ツンデレ男を演じさせたら日本一、坂口健太郎と東宝シンデレラの天才子役が共演した「Dr.チョコレート」
2023.9.30(土)
塩顔男子だけに塩対応がハマる坂口健太郎。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の北条泰時のような素直な役柄も、「おかえりモネ」の菅波医師のような物静かな役も演じてきたが、ツンデレキャラの印象が一番強い。「コウノドリ」の白川医師、「東京タラレバ娘」のKEY、「婚姻届に判を捺しただけですが」の百瀬、「競争の番人」の小勝負など。坂口が演じるツンデレ男が、ヒロインや女性キャラに対してちょっと上から目線で冷たい態度を取り、彼女たちと衝突。物語はいつもそこから始まる。
しかし、ツンデレであるからには、最後にはデレる。ヒロインの後ろ姿を見守ってフッと微笑む程度から、「君のことが大好きなんだ!」と抱きしめる超ハッピーエンドまで、レベルの差こそあれ必ずデレるし、時にはデレデレの大甘にもなるので、毎回、それを見届けたくなってしまう。
日テレプラスで10月に一挙放送される「Dr.チョコレート」で演じた「Teacher(ティーチャー)」こと野田哲也もそうだ。一緒に行動している寺島唯(白山乃愛)は10歳の少女だが、彼女を甘やかすことはなくクールに接しているし、野田を伝説の闇医者「Dr.チョコレート」だと思って接近してくる新聞記者・奥泉渚(西野七瀬)にも冷たい。
それもそのはず。野田は元医師で、唯は2年前に何者かによって殺された先輩医師の娘。父親仕込みの外科医の知識とスキルを持つ彼女に高難度の手術をやらせ、1回1億円の報酬をもらって医師法違反をしまくっているという世をはばかる立場なので、近寄ってくる相手を警戒するのも無理はないのだが...。野田は唯の両親が爆破で殺されたとき、腕を負傷し、現在は義手を使っている。
(C)NTV
唯がいくら天才的な腕を持つといえども、ひとりでは手術はできない。そこで野田は、唯のために優秀な腕を持つ麻酔科医・座間味和直(小澤征悦)ら6人のスタッフを集める。報酬は1人1回1千万円。ちょっと金銭感覚の狂った、手塚治虫の漫画「ブラックジャック」のようなチームだが、みんなお人好しで、雰囲気はほんわかしている。
そんな漫画のような設定や、大人並みの頭脳を持つ少女という設定は、いかにも「金田一少年の事件簿」などを放送してきた日本テレビの土曜ドラマ枠らしいテイストで楽しめるが、映画「ヘルドッグス」で2022年日本アカデミー賞優秀助演男優賞を獲得した坂口が本領を発揮するのは、終盤、野田が自分でメスを握り手術をしなければならなくなる場面。外科医にとっては生命線である手を失った苦悩と挫折感、唯への親のような愛情と友情を顔に滲ませる。果たしてその手術は成功するのか。そして、野田は医師としての自分を取り戻せるのか。ライトな娯楽作だとわかっていても、坂口の熱演に引き込まれてしまう。
これが連続ドラマ初のヒロイン役となる白山の安定した演技もすごい。2022年、第9回東宝シンデレラのグランプリに史上最年少で選ばれた彼女は、東宝シンデレラの先輩である長澤まさみに似ている。外ハネのヘアスタイルと童話絵本から抜け出してきたかのようなワンピースがかわいらしく、撮影中は坂口のことを優しいお兄さんとして慕っていたようだ。
(C)NTV
ドラマは唯たちが復讐を果たすリベンジものだが、野田が「新聞記者の女」とツンなあだ名をつけた渚との淡いラブ展開もあり。最終回では期待にたがわず、「またデレた~」と笑いながら見終わることができるはずだ。
文=小田慶子
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