妻夫木聡と池脇千鶴の繊細な演技が今も色褪せない!キュートで切ないラブストーリー「ジョゼと虎と魚たち」
2023.9.11(月)
人気作家・田辺聖子による短編小説「ジョゼと虎と魚たち」。1985年に刊行されて以降、世代を超えて愛されるロングセラーとなり、2020年には長編アニメーション映画化、韓国でも再実写映画化するなど、発表から40年近く経つ今も強い影響力を持つことを証明した。その人気をより確かなものにしたのは、2003年の実写映画「ジョゼと虎と魚たち」だろう。
(C)2004「ジョゼと虎と魚たち」フィルムパートナーズ
本作は、足の不自由な少女と平凡な大学生の切ない恋の行方を描いたラブストーリー。大学生の恒夫は、バイト先の麻雀店から帰る途中で、老婆の手を離れて坂道を転げ落ちてくる乳母車と遭遇。その中にはひとりの少女が身を隠していた。足が不自由で歩けない彼女は、ときどき祖母に乳母車を押してもらっては気ままな散歩を楽しんでいた。愛読書であるフランソワーズ・サガンの小説のヒロイン名から自分を「ジョゼ」と称する風変わりな彼女に、恒夫は少しずつ心惹かれていく...。
(C)2004「ジョゼと虎と魚たち」フィルムパートナーズ
恒夫を演じたのは、初主演映画「ウォーターボーイズ」(2001年)のヒットや人気ドラマ「ランチの女王」(2002年)への出演など、人気俳優としての地位を確立しつつあった妻夫木聡。どこにでもいそうな、ごく普通の大学生を等身大で演じている。ジョゼの手料理を美味しそうに食べる姿も愛らしい。相手の懐にすっと入り込む嫌味のない人たらしぶり、ジョゼに振り回されながらも心を通わせていく様子も自然だ。
ジョゼを大切に想う気持ちに嘘はないが、ずっと一緒に生きていく覚悟までは持てずにいる。ふとした表情に、中途半端な優しさを悪気なく振り撒く青臭さをのぞかせる。精神的な未熟さや情けない部分まで、妻夫木が繊細に表現した。
(C)2004「ジョゼと虎と魚たち」フィルムパートナーズ
足の不自由なジョゼは、池脇千鶴が演じた。ジョゼは出会い頭の恒夫に向けて包丁を振り回し、関西弁で躊躇なく毒づく。おばあが近所から拾ってきた本を読み漁って学んだ知識を淡々と語る。恒夫が改造してくれた乳母車から転げ落ち、見上げた空の雲を持って帰りたいと呟く...。
不思議な魅力に溢れる少女を池脇が好演している。祖母と2人の小さな家で暮らしながらも、広くて大きい外の世界を愛し、強く自由な心を持っているジョゼ。隣で眠る恒夫に語りかける達観した表情、一人台所で魚を焼く横顔も印象的だ。どこか遠くを見つめる瞳は、静かに現実を受け止めている。王道ではない風変わりなヒロインを、池脇が強かに愛らしく、魅力的に演じ切った。
(C)2004「ジョゼと虎と魚たち」フィルムパートナーズ
また、人たらしな恒夫を取り巻く女性たちにも豪華なキャストが出演している。ブレイク前の上野樹里や江口のりこが披露した体当たりの演技も見どころだ。さらに、監督を務めた犬童一心は、本作を経て映画監督としての頭角を現し、「メゾン・ド・ヒミコ」(2005年)や「眉山」(2007年)、「グーグーだって猫である」シリーズなど、良質な作品を生み出す名監督となった。本作でも2人の恋の美しさも儚さも現実味を持って繊細に描写している。
リアルで切ない等身大のラブストーリーが大きな話題を集め、ロングランヒットを記録した「ジョゼと虎と魚たち」。主人公カップルを体現した妻夫木と池脇の自然体の演技が、今も色褪せない青春映画の金字塔を生み出した。
文=中川菜都美
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