謎に包まれた武将・明智光秀を長谷川博己が演じた大河ドラマ「麒麟がくる」
2023.9.5(火)
公開中の映画「リボルバー・リリー」で、ヒロイン演じる綾瀬はるかのサポートをする弁護士役を演じている長谷川博己。そんな長谷川が明智光秀役を演じたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」がチャンネル銀河で放映される。本能寺の変で主君の織田信長を倒した明智光秀には謎が多く、なぜ謀反を起こしたのか諸説あり、これまであまりフューチャーされることはなかった。脚本を手がけたのは大河ドラマの脚本は「太平記」以来2度目となる池端俊策。人間の内面を表現できる俳優という池端の希望により長谷川が抜擢され、明智光秀と織田信長をこれまでにない新しい解釈で描いた。物語は青年時代から展開。美濃の明智家に生まれ、身分は高くないものの正義感が強く知的な若者、明智十兵衛は鉄砲という武器を初めて見たことで衝撃を受け、「外の国を見てみたい」と主君、斎藤道三(本木雅弘)に申し入れる。
条件は鉄砲を仕入れてくることと名医を見つけてくること。旅先で出会った京の医師、東庵(堺正章)の助手をしている駒(門脇麦)から聞いた「麒麟というのは穏やかな世の中にやって来る不思議な生き物」という言葉に明智は感銘を受け、いつか平らかな世の中が来ると願い、使命感を持って生きていく。自分本位ではなく、父や母から言われたこと、生前に斎藤道三が言っていた「大きな国を作る」という言葉を胸に武士として真っ直ぐに生きた明智を長谷川が爽やかに感情豊かに演じている。
■表裏のない実直な性格、青年期の十兵衛(明智)は恋愛にも不器用

本作での十兵衛はふだんは穏やかだが、世の中を憂い、無駄な血が流されることを見て見ぬふりはできない男として描かれている。京に初めて行った時に世話になった松永久秀(吉田鋼太郎)、そして三好長慶(山路和弘)の暗殺計画を偶然、耳にした時は室町幕府の将軍・足利義輝(向井理)の館に向かい、幕臣の三淵藤英(谷原章介)と後の盟友となる細川藤孝(眞島秀和)に助けを求めに行く。父から武士の魂を引き継いでいる十兵衛は「これは私情で申し上げているのではありません! 武士の一人としてお願い申し上げているのです!」と必死で説得。やりとりを裏で聞いていた義輝も動くことになる。後に織田信長(染谷将太)の暗殺が企てられていることを知った時も十兵衛はその知力と行動力で京を収めるほどの力を持った松永のもとを訪ね、道三の嫡男である斎藤義龍(伊藤英明)の計画を未然に防ぐ。実直であるゆえ、恋愛にも不器用で道三の娘であり、幼なじみの帰蝶(川口春奈)に愛されていることを知りながら、美濃のために信長のところに嫁ぐよう進言する辛い役目を果たすことになったり、つねに十兵衛を心配して慕っていた駒にもあえて距離を置く態度をとったりしてしまう。
■織田と明智。その深い絆を長谷川と染谷が魂の演技で表現

うつけものと言われていた信長を明智が最初に見たのは海で無邪気に漁をし、町人たちに魚を売っている姿だった。同じように今の世はおかしいと感じていた2人の絆は深まり、帰蝶の存在もあって、やがて明智は信長の家臣となる。本作では信長は親にも兄弟にも愛されなかった孤独を抱えた人物として描かれ、初めて褒めてくれたのが帰蝶と明智。それゆえに絶対的な信頼を置いていたと思わせられる。権力を持つに従って尊大になっていく信長に失望した明智はついに信長暗殺へと舵を切る。本能寺に攻めてきたのが明智だと知って「そうか。十兵衛か。であれば是非もなし」と声をあげて笑う染谷の演技、苦悩の表情を浮かべ、燃える本能寺を見て涙を浮かべる長谷川の無言の表現は息をのむほど。新たな明智光秀を演じきった。
文=山本弘子
放送情報
大河ドラマ「麒麟がくる」
放送日時: 2023年9月25日(月) スタート(月~金)8:00~9:00
※25(月)のみ8:00~9:30
チャンネル:チャンネル銀河 歴史ドラマ・サスペンス・日本のうた
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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