石原さとみの憔悴しきった表情に引き込まれる!後半のアクションシーンにも注目のホラー映画「貞子3D」
2023.6.9(金)
今や世界中で知られるホラー映画のアイコンとなった"貞子"。ブームを巻き起こしたキッカケは松嶋菜々子主演の映画「リング」(1998年)で、黒髪に白いワンピース姿の貞子が呪いのビデオテープを再生するとTVから這い出てくる映像が当時、多くの人たちを震えあがらせた。映画が大ヒットし、シリーズ化されたこともあり、後に貞子のモノマネが流行り、今はすっかりポップなキャラとなっているのもビデオテープというアイテムと共に時代の流れを感じさせる。
(C)2012『貞子3D』製作委員会
そんな貞子がタイトルとなって復活し、石原さとみがヒロインを演じた2012年の公開作が「貞子3D」だ。時代の変化に伴い、事件はニコニコ動画の生放送をリアルタイムで観ていた人たちが呪いにかかり、同時刻に変死を遂げることから展開していく。タイトル通り、全編3Dカメラを使用して撮影された本作のメガホンをとったのは英勉監督、「リング」原作者の鈴木光司がオリジナルストーリーを考案した。2024年に公開が予定されている映画「ミッシング」で母親役を演じる石原さとみは当時、ホラー映画初挑戦。「リング」や「呪怨」を公開時に観ていたというホラー好きの石原の恐怖に凍りつく演技、体当たりのアクションシーンにも注目だ。
■どんどん生気が失われていく石原の表情も怖い?
(C)2012『貞子3D』製作委員会
石原が演じているのは女子校で教師をしている鮎川茜。プライベートではパートナー・孝則(瀬戸康史)と同居し、平穏な生活を送っているが、教え子の典子がネットで話題になっている"呪いの動画"に興味を持ち、スマホを持ったまま
窓から飛び降りてしまったことで、否応なしに不気味な事件に巻き込まれていく。電源を切ったはずのスマホが起動したり、家でポルターガイスト現象に襲われたり、典子のクラスメートが友人の死の真相を学校のPCで確かめようとしているのを止めようとして画面から飛び出す大量の黒髪に襲われそうになったりと生きた心地がしない出来事の連続。刑事の聞き取り調査に虚ろな目をしてか細い声で「わかりません」と答え、繁華街のハイヴィジョンが"呪いの動画"に見えて群集の中で座り込んでしまうほど精神的に追いこまれていく石原の演技、憔悴しきった表情に観る側も平常心ではいられなくなる?
■恐怖に絶叫しながらも立ち向かう石原の迫真の演技
生放送を配信したのは"貞子"の復活を目論む謎の男、柏田清司(山本裕典)。再生した最後に響きわたるのは「お前じゃない」という言葉だが、茜が見た時に聞こえたのは「お前だ」の一言だった。恐怖のあまり弱っていく茜を心配した孝則もやがて襲われてしまい、茜は事件に懐疑的だったベテラン刑事とともに行動し、孝則を救うべく事件の真相に迫っていく。続々と現れる貞子の分身たちに絶叫し、逃げまどい、廃校の階段から転げ落ちたり...と後半はアクションシーンの連続。真に迫った石原の演技が本作の緊張感を高めている。
文=山本弘子
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