弁護士役初挑戦の竹内結子が凶悪事件の真相を追う!田村正和と共演のドラマ「復讐法廷」
2023.6.18(日)
太陽のような明るい笑顔、役の心情を如実に伝える演技。存在感と勢いのある演技で視聴者を釘付けにし、2000年代初頭からドラマや映画で大活躍した女優・竹内結子。女優デビューは1996年のドラマ「新・木曜の怪談『サイボーグ』」で、1999年にはNHK連続テレビ小説「あすか」にヒロイン役で出演、また2002年放送のドラマ「ランチの女王」の主演などを経てブレイクし、その名を不動のものとした。
演技派女優としてラブロマンスやコメディ、サスペンスなど幅広いジャンルはもちろん、主婦や刑事、労働基準監督官とさまざまな役柄をこなしてきた竹内。ここでは初めて弁護士役を務めた2015年のドラマ「復讐法廷」にスポットを当ててみたい。
同作の主人公は、田村正和が演じる元大学教授・中原誠司。ある時、中原の愛娘・由紀子(柳生みゆ)が強姦された末に殺害される。しかし容疑者の岩崎健二(中尾明慶)は、捜査に問題があったために無罪となってしまう。虫さえ殺せないほどの人格者であった中原だが、凶悪犯を罰しない法制度への怒り、娘の命を奪われたことへの復讐心から、岩崎の居場所を突き止めて猟銃で射殺し、自首する。
減刑を望まず罪に服そうとする中原。その弁護を担当することになったのが、竹内演じる緒方信子だ。元は検事だったが、上司と意見が合わなかったため弁護士に転身した過去を持つ緒方を、竹内は実に見事に演じて見せてくれる。正義感と明るい存在感に溢れ、上司とやり合うシーンや、婚約者の安田陽一(長谷川朝晴)との活発なやり取りなど、物語の最初から「緒方信子」という人物像が伝わってくる。
(C)東映
田村が演じる中原とのシーンも見どころだ。最初の面会に緒方はやる気満々で臨み、押しの強そうな空気を漂わせて中原に接する。一方、中原は寡黙で、重々しい空気をたたえていて、弁護を頼むとも頼まないとも言わずに退席する。お互いすれ違っている状況だが、それが両者の空気からよく感じ取れる。
しかし、面会を重ねることで、2人の間に変化が生まれる。中原の自宅でもらった柿を見せる時の緒方の笑顔、事件に関する中原の告白を聞く時の真摯な表情。竹内の秀逸な演技で、緒方がだんだんと中原の心情に寄り添っていくのがわかる。そんな緒方に対して、中原も少しずつ心を開いていく。笑顔を見せて、緒方に「困ったな...。ちょっと...娘に似てる」と語りかけるのだ。
由紀子の恋愛関係を聞く時の上目遣いの真剣な表情、由紀子の引っ越しについて聞き込みをする時の探るような眼差し。事件の真相を追求するシーンはもちろん、中原を救うために凛として法廷に立つ姿まで、竹内は弁護士・緒方信子の活躍を迫真の演技で魅せてくれる。そして、活発な空気を絶やさない緒方がいるからこそ、殺人事件や法廷という重くなりがちな物語が和らぎ、観る側もドラマの世界に没入しやすくなっている。それもまた、本作における竹内の演技の力と言えるだろう。
竹内は2020年9月に、田村は2021年4月に、惜しまれながらこの世を去った。しかし2人が放つ輝きは、確かにこのドラマの中に残されている。2人の名優によって描き出される物語を、今改めて味わってみてはいかがだろうか。
文=堀慎二郎
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