郷ひろみの若さ溢れる演技と、樹木希林との掛け合いに見入ってしまう「ワニと鸚鵡とおっとせい」
2023.6.8(木)
シュッとしたフェイスラインに、優しげな目鼻立ち。高い歌唱力と演技力を誇り、1972年に「男の子女の子」で歌手デビューを果たしたのち、一気にトップアイドルの階段を駆け上がった郷ひろみ。
歌手として多くのヒットを飛ばすだけでなく、俳優としても大活躍。山根成之が監督を務めた1976年公開の「さらば夏の光よ」で映画初主演を果たすと、それを皮切りに郷&山根タッグの作品が立て続けに制作されることとなる。同年公開の「おとうと」、1977年公開の「突然、嵐のように」、1978年公開の「ダブル・クラッチ」などは、どれも郷ひろみ主演、山根成之監督の作品だ。
これらの作品には秋吉久美子や浅茅陽子、松坂慶子といった人気女優がヒロインとして出演し、彼女たちとの恋模様や、若さゆえの苦悩などが描かれる。当時の若者たちの生き様を描いたストーリーが郷&山根タッグ作品の主軸だったわけだが、そんな中にあって他と一線を画すのが、1977年に公開されたドタバタコメディの「ワニと鸚鵡とおっとせい」だ。
(C)1977 松竹株式会社
空中ブランコのはしご持ち・ゴー(郷)と、おっとせいの世話係・メリー(樹木希林)は、サーカス団団員としてハワイに巡演に来ていた。しかし団長が興行師に騙され、一座は破産。2人は途方にくれるが、退職金代わりにもらった鸚鵡(おうむ)のカゴから、団長が鴨下権十郎(大滝秀治)という男に大金を貸したという借用証書が見つかる。2人は日本に戻り、鴨下から借金を取り立てるべく奮闘することに...。
(C)1977 松竹株式会社
実は本作が公開された1977年、郷と樹木は「ムー」というホームコメディドラマで共演し、絶妙な掛け合いでお茶の間を楽しませている。そんな2人の名コンビぶりは本作でもいかんなく発揮されていて、アイドルらしい容姿と若さが弾ける郷と、テンポの良いボケとツッコミを披露する樹木のやり取りは本作でも見どころのひとつとなっている。
もちろん、郷の演技も秀逸だ。破産した団長に文句を言う時は、怒りつつも自分の感情に素直な若者、といった雰囲気が出ている。また本作のヒロイン、秋吉久美子演じる七子とハワイの浜辺で出会った時は、曇りのない眩しい笑顔を見せてくれる。
(C)1977 松竹株式会社
七子をボートから降ろして抱きしめた時は優しく微笑み、恋に落ちたのか、ホテルの部屋では憂いが漂う表情となる。そしてメリーが突き出したハンバーガーをがっつく姿には、抑えきれない若さと思いが溢れている。
若さゆえのがさつなところもあるが、仕草や表情からゴーの感情と若さがよく伝わってくる。そんな郷の演技がゴーという若者をイキイキとさせ、それが故にメリーとの掛け合いも、勢いのある楽しいものになっているのだ。
(C)1977 松竹株式会社
舞台を日本に移して、更に物語は続いてゆく。果たしてゴーとメリーは借金を無事に取り立てられるのか。また、七子との関係はどうなってゆくのか?郷の好演はもちろん、樹木との名コンビぶり、そして二転三転する物語を、最後まで楽しんでほしい。
文=堀慎二郎
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