初代「きれいなおねえさん」こと水野真紀が真価を発揮した「花の罠―奈良・大和路殺人事件―」
2023.7.12(水)

女優・水野真紀は、1987年に第2回「東宝シンデレラ」コンテストで審査員特別賞を受賞し、1990年にNHK朝の連続テレビ小説「凛凛と」でデビューを果たした。その後も順調にキャリアを重ね、パナソニックのCMにて初代「きれいなおねえさん」役でブレイク。1996年には花嫁候補No.1女優にも選ばれている。
「事件記者冴子」シリーズ(テレビ朝日系)や「スチュワーデス刑事」シリーズ(フジテレビ)などサスペンス作品との相性がよく、代表作も数多い。そんな水野が主演した「花の罠―奈良・大和路殺人事件―」というドラマがある。同作は、2003年にテレビ東京系で放送された単発ものの2時間ドラマだ。水野はヒロインで女流二段の棋士・青山桜を演じている。
同作は、女流名人・御影真理子(原田貴和子)が奈良で何者かに誘拐される衝撃的な幕開けから始まる。犯人は「青山桜に、身代金5千万を持ってこさせろ」と要求。御影女流名人と桜は、数日前に名人戦で対局し、御影女流は名人位のタイトルを防衛したばかりだった。急ぎ将棋連盟に駆け付けた桜は身代金の運搬役に指名されて困惑。そこに謎の女から電話が入る。女は「春日大社の石灯籠の中に大事なものを入れてあるから、青山女流二段に探させろ」と一方的に告げた。翌朝、桜は将棋連盟理事・国松八段(伊武雅刀)と友人の水無瀬翔五段(高橋和也)と共に、春日大社へ向かう。警察が見守る中、石灯籠の中から真理子の携帯電話と「この携帯電話を身に付けて連絡を待て」と書かれたメモを発見。続いて犯人からの要求により、桜は近鉄奈良駅に近い薬局に赴く。薬局の電話に犯人から連絡が入り、「駅と反対方向に歩き、「女流名人」と書いた紙を差し出す人にバッグを渡せ」と告げられた。やがて宅配ピザの店員を装ったバイクの男に「女流名人」という紙を見せられ、呆然としている間に身代金を奪われてしまう...。
誘拐事件を扱ったサスペンスドラマは珍しくないが、女流棋士がヒロインという趣向はなかなか新鮮だ。実はこの後でストーリーは二転三転し、波乱の展開を見せる。タイトルにもある通り、誘拐事件から殺人事件に発展。ただし、殺害されるのは誘拐された真理子ではない。身に覚えのない形で事件に巻き込まれた桜が、真犯人を追うという素人探偵として活躍することになるのだが、美貌に加えて聡明なイメージのある水野だけに、まさにはまり役。
真理子の携帯電話を持たせながら実際にはかけてこない点や、別の場所で身代金を奪うと見せかけ、逆の手を指してくるなど、犯人の手口に将棋との類似性を感じた桜が、切れ味鋭い推理を見せるところなど、ストーリーにも見応えがある。
48歳で聖心女子大学教育学科に編入学し、2021年3月に無事卒業。在学中に4週間に渡る教育実習を経験して幼稚園教論一種免許も取得するなど、意欲的な行動で話題に事欠かない水野だが、夫の後藤田正純氏が2023年に徳島県知事選に当選し、現在は県知事夫人でもある。道枝駿佑(なにわ男子)が主演した2022年公開の映画「今夜、世界からこの恋が消えても」では、ヒロイン・福本莉子の母親役を演じて好評を得るなど、女優としても健在だ。
そんな「花の罠―奈良・大和路殺人事件―」は連続ドラマと異なり、放送終了後に話題となることが少ない単発作品だが、水野がミステリー女優としての真価を発揮している一作だ。
文=渡辺敏樹
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