数々の俳優賞を受賞した、岸井ゆきのが繊細な心を表現した映画「ケイコ 目を澄ませて」
2023.8.15(火)

2009年に女優デビューした岸井ゆきの。2017年の初主演映画「おじいちゃん、死んじゃったって。」で第39回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、2019年の主演映画「愛がなんだ」で第43回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。また、今年4月から始まった日曜夜10時の新ドラマ枠第1弾となったドラマ「日曜の夜ぐらいは...」にも出演。脚本家・岡田惠和によるオリジナル作品で、清野菜名を主演に女性3人の友情が描かれ、その中でも一番謎めいた役どころ・翔子を好演した。今秋にスタートするNHKドラマ10「大奥」Season2 幕末編では、和宮役で出演することも決まっている。公武合体政策のため男装して14代将軍・家茂に嫁いでくる帝の妹宮という難役を、岸井がどう演じるのか期待が高まる。

昨年の出演映画でも「犬も食わねどチャーリーは笑う」 での鈍感夫に苛立つ妻や、「神は見返りを求める」での底辺YouTuberと、作品ごとに印象を変え、様々な役柄を演じてきた岸井。そんな彼女の演技が国内外で絶賛された映画「ケイコ 目を澄ませて」(2022年)が、9月3日(日)に日本映画専門チャンネルでTV初放送される。さらに、本編前後には岸井ゆきののインタビューも放送する。

本作は、聴覚障がいと向き合いながら実際にリングに立ったプロボクサー・小笠原恵子さんの生き方に着想を得て、「きみの鳥はうたえる」(2018年)で知られる三宅唱監督が新たに生み出した人間ドラマ。全編フィルムで撮影され、1人の女性の心のざわめきが16mmフィルム特有の生々しく温かな質感で映し出される。生まれつき聴覚障がいのあるケイコは、両耳とも聞こえていない。再開発の進む下町の小さなボクシングジムで日々鍛錬を重ね、プロボクサーとしてリングに上がり続けていた。言葉にできない想いが溜まっていき、葛藤の末に休会の意思を伝えようとするも言い出せずにいる。そんな中でジムの閉鎖を知り、ケイコの心が動き出す。
岸井は主人公のケイコを演じた。両耳の聞こえないボクサーという役どころゆえに、手話とボクシングの厳しいトレーニングを重ねて撮影に臨んだ。真摯な役作りを経たボクシングシーンも真に迫る。嘘をつけず愛想笑いも苦手なケイコは、特別な才能があるわけでもない。ミットを打つ音や叱り飛ばす声、歓声に怒号、周囲の騒がしさに反して、彼女だけが静かだ。しかし、その心の中は不安や迷い、怒りや哀しみなどの雑音で渦巻いている。痛い怖い逃げたい、でも逃げたくない諦めたくない負けたくない。レフリーの声もセコンドの指示も聞こえない中で、ただひたむきに目を澄ませ、感覚を研ぎ澄ます。声の演技がない分、体の動きや表情、瞳がその心を雄弁に語る。行く先を見失い葛藤しながらも、前を向き少しずつ進んでいく。岸井がケイコという等身大の1人の女性として、物語の中に生きていた。

本作で第46回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した岸井。授賞式で涙ながらに思いを語る姿に、この作品にかけてきた情熱が強く伝わってきた。ケイコの日常を感じさせる繊細な心の動き、そのまなざしから溢れる叫びが、真っ直ぐに胸を打つ。その熱量から目が離せない。
文=中川 菜都美
放送情報
ケイコ 目を澄ませて
放送日時:9月3日(日)21:00~ほか
※9月3日(日)、7日(木)は本編前後に岸井ゆきののインタビューも放送
放送チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
-
福士蒼汰やキム・ソンホと共演するロコ作品も期待大!「いつかは賢いレジデント生活」が支持を集めたコ・ユンジョンの意外な素顔とは?
提供元:HOMINIS6/30(月) -
「陳情令」のモン・ズーイー(孟子義)がさらなるブレイクへ...リー・ユンルイ(李昀鋭)とのあまりにエモーショナルなキスシーンがSNSを沸かせた「九重紫」の名場面
提供元:HOMINIS6/30(月) -
ニコラス・ケイジがダークヒーローを熱演!マーベルの同名コミックを映画化した「ゴーストライダー」
提供元:HOMINIS6/29(日) -
高倉健、中井貴一の共演で謀略戦争を軸に描く忠臣蔵映画!石坂浩二、宮沢りえら名優も名を連ねる秀作「四十七人の刺客」
提供元:HOMINIS6/29(日) -
ワールドツアーの日本公演も期待大!レディー・ガガが圧倒的な存在感と表現力を見せる映画「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」
提供元:HOMINIS6/29(日)