TWICEやENHYPENが参加したOSTも心地良い！イム・シワンの優しく包み込むようなアプローチに癒される大人のラブロマンス

2023.7.20(木)

今年2月に韓国で開催された「2023 イム・シワン ファンコンサート＜WHY I AM in SEOUL＞」が注目を集めたイム・シワン。

ZE:Aのメンバーとしてパク・ヒョンシクらと共にトップグループへと上り詰める一方で、俳優ドルとしての実力も発揮。近年では「非常宣言」(2022年)や韓国版「スマホを落としただけなのに」(2023年)などで見せた狂気溢れる怪演ぶりが大きな話題となった。最近も、世界的なヒットドラマ「イカゲーム」のシーズン2への参加が報じられるなど、俳優としての躍進ぶりには目を見張るばかりだ。

そんな話題作での狂気的な演技が続くイム・シワンが一転、本来のチャーミングなビジュアルを生かした"癒し系男子"をナチュラルに演じたのが、「なにもしたくない～立ち止まって、恋をして～」(2022年)だ。

物語のヒロインとなるのは、都会での暮らしに疲れ果て、わずかな荷物だけを持って見知らぬ海辺の田舎町へとやってきたヨルム(キム・ソリョン)。都会にはない、ゆったりとした時間の流れの中で徐々に癒されていく一方で、町の図書館で司書をしている恥ずかしがり屋の青年・デボム(シワン)と出会い、次第に惹かれ合っていく姿を描いたヒーリング・ラブストーリーだ。

デボムは、童顔で色白のシワンのビジュアルを最大限に活かした"ゆるふわ"なキャラクター。穏やかで心地よい話し声と控えめな笑顔は見るからに人が良さそうで、役柄のイメージに合わせたというふわふわウェーブヘアも、デボムのピュアな魅力を際立たせている。

そんなデボムが、都会での暮らしをリセットしてやってきたヨルムと心の深いところで通じ合っていく過程が興味深い。アイドルグループ・AOAのメンバーでもあるソリョンがほぼノーメイクで演じるヨルムも、まじめで人のことばかり気遣ってしまう性格で、デボムとは似た者同士。互いに想いを寄せ合いながらもなかなか距離を縮められずにいる姿はもどかしいほどに不器用で、2人の何気ないシーンは"キュン"の宝庫だ。

一緒にアイスクリームを食べて初めて2人だけの時間を過ごし、デボムとの電話で「声が聞けて嬉しい」と言われたヨルムが声を出さないように悶えたり、精一杯おしゃれしてデートに現れたヨルムに対して「今日とてもキレイですね」とデボムが伝え、2人で照れまくったりと、瑞々しい"恋のはじまり"が満載。海辺の豊かな自然に溶け込む"キュン"が劇中には散りばめられている。

「恋はチーズ・イン・ザ・トラップ」や「コーヒープリンス1号店」などラブストーリーに定評がある女性監督イ・ユンジョンが脚本・演出を手掛けているだけに、シーンの1つ1つがヨルムとデボムの心の微妙な距離感の変化を映し出し、リアルで爽やかな夏の恋を作り出している。無口で恥ずかしがり屋のデボムが口にする「僕は、ヨルムさんが来てくれて本当に嬉しい」の一言は、どんな熱烈な言葉よりも真っすぐに伝わってくるピュアな愛の告白だ。

また、ZE:Aのシワン、AOAのソリョンがメインキャストを務めているドラマだけあって、豪華なOSTも魅力の1つ。イ・ユンジョン監督作品で数多くのタッグを組んできた音楽プロデューサー"tearliner"が手掛け、TWICEのジヒョ、ENHYPENのヒスン、ジェイ、ジェイクらK-POPアイドルが多数参加しているほか、本編にも出演しているラッパー出身のパン・ジェミンも、甘いハスキーボイスで恋人たちの感情を表現している。

名峰・智異山(チリサン)の裾野に広がる街・求礼(クレ)、山に囲まれた谷城(コクソン）、島と海が織り成す南海(ナメ)など、韓国国内の様々な場所で撮影された映像美も心を癒す本作。互いで互いを包み込むような心温まるラブストーリーもまた、ヒーリング効果がたっぷりと期待できそうだ。

文＝酒寄美智子

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