内野聖陽の演技が作品の不気味さを際立たせる!大竹しのぶの怪演も話題となったホラー映画「黒い家」
2023.10.15(日)
内野聖陽&大竹しのぶ主演のホラー映画「黒い家」(1999年)。原作は第4回日本ホラー大賞を受賞した貴志祐介の同名小説で、監督は「家族ゲーム」(1983年)、「失楽園」(1997年)などで長きにわたり日本映画界をけん引してきた巨匠・森田芳光が務めた大作だ。
(C)1999 「黒い家」製作委員会
内野が演じるのは、どこか気弱なサラリーマン。真面目で穏やかな性格が災いし、厄介ごとに巻き込まれていく。一方、大竹が演じるのはしゃべり方はおっとりしているものの、その目は虚空を見つめ、何を考えているのか分からない主婦だ。その夫(西村雅彦)もまた常に体を小刻みに揺らし、ぎこちない話し方をする癖のある人物。夫婦は小学校の同級生で、何の因果か再会してしまったことが悲劇の始まり...最恐のペアリングが醸し出す雰囲気だけでもゾッとするものがあった。そのほか、石橋蓮司、小林薫、鷲尾真知子などベテラン俳優陣が脇を固め、作品に深みを増している。
(C)1999 「黒い家」製作委員会
暑い夏のある日、保険会社に勤める若槻慎二(内野)のもとに「自殺の場合でも保険金はおりますか?」という相談の電話がかかってくる。自殺をほのめかす女性の口ぶりに、何とかやめさせようと説得する若槻。その直後、顧客の菰田重徳(西村)から指名され、担当でもないのに...と首をひねりつつも菰田家へ向かうことに。重徳に言われるがまま部屋に入っていく若槻。ふすまを開けると、そこにいたのは首を吊った長男だった。
後日、保険会社に菰田の妻・幸子(大竹)がやって来る。息子を失った悲しみはみじんも見せず、「保険金まだ?」と若槻に詰め寄る幸子。次の日からは重徳が来ては保険金の催促をし、長時間に渡り居座る事態に。実に執念深く、常軌を逸した行動を取る菰田夫妻に不信感を抱いた若槻は、社内の調査とは別に個人的にも調べてみたいと願い出る。そんな折、若槻の恋人で心理学を学ぶ黒沢恵(田中美里)と犯罪心理学の専門家・金石克己(桂憲一)が菰田夫妻の特異性を指摘し、さらにサイコパスの可能性まで浮上してくる。そして事態は最悪の方向へ、若槻の周囲の人々まで巻き込み、急展開を見せていく。
"保険金殺人"というセンセーショナルな事件をテーマにし、中盤から明らかになっていく菰田夫妻の異常性にゾクゾクが止まらない。ホラー映画ならではのショッキングな映像、細部までこだわったカメラワーク、随所に森田監督の手腕が感じられた。登場人物のセリフ回しにも人間性が現れ、どんどん引き込まれていった。登場人物と言えば、エンディングに流れるクレジットに驚かされた。営業マン役で原作者の貴志祐介、出前持ち役で歌手の山崎まさよしの名があったのだ。本筋のホラー部分はもちろん、そんな遊び心も楽しめる作品だ。
文=石塚ともか
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