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花澤香菜、関智一、野島健児が「PSYCHO-PASS サイコパス」10周年を振り返る

2023.5.27(土)

人間の心理状態を数値化し管理する近未来社会を舞台に、正義を問われる警察機構を描くオリジナルTVアニメーション作品「PSYCHO-PASS サイコパス」。同シリーズ最新作となる『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』が全国公開中。今回は常守朱役の花澤香菜、狡噛慎也役の関智一、宜野座伸元役の野島健児にインタビューを行い、作品への思いなどを聞いた。

「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE」について語る花澤香菜、関智一、野島健児
「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE」について語る花澤香菜、関智一、野島健児

――今回の映画が決まった際のご感想をお聞かせください

「実は、以前からシリーズ全体の構想は聞いていたんです。ただ、それがいつになるのかは分からなくて、『いよいよ"あれ"をやるんですね』という感じでした」

――本作では2019年公開の劇場三部作『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System』とTVアニメ三期の間に起きた事件が描かれますが、収録時にその点についてお話はあったんですか?

「聞いたんだよね。監督に」

野島「そう。『これ、初めから本当にこういう内容を作って考えてたんですか?』って。監督は『大枠は作っているけど、細かい部分はその時々にどんどんブラッシュアップして入れ込んでいった』と言っていました」

花澤「三期をやっていた時は、まだ今回の映画の内容を説明されていなかったので、この台本をいただいてから知った事実もあって。私も『なんで朱ちゃん、捕まっていたんだろう』と思っていたのですが、そのことが分かって、その理由にもびっくりしました。本当によくできているな、と思いました」

――10周年を迎えた「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズですが、ご自身が演じているキャラクターについて「ここは変わっていないな」と思う部分を教えてください

野島「ギノさんは、第一期ではお父さんに対してものすごく憤りを感じていたり、敵視してしまうみたいなところがあったけど、それは愛情の裏返しで。その時はまだ気がついていない部分でもあるんですが、そういう経験が今回の『PROVIDENCE』でも、狡噛さんに対して"愛ゆえに怒ってしまう"みたいな部分があります。まだギノさんの心の中に残っているところが彼らしいし、ギノさんにはまだこれから変われる部分がたくさんあって、ここから自分の心と向き合って行った先に、ギノさんはどういう大人になるんだろう?みたいなことも考えられる隙があったりして。その辺が変わらない部分であり、これからまたどう変わっていくのか楽しみな部分でもありました」

「優れた他者に委ねて自分達の行く末を占うみたいな世の中でも、狡噛はすべてを自分で決めて、汚れ仕事も罪になるかもしれないけど自分で決めてやる、みたいな部分はずっと変わってないんじゃないかなという気がします。シビュラシステムのアンチテーゼとして存在し続けるというのは、多分、狡噛と常守が半々にそれを担って、どういうアプローチでアンチテーゼとして存在するのかというパターンが2個あって、そのうちの1つとして責任を問い続けていると感じています」

花澤「朱ちゃんは『人は法で裁かれるべきである。罪は償ってほしい』というところは本当にずっと一貫してあるし、多分、狡噛さんをドミネーターで撃ったあの時から、自分の中での犯罪との向き合い方みたいなところで、あまり変わってないんだろうなというところはありますね。彼女自身、誰に対しても誠実に接しているところはずっと変わらなくて、素敵なところだなと思います」

――皆さんがこの10年で「自分も変わったな」と思うことはありますか?

「老眼は大丈夫なんですけど、乱視が強くなりましたね...。車を運転する時は乱視用の眼鏡をかけるようにしています。新型コロナウイルスが蔓延して外出を控えていた時期の影響で、家でずっと座っている、みたいな時間も増えてしまったので、野島くんや花澤さんを見習って意識して歩くようになりました。」

野島「今では声優として一緒に仕事をするようになった息子の透也も、10年前は『PSYCHO-PASS サイコパス』のいちファンだったんですが、彼が5月で20歳になるんです。一緒にお酒を飲む店の予約もしていて。本当にこの10年というのをすごく大きく感じますし、私も父親になった、ならせてもらったんだなあと感じた10年でした」

花澤「私は、人とちゃんと喋ることができるようになりました...」

「どういうことですか?上の空だったんですか?(笑)」

花澤「違います(笑)。本当に一期のアフレコの時とかは自分のことでいっぱいいっぱいで、皆さんとコミュニケーションを取ることが全然できていなかったんです」

「緊張してるって言ってたもんね」

花澤「めちゃくちゃ緊張してました。関さんとか野島さんが話しかけてくださるから、私は何とかリラックス...リラックスしてなかったけど(笑)、でも、先輩方に本当によくしてもらったので、今では、新人の声優さんがいる時は話しかけるようにしたりとか、ちゃんとしようって思ってやってます」

――最後に、映画の公開を楽しみにされている皆さんへメッセージをお願いします

花澤「『PSYCHO-PASS サイコパス』ファンの皆様は、もう待ちに待った本作だと思うんですが、今回は、朱ちゃんが第三期の時にどうして捕まっていたのかという真相が明らかになったり、刑事課一係のみんなの活躍が見られるというのも見どころだと思います。朱ちゃんと宜野座さん、狡噛さんの3人の関係性も見ていてとても面白いと思うので、ぜひ期待していてほしいです。今回の映画を観てからシリーズを遡ったりしてもすごく楽しめると思うので、ぜひ劇場に観に来てください」

野島「10周年を迎えるシリーズです。今まで応援してくださった皆様、ありがとうございます。そして今作から初めて見る方もきっといらっしゃるかと思いますが、誰が見ても必ず楽しめる内容になっていますし、本作を見ると、また第一期、第二期、第三期...と観たくなる作品でもあります。また、今回の劇場版は観れば観るほど、どんどん楽しみ方が変わってくるし見える世界も視点も変わっていく、すごく面白い作りをされているなと感じているので、臆することなく何十回でも観ていただけたら嬉しいなと思います。楽しんでください」

「どこか他人任せになりがちな今の世の中ですが、この作品の中では、主人公たちが自分の意志でしっかりと歩んでいく姿が描かれています。みんなの日常にもきっと影響を与えたり、背中を押したりしてくれるような、そんな力をくれる作品になってると思いますので、ぜひご覧ください」

取材・文=中村実香

放送情報

劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE
2023年5月12日より全国公開中
公式サイト:https://psycho-pass.com/