菅田将暉が映画「百花」で見せた、細やかな芝居で積み上げて表現した心の隙間
2023.6.6(火)
人気、実力共に随一の俳優・菅田将暉。彼と共に作品を作った数々の監督や共演者たちがコメントを寄せているように、その演技は理性と感性で構築されており、圧倒的な表現力で視る者の心を虜にする稀有な役者だ。そんな菅田の素晴らしい演技が堪能できる作品の一つが2022年の映画「百花」だ。
同作品は、映画プロデューサーとして映画「告白」など多数の作品を手掛け、小説家としても活躍する川村元気が長編監督デビューを飾ったもので、菅田と原田美枝子がW主演を務めたヒューマンドラマ。認知症が進み記憶を失っていく母と、母と向き合うことで母との思い出を蘇らせていく息子との心の交流を描く。
(C)2022「百花」製作委員会
レコード会社に勤める泉(菅田)は同僚の香織(長澤まさみ)と社内結婚し、間もなく子供が生まれようとしていた。そんなある日、ピアノ教室を営む母・百合子(原田)が不可解な言葉を発するようになり、認知症と診断される。次第にピアノも弾けなくなっていく百合子に対し、泉は百合子が記憶を失うたびに母との思い出をよみがえらせていく。
作品では、長澤や北村有起哉、岡山天音、永瀬正敏といった実力派の豪華俳優陣も出演しているのだが、やはり主演2人の演技はすさまじい。この作品の特長は、百合子が主人公であると同時に泉も主人公であるというところで、どちらの人生も比重50・50でしっかりと描かれている。だからこそ、大女優と実力派俳優による芝居の異種格闘技戦を観ているような印象を受けるほどに、それぞれの演技が光を放っているのだ。
(C)2022「百花」製作委員会
段々記憶を失くしながら、過去の記憶と現在が混濁する百合子を演じる原田の演技には、認知症という病の恐ろしさをも強制的に感じさせられ、悲しく切なさの中に何度もゾクリとさせられる。一方、そんな母親と向き合う息子を演じる菅田の演技も圧巻。泉は泉の人生と考えがあって、当たり前なのだが"自分が主人公の人生を生きている"というのがしっかりと伝わってくる。
泉というキャラクターはどこか冷めたところがあり、熱い部分を見せる場面は極端に少ない。それは後半に明かされる母子の過去に起きた"ある事件"に起因するものなのだが、菅田は作品冒頭から泉の百合子に対する"心の距離"を、さながらジグソーパズルを組み上げていくように、細かく丁寧に積み上げている。あまり目を合わさない、会話での声の抑揚のなさ、返答する際の微かな間、バスでの別れの際に百合子を見ないなど、細やかなサインを積み上げることで微妙な"心の距離"を紡いでいる。これらは1つ1つでは"心の距離"に成らないちょっとした違和感くらいの小さなものだが、冒頭からラストまでの中に散りばめられたこれらのピースを拾い集めることで"心の距離"の表現になっている。
そして、そんな"心の距離"を抱えながらも、認知症が進行していく百合子を嫌いになれないもどかしい気持ち、"ある事件"での許せない、看過できない思いに苦しむ姿など、自ら感情をアウトプットする"積極的な芝居"ではなく、自分では抑えようとしているのにふと滲み出てしまったような"消極的な芝居"で表現。原田の芝居とは対極にある芝居で魅せることで、2人の立場の違いや目線の違いを表して、観る者の心を揺さぶってくる。
熱くパッション溢れる芝居もいいが、同作のようなこつこつ積み重ねて、じんわりと滲むような表現で心を揺さぶる演技を堪能しつつ、菅田の役者としての奥深さに触れてみてほしい。
文=原田健
放送情報
百花
放送日時:2023年6月17日(土)20:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
放送日時:2023年6月18日(日)20:00~
チャンネル:WOWOWプライム
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
-

生田絵梨花、大人の乙女心を映し出した繊細な感情表現が見事!杉咲花「アンメット ある脳外科医の日記」
提供元:HOMINIS11/27(木) -

前田拳太郎、映画「栄光のバックホーム」へ抱く思いを語る「横田慎太郎選手とお母さんが本に込めた思いを少しでも多くの方に届けるために」
提供元:HOMINIS11/26(水) -

三浦友和の極限状態での表情に引き込まれる!山口百恵とのラスト共演作「赤い死線」
提供元:HOMINIS11/27(木) -

中山美穂、織田裕二、松下由樹が1982年の若者の恋と夢を映し出す!ミニFMの立ち上げに捧げる夏を綴る青春ムービー「波の数だけ抱きしめて」
提供元:HOMINIS11/27(木) -

当時22歳の妻夫木聡が温かな演技でつづった、犬と人間の温かな交流の物語!実話をもとにした映画「さよなら、クロ」
提供元:HOMINIS11/26(水)

