新垣結衣と大泉洋が夫婦役で紡ぐ奇跡の物語!映画「トワイライト ささらさや」
2023.9.29(金)
新垣結衣が初めて母親役を演じ、大泉洋と夫婦役で初共演したのが映画「トワイライト ささらさや」だ。身近にいる大切な人の存在を思い出し、考えずにはいられなくなる、そんな本作の原作はファンタジーとミステリーを融合させた加納朋子による小説「ささらさや」。
新垣は突然の交通事故で夫・ユウタロウ(大泉)を亡くし、生後間もない我が子・ユウスケと2人で生きていかなければならなくなった妻・サヤを演じている。夫の死後、サヤは生前の叔母が住んでいたノスタルジックで不思議な田舎町「ささら」で暮らすことになる。幼い頃に両親を亡くしたサヤは、親の愛を知らずとも、まっすぐ素直に育った女性だ。そんな人を疑わず、どこか頼りない妻のことが心配で心配でたまらないユウタロウは成仏できず、自分の姿が見える人間に乗り移ってたびたびサヤをサポートしようとする。町の人たちの優しさに助けられながら強く成長していく子育て奮闘中の母親を、新垣が自然体な演技で表現し、観る人たちの涙を誘った。
■ゴーストになった夫と夫婦喧嘩する新垣がチャーミング
ユウタロウとサヤの出会いは寄席。売れない落語家のユウタロウの噺を聞いた唯一笑ってくれたのがサヤだった。その後、2人は結婚するものの、サヤは幼子と路頭に迷うことになる。ユウタロウの葬儀に駆けつけ、棺桶の中のユウタロウに向かって「バカモン!」と怒鳴る威圧感のある男性(石橋凌)にサヤは驚くが、それはユウタロウが妻に存在を隠していた実の父親だった。その光景を見て焦った幽霊のユウタロウは、葬儀に来ていた落語家の師匠(小松政夫)に乗り移り、サヤと子供を父親から逃すことに成功する。
(C)2014「トワイライト ささらさや」製作委員会
そして、サヤが電車に乗って辿り着いた町が亡き叔母が暮らしていた「ささら」だった。近所のお節介で優しい妙齢の女性たち、お夏(冨司純子)、珠子(藤田弓子)、久代(波乃久里子)に助けられながら、サヤはなんとか町で暮らしを営んでいく。
ほっこりさせられるのは、ユウスケの入浴を手伝ってくれたお夏にユウタロウが乗り移り、夫婦喧嘩が始まるシーン。父親がいることを黙っていたことを怒り、「真打にもなれなかった」、「旅行にも行けなかった」と溜まっていた不満をぶつけるサヤに「死んじゃったんだから、しょうがねーだろ」と身も蓋もないことを言い返すやりとりでは、新垣のかわいさが全開。結婚当時はわからなかったお互いの秘密や本音が明らかになっていく。
■どんどん頼もしい母親の顔になっていく新垣の演技に注目
本作の公開は2014年なので、新垣は当時20代半ば。それまでは女子高生など、実の年齢より年下の役を演じる機会が多かったことを思えば、本作は新垣にとっての挑戦作だと言えるだろう。
ついにサヤがいる場所を突き止め、ユウタロウの父親から電話がかかってくるシーンでは、再びユウタロウがサヤのことを心配して手を尽くそうとするが、サヤは「父親に会って、自分がちゃんと子供を育てていくことをわかってもらう」ときっぱり宣言する。さらには「ユウタロウと父親を和解させたい」とも。毅然とした態度で自分の覚悟を伝える新垣の演技は、立派な母親の顔つき。やがて2人で抱き合って涙し、無念の死を遂げたユウタロウのことを思いやる懐の深さを見せるシーンは、本作での新垣の見せ場と言えるだろう。
引きの映像で映る「ささらの町」はミニチュアのようでメルヘンの世界。そんな場所で起こる小さな奇跡の物語はファンタジーに思えて、「目には見えないだけで、もしかしたらこんなことが起こっているのかも」と思わせる不思議な力もある。大泉と新垣の掛け合いや演技に注目しながら、夫婦の絆と奇跡の物語を見届けてほしい。
文=山本弘子
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