プロスケーター・羽生結弦がちょんまげ姿でお殿様の演技に初挑戦した映画「殿、利息でござる!」
2023.2.21(火)
スケーター史上初、東京ドーム単独アイスショー「GIFT」(2月26日(日)開催)のチケットがソールドアウトしたことも話題の羽生結弦。フィギュアスケートでの華々しい活躍はご存知の通りだが、羽生が俳優として唯一出演した映画が、阿部サダヲ主演のコミカルで泣ける時代劇「殿、利息でござる!」だ。同作は、3月12日(日)に時代劇専門チャンネルにて放送される。
実話をもとに制作された本作は江戸中期の仙台藩の小さな宿場町が舞台。破産する者や夜逃げする者が後を絶たない現状を救おうと立ち上がる造り酒屋の青年・十三郎を阿部が、十三郎の良き相棒である茶師の篤平治を瑛太(現・永山瑛太)が演じている。羽生が演技初挑戦で演じているのは実在の人物、仙台藩藩主・伊達重村。阿部を始めとする俳優陣は、羽生の撮影当日まで殿を誰が演じるのか知らされていなかったというエピソードにも驚かされる。人々が立ち寄る居酒屋の女将を竹内結子が演じ、十三郎の弟で宿場町いちばんの造り酒屋、浅野屋の主を妻夫木聡が演じているほか、松田龍平、千葉雄大、ジャニーズWEST重岡大毅、寺脇康文、西村雅彦(現・西村まさ彦)、草笛光子、山崎努(※「崎」は正しくは「立さき」)などキャストも豪華で、全員が期待を裏切らない演技。羽生の出番はわずかだが、ちょんまげ姿に豪華な和服で登場するシーンはレア中のレアだ。

■貧しい宿場町を再生させるためのアイデアは殿にお金を貸すこと
衰退していく宿場町を何とかしたいと頭を抱えていた十三郎が何か案はないのかと居酒屋で篤平治に迫り、「利息でござる」と呟いたことで事態は動き出していく。仙台藩が財政難に陥っているのを知っていた篤平治は、殿にお金を貸し付け、利息をもらうことをその場で思いついたのだ。アイデアを出したのは篤平治で、実行に移すために最初に動き出したのは十三郎。目標は千両(3億円)をなんとかして集めること。私欲を捨てて、人々のために奔走する2人の心意気に感動し、仲間が増えていく物語はホロッとさせられるシーンが多いのにコミカルで軽やかでどこかカラッとしている。松田が演じる仙台藩の財政を預かる役人の萱場だけは冷酷でジメッとしていて異彩を放っているのだが、計画の障害になる彼の後ろには羽生演じる殿がいるのかと思うと、いつ姿を現すのかとワクワク。ちなみに仙台市は羽生の地元。そんな縁もオファーを受けた理由のひとつだったのかもしれない。

■風のように現れ、去っていく羽生の爽やかな佇まいに目を奪われる
殿は萱場から話を聞いて十三郎たちのもとに颯爽と現れる。私財をなげうったために潰れかかっている造り酒屋、浅野屋を救うため、お酒の銘柄を書いた半紙を掲げるシーンは若き殿にふさわしい清々しさと存在感。萱場の前で十三郎が語った父からの教えについて言及するなど短いシーンの中に重要な台詞も盛り込まれている。映画初出演にもかかわらず、大トリが出てきた感を漂わせているのはさすが。十三郎たちを呆然とさせ、風のように去っていき、涼しげな印象を残す。
文=山本弘子
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