内田理央の細部にわたる"神が宿る"演技と、視聴者の心を鮮やかにコントロールする小関裕太の演技の応酬に刮目せよ!
2023.11.28(火)
女性誌のレギュラーモデルとして活躍している一方、女優としても主演から助演までさまざまな役を演じる実力派である内田理央。竹内涼真主演の「仮面ライダードライブ」(2014~2015年、テレビ朝日系)ではアクティブなヒロインを演じたかと思えば、映画「血まみれスケバンチェーンソー」(2016年)ではふんどし姿でチェーンソーを振り回すスケバン役を、ドラマ「おっさんずラブ」(2016年ほか、テレビ朝日系)シリーズでは田中圭演じる春田のサバサバした幼なじみを演じ、近年ではドラマ「ポケットに冒険を詰めこんで」(2023年、テレ東系)で大手広告代理店に勤務するキャリアウーマンを熱演するなど、濃いキャラクターからナチュラルな役まで何でもこなす演技力を有した稀有な女優だ。
(C)「来世ではちゃんとします2」製作委員会
そんな彼女の数多い出演作の中でもドラマ「来世ではちゃんとします」シリーズは特別な作品で、ドラマ3シーズンとSPドラマ、配信でのオリジナルドラマまで制作されている人気の作品だ。同ドラマは、いつまちゃんによる人気四コマ漫画を実写化したもので、性的に"こじらせた"者たちが織り成す人間模様を、笑いをふんだんに盛り込んで軽快なタッチで描いたコメディ。内田は、セフレが複数人いる性依存系女子・桃江を演じている。
桃江だけでなく、隠れ処女のギャルや女たらしなイケメン、処女厨のセカンド童貞、ソープ嬢に真剣に恋してしまった男性など、主要登場人物たちは何かしら性的にこじらせておりキャラクターが渋滞しているのだが、なかなかどうして役者陣の細部にわたる役作りが奏功し、主軸のストーリーだけを抽出すればしっかりとした人間ドラマを紡いでいる。性的にこじらせている個性強めな登場人物たちにもかかわらず、リアルな社会で生きる我々同様にどうにもできない不安や悩みを抱えているところが人気の秘密といえるだろう。
(C)「来世ではちゃんとします2」製作委員会
中でも、セフレを複数人抱える女性・桃江を演じる内田は、桃江のつい流されてしまう性格だったり、セフレとの関係で承認欲求を満たしたり、その心の機微まで繊細に表現しておりしっかりと一人の女性として劇中を生きている。だからこそ視聴者は共感でき、観ていてつい応援したくなる。「セフレが何人もいる女性の思考なんて全然理解できない」などと思うなかれ。観れば桃江の葛藤や弱いところ、バックボーンまで知ることで、どこかに必ず自分との共通点が見つかり目をそらせなくなる。
そんな人物に仕上がっているのは、内田の演技力に他ならない。謳い文句だけ見ると大味の"色物"コメディに思われがちだが、桃江にフォーカスして注意深く観ると、声のトーンや口調、ちょっとした所作に至るまで、かなり細やかな役作りをして演じていることが分かる。例えば、たばこを吸う所作なのだが、かなり自然で愛煙家の所作を自分のものにしている。もちろん本人は喫煙者ではないのでかなり練習したのだろうが、不慣れな感じは全く見られない。ちょっとしたシーンでも、わざとらしさが見え隠れしてしまうと視聴者は敏感に気付いて冷めてしまうし、一度冷めると"笑い"の効果も半減してしまうため、特にコメディではタブーなのだが、しっかりと演じ切る演技力が見事である。まさに「神は細部に宿る」を体現していると言える。こういった細かいところまで表現することで、コメディの中に生きる登場人物に息吹を与えているのだ。
「来世ではちゃんとします2」製作委員会
一方、桃江の同僚で女たらしなイケメン・松田を演じる小関裕太も、内田に負けず劣らずしっかりとした演技で魅了。「来世ではちゃんとします2」(2021年、テレ東系)では、セフレの亜子(小島藤子)に女遊びがバレてしまうことで災難に見舞われるのだが、パンツ一丁で縛られて包丁を突き付けられるシーンでは、ゾッとする恐怖と共にそこはかとない"笑い"も紡いでおり、内田とは違ったアプローチなのだが、しっかりと(視聴者からの)憎まれ役を全う。しっかりと憎まれ役を作り上げているからこそ、視聴者の「自業自得だろう」というマインドを引き出すことに成功している。
「来世ではちゃんとします2」では、そんな似た者同士の2人がひょんなことから次第に心を通わせ始めるのだが、2人の付かず離れずの微妙な関係性での演技は必見。内田の細部にわたる"神が宿る"演技と、視聴者の心を鮮やかにコントロールする小関の演技の応酬に刮目していただきたい。
文=原田健
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