歌謡界の女王・美空ひばりの見どころを、音楽評論家・富澤一誠が語る
2023.5.31(水)

6月に没後34年を迎える美空ひばり。衛星劇場では、テレビ初放送となる彼女のブラジル公演や伝説のコンサートの模様を放送する。今、改めて美空ひばりの魅力について音楽評論家の富澤一誠さんに尋ねた。
■新時代のアーティストにとって巨大な壁として立ち続けた

「美空ひばりコンサート『ブラジル サンパウロ公演』」©ひばりプロダクション
敗戦後間もない1946年、9歳でデビューし、没後、国民栄誉賞を受賞した美空ひばり。彼女は歌謡界の女王として今なお、語り継がれる歌姫だ。
「美空ひばりさんはいわばスターを超えた存在。長嶋茂雄さんや石原裕次郎さんと同じく、国民的ヒーローといえるレベルの方だと思っています。歌がうまい方は他にもたくさんいらっしゃいますが、ひばりさんにはそれを超える"何か"があって、ひばりさんが歌うからこそ、その歌に魂がこもるんです。2017年に『美空ひばり生誕80周年記念 だいじょうぶよ、日本!ふたたび 熊本地震・東日本大震災復興支援チャリティーコンサート』が東京ドームで開催され、五木ひろしさんらがひばりさんの楽曲をカバーして歌われました。その中でさだまさしさんが、尊敬の意を込めて『美空ひばりさんの歌を(他人が)歌うことが間違いだ』とおっしゃっていました。その言葉通り、私個人的にも誰一人としてひばりさんの歌を超えた人はいなかったと記憶しています」

「美空ひばりコンサート『不死鳥 美空ひばり in TOKYO DOME 翔ぶ!! 新しき空に向かって』」©ひばりプロダクション
彼女の存在はやがて日本音楽業界の発展へとつながる。
「美空ひばりさんは新時代に登場するアーティストたちにとって巨大な壁でもありました。フォークソングやグループサウンズ、ニューミュージック。それらを代表する吉田拓郎さんや井上陽水さん、松任谷由実さんらにとって乗り越えるべき壁であり、"打倒歌謡曲""打倒美空ひばり"で切磋琢磨していきました。その反骨精神が日本音楽界を豊かにさせたといえるでしょう」
そんな彼女の人生も順風満帆ではなかった。しかし山あり谷ありの人生が、最後のシングル「川の流れのように」(1989年)に集約されていったのではないかという。
「だからこそ、『川の流れのように』が今も多くの人に愛されているのだと思います。この楽曲はひばりさんが絶頂期に歌われてもここまでの存在にならなかったはず。この曲は、ひばりさんにとって彼女の人生の苦楽が反映された大河ドラマのようなものかもしれませんね。今回放送される『ブラジル サンパウロ公演』では歌が国境を超えるさまを、『不死鳥コンサート』では歩行も困難な中で歌う時だけは全盛期のパフォーマンスを、それぞれ見せてくれました。ぜひ美空ひばりという方の生きざま、それを内包した歌声を改めて体験してみてください」
とみさわ・いっせい●1951年生まれ。音楽評論家として52年のキャリアを持つ。現在は尚美学園大学副学長も務め後進の指導にあたる。またコメンテーターとしても活躍中。
取材・文=衣輪晋一
放送情報
美空ひばりコンサート「ブラジルサンパウロ公演」
放送日時:2023年6月24日(土)19:45~
美空ひばりコンサート「'76歌声はひばりと共に」
放送日時:2023年6月10日(日)16:30~
美空ひばりコンサート「不死鳥 美空ひばり in TOKYO DOME 翔ぶ!! 新しき空に向かって」
放送日時:2023年6月18日(日)21:00~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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