「三拍子揃った実力派トップスター」礼真琴がコンプレックスだらけの主人公を演じた「めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人-」('22年星組・東京・千秋楽)
2023.7.2(日)
星組公演「めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人-」。この作品は2011年に上演された「めぐり会いは再び」(以下シリーズ1)、翌12年に上演された「めぐり会いは再び 2nd ~Star Bride~」(以下シリーズ2)に続く、シリーズ3作目となっている。まるでオモチャ箱をひっくり返したような賑やかさが楽しい作品だ。
シリーズ1のヒロイン、オルゴン伯爵の娘シルヴィアの末の弟が、今回の主人公ルーチェである。ルーチェはシリーズ2で初登場するキャラクターだが、このときはまだ15歳の生意気ざかりの少年だった。そして、シリーズ2で名前だけが明かされていたルーチェの恋人「アンジェリーク」も今回リアルに登場する。
シリーズ3は、2人の10年後の物語である。ルーチェ(礼真琴)は幼い頃のある経験から、自分は弱い人間だと思い込んでいる。一方のアンジェリーク(舞空瞳)は気が強いばかりで、なかなか自分の気持ちに素直になれない。
実はアンジェリークには重大な秘密があった。何と彼女はコーラス王家の一人娘なのだが、その出自を隠して育てられていた。ところが、突如として王女であるアンジェリークの花婿選びが開催されることとなったため、2人の恋の行末を心配する周囲のお節介により、花婿選びにルーチェが送り込まれることになる。
コンプレックスの塊のような御曹司を「三拍子揃った実力派トップスター」などと言われがちな礼真琴が演じるところに、妙味がある。舞空瞳演じるアンジェリークはポップでキッチュな衣装を着こなし、まさに絵本から飛び出したプリンセスである。
©宝塚歌劇団 ©宝塚クリエイティブアーツ
このルーチェとアンジェリークの成長物語に、2つのサブストーリーが並行して走る。その1つが、宰相オンブル(綺城ひか理)の密かな野望にまつわる物語だ。
王女の花婿選びに息子のロナン(極美慎)を送り込むオンブル。だが、ロナンは大司教の娘ジュディス(小桜ほのか)と密かに愛し合っていた。果たしてルーチェはロナンに勝てるのか? ロナンとジュディスの恋の行く末は?そして、宰相オンブルは真の悪人なのか...?
そして2つめのサブストーリーが、ルーチェの大学時代の同級生の「脱モラトリアム」物語である。レグルス(瀬央ゆりあ)の探偵事務所は閑古鳥が鳴いている。そこに居候する女優の卵ティア(有沙瞳)はオーディションに落ちまくり、駆け出し劇作家のセシル(天華えま)は締切りがちっとも守れない。アニス(水乃ゆり)は天才的な発明少女だが、親には全然理解してもらえない。
そこにルーチェを加えた5人は、いずれも世の中にうまく適応できずにいる若者たちだ。だが、そんな彼らが、ルーチェの危機を救うために一役買うことで、成長していく。
シリーズ1、2にゆかりのキャラクターも多数登場する。中でも、本公演で退団した天寿光希がオルゴン家の執事ユリウスとして、音波みのりがルーチェの兄嫁となっているレオニードとして、それぞれ登場するのも見どころだ。
「the end」ではなく「to be continued」な終わり方も心憎い。果たして「シリーズ4」は実現するのだろうか?そんなことにも思いを巡らしながら、観劇を楽しみたい。
文=中本千晶
放送情報
「めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人-」('22年星組・東京・千秋楽)
放送日時:7月2日(日)21:00~ほか
放送チャンネル:TAKARAZUKA SKY STAGE
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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