市原隼人が主演の異色グルメドラマ「劇場版 おいしい給食 卒業」で見せた多幸感溢れる表情
2023.9.13(水)
市原隼人が給食マニアの教師・甘利田幸男を演じる人気シリーズ「おいしい給食 season3」が10月からスタートする。市原が演じているのは、給食の時間になると人格が変わってしまう教師。今回のドラマでは甘利田が北の大地・北海道の忍川中学に転勤して1年が経ってからの日々が描かれるが、その流れは2022年5月に公開された「劇場版 おいしい給食 卒業」を汲んだもの。映画の後半で甘利田は函館に転勤することが決まり、その時から北海道の給食を楽しみにしていたのだ。
そもそも「おいしい給食」は完全オリジナル脚本により、2019年に放送がスタート。"給食絶対主義者"の甘利田と給食愛に満ちた生徒・神野ゴウ(佐藤大志)のどちらが給食をおいしく食べるかという闘いを描く学園グルメコメディ。時代は1980年代。携帯電話がなく、コミュニケーションのとり方もアナログで、どこか呑気だった昭和の終わりだからこそのストーリーは複雑さがなく癒やしモードだ。
そこからの人気を受けてシリーズ化し、映画化第2弾となった「劇場版 おいしい給食 卒業」で、市原が見せた振り切った演技を振り返ってみよう。
■これぞ多幸感!陶酔した市原の表情に羨ましくなる
(C) 2022「おいしい給食」製作委員会
1986年秋、黍名子中学に勤務する甘利田は受験生の担任になり、神野が転校してきたことでライバルと再会することになる。甘利田は普段は厳しく、規則を破ると理詰めで生徒を追いこんでいく面倒くさいタイプの先生だが、職員室では献立表を真剣な顔で眺め、給食の時間になるとモチベーションが一変。食べる前にはみんなで校歌を歌って一体感を高め、クラスの誰よりも笑顔で全力の振り付けで歌い、今日の献立に真摯に向かい合う。1つ1つのメニューを吟味し、心の中ではウンチクと食レポが止まらない。その陶酔の表情たるや、幸せオーラ全開だ。
(C) 2022「おいしい給食」製作委員会
給食中、甘利田はコッペパンに頬擦りするほど"甘利田ワールド"に入り込んでいるのだが、ふと冷静になると宿敵の神野が、給食に一手間かけたオリジナルメニューを楽しんでいるのが目に入る。甘利田が授業中に言った「受験に成功したければメシに集中しろ。よく噛めばブドウ糖が出て脳を活性化する」という言葉を実践する姿を見て悔しがる甘利田に向けられるのは、ライバル・神野の余裕の笑み。忙しいほど表情が変わる市原の振り切った演技に笑わずにはいられない。
■「食を分け合うというのは、もはや配偶者」という名セリフがじわり
学年主任の宗方早苗(土村芳)との駄菓子屋での会話がきっかけで生まれるハプニングも描かれる中、甘利田は給食センター便りに書かれてあった新給食試食会に変装して参加し、自分や子供たちにとってかけがえのない給食に危機が訪れかけていることを知る。それはヘルシーという名のもとに作られた味も素っ気もないメニューが試食会に並んでいたことだ。かくして給食は変革期を迎えることになる。
本作でじわりとくるのが、甘利田が進路相談の時に宗方に発する「食を分け合うというのは、もはや配偶者ですから」という言葉だ。当然、宗方は独自の甘利田哲学に「は?」という顔を見せるのだが、本人は無自覚でありながら、性別を問わず、このセリフに「なるほど〜」と思わせられる場面が登場するのがハートウォーミングである。
長きにわたる神野との関係に卒業によりピリオドを打たれるまでが描かれた物語の中、バトルを繰り広げてきた2人は食欲とテンションを落とす給食の危機にどう立ち向かうのか?ドラマ最新シーズンが始まる前に見れば、より楽しめるはずだ。今作でも見事なまでに発揮されている市原の振り切った演技に注目しながら見てほしい一作だ。
文=山本弘子
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