チソンとの「おしどり夫婦」ぶりでも知られるイ・ボヨン主演の痛快な逆転劇!ミドル世代のヒロイン像が輝きを放つ背景とは?
2023.11.29(水)
フジテレビ系の"ハッピーアワー枠"で放送され再注目を集めるドロ沼の不倫劇「夫婦の世界」(2020年)のキム・ヒエ、お受験競争を題材にしたサスペンス「SKYキャッスル~上流階級の妻たち~」(2018年)のヨム・ジョンアら、近年の韓国ドラマ界ではミドル世代の女優が脚光を浴び、社会現象レベルのヒットを巻き起こしている。
彼女たちの年齢を感じさせない美貌にも目が奪われるが、作品の中毒性を生み出す要因の一つと言えるのが、なりふり構わず突き進む強烈なヒロイン像。最近でも「夫婦の世界」「SKYキャッスル」と同じJTBCドラマ「ポジション ~広告代理店の女王~」(2023年)が高視聴率を叩き出し、ミスコリア出身の主演女優イ・ボヨンが注目を集めたばかりだ。
12月11日(月)よりKNTVにてテレビ初放送される「ポジション ~広告代理店の女王~」は、ボヨン演じる大手広告代理店のクリエイティブディレクター、コ・アインが社内派閥や男女格差、権力争いを逆手に取り、トップにのし上がっていく姿をスリリングに描いたオフィスドラマ。
貧しく孤独な幼少期を過ごしたアインは、自力で大手広告代理店に入社。以来、成功を掴むことだけを目標に、誰よりも努力してきた。トイレで人知れず悔し涙を流し、壮絶な努力の末に"初の女性役員"の地位を手に入れるが、それはある目的で仕組まれた名ばかりのポジションだった。真実を知ったアインはやがて覚悟を決めて立ち上がり、旧態依然とした会社組織に華麗な逆襲を仕掛けていく。
韓国のケーブル局であるJTBCのドラマには、日本でも大ヒットした「梨泰院クラス」(2019年)や「財閥家の末息子~Reborn Rich」(2022年)に代表されるように刺激的な作品が数多くラインナップされている。本作も知恵と根性を武器に闘うアインの"強い女性"像が中毒性を生み出していく。
アイン役のボヨンは1979年生まれの今年44歳。結婚10周年を迎える俳優チソンとの"おしどり夫婦"ぶりは有名で、SNSでもその夫婦仲をたびたび公開。ミスコリア出身としても知られる美貌は、衰えるどころかさらに磨きがかかっている印象だ。
品のあるボヨンの黒髪ボブスタイルは、凛としたキャリアウーマン役がよく似合う。大きな広告コンペで勝っても表情一つ変えずに「慣れていますから。勝つことに」と、隙のないスーツ姿でクールに言い放つ初登場シーンでは、非の打ちどころのない完璧な女性像を見事に体現している。
だが、そんなコ・アインが実は"弱者"であることが次第に明らかになってくる。孤独で肩身が狭かった幼少期。華やかな広告業界にはそぐわない地味な学歴。出世に欠かせないコネクションもなく、生活感のない自宅の冷蔵庫にあるのは酒とつまみだけ。キッチンには睡眠薬のボトルだけが大量に並ぶ――そうしたディテールが必死に強がるアインの本当の姿を浮かび上がらせる。
必至に耐えてもがき苦しみながら、やっと掴んだ昇進。だが、それがただの"お飾り"だったことを知ったアインは深く傷つき、挫折する。全てを懸けた努力の末に勝ち取ったと思っていたものが、指の間から砂のようにこぼれ落ちていく無力感。演じるボヨンの痛々しいまでの絶望の表情に引き込まれる。
そして、どん底からの快進撃が幕を開ける。アインは立ち上がって「雨は止んだわ」と前を向き、持ち前の頭脳と度胸を武器に突き進む。絶望の表情から一転、淡々とライバルたちを蹴落としていくアイン。社会の裏側を知って、さらに一段階深みが増した彼女の自信溢れる微笑みは、ほれぼれするほど美しい。
アインの痛快な逆襲劇にハマる視聴者が続出し、JTBCの歴代視聴率ランキングでも上位にランクインした「ポジション ~広告代理店の女王~」。年齢を重ねるにつれ新たな輝きを放つイ・ボヨンの姿に魅せられることだろう。
文=酒寄美智子
放送情報【スカパー!】
ポジション ~広告代理店の女王~
放送日時:2023年12月11日(月)20:00~
※毎週(月)20:00~(2話連続放送)
チャンネル:スカチャン1(KNTV801)、KNTV
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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