「はぐれ刑事純情派 新春スペシャル(1999)」でシリーズ人気の秘けつを発見!藤田まことの芝居が作品にもたらしたもの
2023.12.14(木)
俳優、歌手、司会者として活躍し、さらにコメディアンとして一世を風靡した藤田まこと。悪を退治するダークヒーローから、渋く寡黙な父親役まで多岐にわたって数多くの役を演じ、代表作は枚挙にいとまがない。2002年にはその功績が称えられ紫綬褒章を受章した、日本を代表する名優の一人だ。そんな彼の数ある代表作の中でも、ドラマ「はぐれ刑事純情派」シリーズはドラマ「必殺仕事人」シリーズと双璧を成すもので、藤田といえば「現代劇なら安浦刑事、時代劇なら中村主水」と言っても過言ではないだろう。
そんな「はぐれ刑事純情派」は、1988年から2005年の全18シリーズまで続いた人気作で、スペシャルドラマや劇場版も制作された。藤田演じる山手中央署刑事課の安浦刑事が正義感と温かい心で犯罪に苦しむ人々に寄り添いながら事件を解決していく刑事物でありながら、登場人物たちの人間模様も魅力の一つ。出世や体面などにはとらわれず、常に人に寄り添いながら事件と向き合う安浦刑事に思わず胸が熱くなる名作だ。
レギュラー放送は基本的に1話完結であるため、1時間の中で事件の真相とその裏にある人と人の絡み合う情念が描かれているのだが、スペシャルとなるとその深みは倍増。事件の謎も人間関係のもつれもより深く丁寧に描かれ、放送時間は2倍でも魅力は4倍、8倍...と増えていく。そんな中で、2時間という時間の中だからこそ入っている"笑い"の要素に注目していただきたい。
(C)東映
例えば、1999年の元日に放送された「はぐれ刑事純情派 新春スペシャル」では、容疑者の女性が働くクラブのキャストたちは年齢も高く、店も閑古鳥が鳴いており、閉店の危機に陥っている。店長役の堀内孝雄は閉店を伝えるも、キャストたちから「この店がなくなったら行くところがない」と訴えられて困っている。捜査で来店した安浦刑事は客として強引に席に着かせようとするキャストたちに、ちょっと迷惑そうな顔を見せてあしらうのだが、その時の藤田の芝居にくすりとさせられる。迷惑そうでありつつ、早めに切り上げようとする芝居は、普段の人情厚いキャラクターとのギャップもあり、殺人事件の捜査なのだがつい笑わせられてしまうのだ。
その後、裏でキャストたちの再就職先を探したり、受け入れ先が見つからないとなれば刑事課の面々の協力を得て、店が繁盛するように手伝うという優しさも胸を打つ。藤田は、安浦刑事の不器用だが出会った事件に関係のない人々の面倒もつい見てしまうという人柄をコミカルさと共に表現しており、意識的に"お堅いだけではない作風"を形成しているのだ。そういった藤田のコメディアン気質が醸成する雰囲気こそが人気シリーズとして長く続いた秘けつといえるだろう。
(C)東映
犯人には厳しく、被害者に寄り添い、一般の人々にも優しいところに加え、藤田が紛れ込ませている、作品に緩急をもたらしているゆとりの部分の芝居こそが、作品に抑揚を与えて一流のエンターテインメント作品に仕上げているのだ。同スペシャルのエンディングでは、事件解決後の安浦刑事のはっちゃけた姿も描かれており、コメディアン時代を彷彿とさせる姿を披露し、そういった意味でもスペシャルな回となっている。
2時間スペシャルだからこそ描かれた藤田の芝居から人気シリーズの秘けつを感じてみてほしい。
文=原田健
放送情報(スカパー!)
はぐれ刑事純情派 新春スペシャル(1999)
放送日時:2024年1月1日(月)12:30~
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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