長澤まさみと斎藤工の感情表現を抑えた演技に魅了される映画『シン・ウルトラマン』
2023.10.31(火)
2016年公開の『シン・ゴジラ』でセンセーショナルな話題を提供した庵野秀明が、再び樋口真嗣とタッグを組み、特撮作品のレジェンドである「ウルトラマン」を題材として挑んだのが、2022年に公開された『シン・ウルトラマン』である。
(C)2022「シン・ウルトラマン」製作委員会 (C)円谷プロ
1960年代のドラマ「ウルトラマン」を現代に蘇らせ、通常兵器ではまったく歯が立たない巨大不明生物"禍威獣"が日常的に現れるようになった日本を舞台とする世界観。政府は、禍威獣対策の専門家チーム"禍特対"を設立。同チームに協力するウルトラマンの活躍を描いている。庵野秀明が企画・脚本、樋口真嗣が監督を務めた。ウルトラマンに変身する男・神永新二役の斎藤工をはじめ、長澤まさみ、西島秀俊、有岡大貴、早見あかり、田中哲司ら豪華な俳優陣が集結している。
本作においては、『シン・ゴジラ』に見られる政治ドラマ的なトーンは抑えめで、その分「ウルトラマン」の原点であるエンターテインメント性をより重視した印象が強い。そのため前作よりも俳優陣の果たす役割が強まった感があり、その中でも特に光っているのが主人公・神永の相棒となる浅見弘子役の長澤まさみだろう。
(C)2022「シン・ウルトラマン」製作委員会 (C)円谷プロ
浅見は公安調査庁より出向した禍特対の分析官。神永とバディを組むが、単独行動が多い彼に反発しがちだった。しかし、後に神永の正体を知り、絆を深めていく。クセが強い女性だが非常に魅力的で、強い個性を放っている。特に外星人のメフィラスに彼女が巨大化させられる場面はインパクト抜群で、劇中でも屈指の名シーンだ。女性キャラクターが巨大化されるという設定は、原作の「ウルトラマン」にもあるので、オマージュという形にもなっている。巨大化した自分の姿がSNSで拡散されて怒りを見せるなど、本作での長澤の感情表現はまさにチャーミングであり、女優・長澤まさみの魅力全開という様相を呈している。この場面に限らず、庵野・樋口コンビは共に「ウルトラマン」の大ファンであると公言していることから、原作に対する愛情とリスペクトが本作の前編に満ちていることも特徴と言えるだろう。
主人公の神永を演じる斎藤工も、役柄の特性を踏まえた抑えた演技で好演している。セリフ自体は多くないのだが、自らのセリフにもある通り「外星人であり、人間でもある」という複雑な立場の主人公を豊かに表現している。感情を排して語る場面が多く、難しい芝居を強いられているが、さすがの演技力を見せてくれる。また、禍特対専従班の班長・田村を演じる西島秀俊もリーダーらしい独特な存在感だ。さらに、中盤に登場し、物語のキーマンとなる敵役・メフィラスを演じる山本耕史の演技も極めて魅力的で、後半は彼を中心にストーリーが展開する形になっている。紳士的な態度で日本政府と交渉したり、公園のブランコに乗りながら神永と対話し、続いて居酒屋で酒を酌み交わすなど、ユニークで印象深い場面の連続だ。終盤には最強の敵・ゼットンが登場し、神永たちは人類の英知を結集させて挑もうとする。ラストシーンに至る怒涛の展開は感動的であり、画面にくぎ付けになるはず。
本作は半世紀前の「ウルトラマン」、そして以降のシリーズ作品へのリスペクトが込められた、いわば庵野・樋口コンビのラブレター的な映画だと言えるかもしれない。現代劇でありつつもノスタルジックな一大スペクタクルとして高い完成度を誇り、なおかつ「ウルトラマンシリーズ」がなぜ長年愛され続けているのか、という理由を教えてくれる作品にもなっている。
そんな長澤と斎藤の演技の対比も見られる映画である『シン・ウルトラマン』。おそらく多くの人が何度見ても純粋に楽しめる一作であることを思い知らされるはずだ。
文=渡辺敏樹
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