横浜流星の瑞々しい演技が素晴らしい!2020年本屋大賞に輝いた小説を原作とした映画「線は、僕を描く」
2023.6.4(日)

水墨画の世界を描く青春映画「線は、僕を描く」(2022年)が6月24日(土)にWOWOWシネマで放送される。本作は、2020年に本屋大賞にノミネートされるなど全国の書店員から絶賛された砥上裕將による同名小説を原作とする。2016年からの映画「ちはやふる」シリーズを手掛けた小泉徳宏監督を筆頭に製作チームが再結集し、水墨画の世界に挑んだ。

(C)砥上裕將/講談社 (C)2022映画「線は、僕を描く」製作委員会
大学生の青山霜介はアルバイト先の絵画展設営現場で、水墨画と運命の出会いを果たす。白と黒だけで表現された世界が、目の前に色鮮やかに拡がって見えた。休憩中に水墨画界の巨匠・篠田湖山に声をかけられ、水墨画を学び始める。筆先から生み出す線のみで命を描き出す芸術の世界に、戸惑いながらも魅了されていき、深い悲しみの中で止まっていた霜介の時間が動き出す。
主演は、若き実力派として人気を誇る横浜流星が務めた。2019年に第43回日本アカデミー賞新人俳優賞、2020年には第44回エランドール賞新人賞を受賞。映画「流浪の月」(2022年)では歪んだ愛を抱く青年という難役を熱演し、第46回日本アカデミー賞優秀助演男優賞と第47回報知映画賞助演男優賞も受賞した。2025年の大河ドラマで主演を務めることも発表されたばかりだ。名実ともにトップ俳優となった横浜。本作では水墨画に初挑戦し、瑞々しい演技を魅せた。横浜演じる霜介は辛い過去を背負い、ただ日々を生きている青年。

(C)砥上裕將/講談社 (C)2022映画「線は、僕を描く」製作委員会
アルバイト先での出会いをきっかけに水墨画を学ぶことになり、その世界に魅了されていく。温かな人々と触れ合いながら内に秘めた水墨画の才能を開花させていき、やや強引な巨匠のペースに乗せられながらも、幼い子どものように瞳を輝かせて筆を走らせる。その奥深さを身をもって知り、驚きと喜びを感じながら没入していく様を生き生きと演じた。次第に明らかになっていく霜介の抱える過去。後悔と自責の念に苛まれ、固く閉ざした心と向き合わなければ、自分の線を描くことはできない。憂いを帯びた瞳に覚悟が生まれた時、真っ白な紙にどんな線が描かれるのか。横浜と霜介が重なっていくように、研ぎ澄まされていく心が繊細に映し出された。
霜介にライバル心を燃やす篠田湖山の孫・千瑛には、清原果耶が起用された。2015年に女優デビューを果たし、2018年の主演ドラマ「透明なゆりかご」での演技が高い評価を受ける。2021年連続テレビ小説「おかえりモネ」ではヒロインを務め上げた。本作では、主人公の霜介よりも年下だが絵師としては大先輩という役どころ。美しすぎる絵師と評されるも、水墨画の楽しみを見失い、心を閉ざしている。実年齢よりも大人びて見える清原が、その絶妙な距離感で演じる。落ち着いた雰囲気を纏いながら、偉大な祖父を持つ千瑛が抱える焦燥感や嫉妬もリアルに表現した。また、どこか浮世離れした水墨画界の巨匠・湖山に扮する三浦友和や、その一番弟子で気の良い兄貴のような西濱湖峰を演じる江口洋介らベテラン勢も、役柄同様に彼らを見守るように優しく愛情あふれる演技で包み込む。
横浜ら実力派キャストとスタッフによって美しい原作の世界観、喪失からの再生の物語が見事に描き出された。水墨画との出会いが生きる力となって、人生を変えていく。真摯に向き合う美しい横顔、力強く温かい線からは馥郁とした墨の香りが漂ってくるようだった。
文=中川菜都美
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