)だ。
同ドラマは、大手企業に勤める51歳の会社員・タロウ(声・小関裕太)の目線で映像が展開していくという"主観ドラマ"で、「30年後、江の島でまた会おう。お互いの人生が幸せだったかどうか確かめ合うの」という当時の彼女(桜井)との約束を果たすため、タロウが神奈川・江の島を訪れるさまが描かれる。
かなりチャレンジングな作品で、"主観"であるため目の前の景色とタロウの手ぐらいしか映らないのだが、移り変わる景色と共に2人の会話を軸に物語が展開していく。しかし、彼女の姿は映らない。その秘密は開始4分で明かされるのだが、実はタロウは彼女と30年前に行った江の島デートの録音テープを聴きながら、当時のデートをトレースしている。

つまり、桜井はクライマックスで現在の姿の彼女として登場はするが、ほとんどは声だけで姿が映っていないのだ。
芝居とは、表情や所作などを伴いつつ口調やトーン、言い回しなどを駆使して表現していくものだが、この作品では表情や所作といった目に見えるものを剥奪された状態で表現しなければならないにもかかわらず、桜井は隣にいるかのように感じるほどナチュラルに演じている。

そして、驚くべきは声だけにもかかわらず感情の変化を豊かに表していること。デート中、彼女の喜怒哀楽全ての感情が描かれるのだが、その移り変わりが絶妙で、それぞれの感情をグラデーションで見せる表現力たるや半端ではない。"岡山の奇跡"と称される美しいビジュアルのため、「桜井日奈子=演技力」というイメージよりもルックスの良さが強く印象に残りやすいが、この作品では圧倒的な表現力を惜しむことなく全面に出して繊細に機微を表している。
10年という長い期間女優として活躍し続けられるのは、ビジュアルだけでなく実力も伴っているからこそだ。そんな彼女の表現力だけを抽出して楽しめる作品は、この作品以外ないだろう。チャレンジングな作品の、これまでにない没入感を追求した挑戦的な面白さを楽しみながら、彼女の圧倒的な表現力を堪能してほしい。
文=原田健
放送情報【スカパー!】
主観ドラマ オートリバースの恋
放送日時:1月15日(月)19:30~ほか
放送チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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