佐藤浩市と綾野剛の名演で描くヒューマンサスペンス「64-ロクヨン-」
2023.11.30(木)

主演映画『花腐し』が公開中の綾野剛。そんな綾野が、主演の佐藤浩市の部下を演じ、その濃厚な内容や、主演クラスのキャストが揃ったことでも話題となったのが映画「64-ロクヨン-」だ。原作は横山秀夫のベストセラー小説で、映画化された「半落ち」「クライマーズ・ハイ」の作家としてもおなじみ。「楽園」、「糸」、「春に散る」などで知られる瀬々敬久がメガホンを取った。

(C)2016映画「64」製作委員会
主演の佐藤が演じたのは、たった7日間しかなかった昭和64年に起きた少女誘拐殺人事件の犯人をとり逃した刑事・三上義信。物語は昭和64年から平成14年へと移り、三上は県警の広報官となっているが、先の事件の時効が1年後に迫ったこともあり、警察庁長官の意向により、再び「ロクヨン事件」に関わることになる。その三上の部下で係長の諏訪を演じたのが綾野だ。4年の年月が過ぎた今も、事件から時間が止まったような日々を過ごしている被害者の父親・雨宮を演じたのは永瀬正敏。事件当時、雨宮の自宅班だった刑事・幸田に吉岡秀隆、日吉に窪田正孝、三上たちの広報班と対立する新聞記者に瑛太、坂口健太郎、三上の元上司に三浦友和、警務課に滝藤賢一、仲村トオル、広報班の部下に警察の紅一点の榮倉奈々と、キャストの豪華さは目を見張るほどだ。
そんな精鋭揃いの俳優陣の中、確かな実力を持つベテラン俳優・佐藤と、演じる役によってガラリと印象が変わる綾野が本作で見せた演技とは?
■綾野は佐藤演じる三上を徹底して支える部下役

(C)2016映画「64」製作委員会
「ロクヨン事件」を再び追うことになった三上は、プライベートでも問題を抱えていた。引きこもりだった娘が家出して行方不明になっているのだ。14年前の誘拐殺人事件がよりリアルに感じる状況の中、三上は「ロクヨン事件」で被害者の自宅班の刑事をしていた日吉(窪田)が引きこもりになっていることを知り、さらには提出されていたにも関わらず明るみにならなかった"幸田メモ"の存在も耳にする。
一方で、交通事故を起こした加害者の名前を伏せている警察の対応に秋川(瑛太)を始めとする記者クラブの面々は激昂。この問題が拗れ、「ロクヨン事件」の長官取材をボイコットする事態にまで発展してしまう。騒動の中、調整に追われるのが綾野演じる諏訪係長だ。苛立ちながら「ボイコットが回避できるなら、記者たちに謝罪しましょう」と説得するも、三上は記者を信じて実名を公表すると宣言。熱血広報官の意向を汲み取り、怒って部屋を出ていこうとする記者たちを必死で止め、奔走する。諏訪の素の性格が出てくる場面は少ないが、記者たちの呼び方などからは諏訪の社交的で人懐っこい一面も覗く。
■葛藤しながらも立ち向かう上司の姿を見ながら成長していく諏訪
本作の後半では、「ロクヨン事件」を思わせる新たな誘拐事件が起こるが、三上は再び上から圧力をかけられる。そんな状況に諏訪は「匿名報道の誘拐なんて、暴動が起きますよ!」と声を荒げながらも、紛糾する現場で対応する。隠蔽体質の警察と対立し、14年もの年月の中でもがき苦しんできた男たちの闇と対峙する三上を演じる佐藤は、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を獲得したのも納得の迫力と深みのある演技。生気がなく、存在がミステリーそのものの永瀬が絞り出すように喋るセリフも胸に深く突き刺さる。
暗雲たちこめる重厚な物語の中、人生を賭けて戦う上司を演じた佐藤と、その背中を見て自身の感情を抑えて成長する若者を演じた綾野。その演技に注目しながら、事件の行く末を見届けてほしい。
文=山本弘子
放送情報【スカパー!】
64-ロクヨン-前編
放送日時:2024年1月1日(月)15:30~
64-ロクヨン-後編
放送日時:2024年1月1日(月)17:45~
チャンネル:WOWOWプライム
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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