役所広司と吉沢亮がお互いを思いやる親子を演じ、家族をテーマにした映画「ファミリア」
2023.12.9(土)

役所広司が主演し、吉沢亮と親子役で共演した映画が「ファミリア」だ。タイトルはスペイン語で"家族"という意味で、本作に流れているテーマは家族の絆。役所演じる陶器職人の誠治と久しぶりに実家に戻ってくるひとり息子、学との関係が描かれつつ、隣町の団地で暮らすブラジル人たちとの交流を通し、彼らの家族愛と異国で働く葛藤もリアルなメッセージとして伝わってくる。

(C)2022「ファミリア」製作委員会
監督は初監督作品「油断大敵」で役所広司、柄本明と組み、「八日目の蟬」で日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞し、「銀河鉄道の父」でも役所とタッグを組んできた成島出。本作がクランクインしたのが2020年3月だったため、コロナ禍に突入し、撮影は一時中断。再開までに時間を要したが、本作で陶器職人を演じるために役所は陶芸家に基礎を習い、3〜4ヶ月もの間、自宅で練習に励んだという。日本を代表する名優が今なお役になりきるために努力を積んでいるエピソードには頭が下がる想いだが、実際、山里に暮らす誠治が黙々と作業をする様子が映し出されるオープニングのシーンや学と2人で土をこねながら会話する場面は、何とも自然で印象に残る。懐の深い父親を演じた役所と心優しい息子を演じた吉沢。人と人との繋がり、日本が抱える問題について考えさせられる。
■まるで本当の親子のような役所と吉沢の自然体の演技

(C)2022「ファミリア」製作委員会
妻を亡くし、人里離れた家でひとり陶器を焼き続けている誠治はアルジェリアに赴任している学が一時帰国し、現地で結婚した難民のナディアを連れて帰ってきたことを歓迎する。ナディアが幼い頃に紛争に巻き込まれ、両親を亡くしたことを知った誠治は日本に戻って焼き物をやりたいと息子に言われて反対をする。その理由は陶器産業が廃れてしまい、食べていくことが難しいから。のちに親子はトラブルに巻き込まれたブラジル人の若者、マルコスを助けたことがキッカケで隣町に住むマルコスの彼女や、そのファミリーたちのパーティに招かれることになる。夢なんてないというマルコスをまっすぐな視線で励ます学、パーティで一緒に踊ろうと誘われてテレる誠治。家に帰る途中でナディアが子供の頃に歌っていた歌を口ずさみ、それが難民キャンプで歌っていた曲だと知って誠治が思わず涙ぐんでしまうシーンでは、誰もが役所演じる父親を好きになってしまうのではないだろうか。そんなナディアを幸せにしたいと願うピュアな学もこの親にしてこの子あり。役所と吉沢が絡むシーンはそれほど多いわけではないのだが、本作の柱のような役割を果たしている。
■生命の危機の事件に巻き込まれていく役所の熱演に揺り動かされる
愛する息子をあえて突き放し、再びひとり暮らしに戻った誠治のところにマルコスたちが訪れ、焼き物に興味を示すが、マルコスとその友人たちはブラジル人を目の敵にしている半グレ集団から脅される過酷な日々を送っていた。そのリーダーが隣町を仕切る暴力団(松重豊)から"坊ちゃん"と呼ばれている冷酷きわまりない榎本(MIYAVI)だ。彼の憎しみの根源にあるのもまた"家族"。誠治の家は生命の危険にさらされ、それでも日本で生きていかなければならない彼らの駆け込み寺のような存在になり、誠治自身もまた自身の家族の危機に悲しみと憎しみを抱く事態の渦に巻き込まれていく。憎悪や癒えない悲しみに大人としてどう向き合うべきなのか。役所の深みのある人間くさい演技がそのことを教えてくれるようで、深い余韻を残す作品だ。
文=山本弘子
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