卒業を控えた宙組トップスター・真風涼帆が対照的な2役を演じ分けた宝塚歌劇「バロンの末裔」
2023.5.6(土)
今年6月に卒業を控えた宙組トップコンビ・真風涼帆、潤花が2021年の全国ツアーで出演した「バロンの末裔」。物語の舞台は、20世紀初頭のスコットランド。軍の一員として海外に駐留していたエドワード(真風涼帆)は、男爵家を継いだ双子の兄ローレンス(真風・二役)が病に倒れたとの知らせを受け、帰国する。
ところが、故郷の男爵家は全財産を失い、家も土地も担保として銀行に差し押さえられていた。怪しげな投機話に兄ローレンスが乗ってしまったのである。だが、この事件には裏がありそうだと睨んだエドワードは、友人リチャード(桜木みなと)らの協力の元に調査を開始した。そして、思いがけない事実が明らかになる。
男爵家では、病弱な兄ローレンスを婚約者であるキャサリン(潤花)が懸命に看病していた。しかし、久しぶりに再会したエドワードとキャサリンは互いに心に秘めてきた想いを再燃させる...。
脚本・演出は正塚晴彦。元々は1996年、月組トップスター久世星佳のサヨナラ公演のために書き下ろされた作品だ。だが、再演となる今回も、主要なキャストがはまり役だった。
主演の真風涼帆は2018年のトップスター就任以来、「オーシャンズ11」のダニー・オーシャン、「アナスタシア」のディミトリ、そして「HiGH&LOW-THE PREQUEL-」のコブラなど、幅広い役どころで多彩な魅力を発揮してきた。そして現在、退団公演となる「カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~」のジェームズ・ボンド役で、集大成ともいえる完璧な男役像を見せている。
その真風による対照的な2役の演じ分けが、この作品の一番の見どころといえるだろう。弟エドワードの方は、孤独で屈折した心を押し隠した役どころでありながらも、持ち前の明るさが作品全体を照らし出す。いっぽう兄ローレンスの方は、いかにも長男らしい芒洋とした雰囲気が可笑しみさえ感じさせる。お人好しで騙されやすいこの兄、一見エドワードとキャサリンの忍ぶ恋のこともまったく気付いていないように見えるが、本当のところどうなのかは、見てのお楽しみである。
©宝塚歌劇団 ©宝塚クリエイティブアーツ
真風と共に退団を決めている潤花が、エドワードとローレンス、それぞれへの異なる思いをきめ細やかに表現してみせる。溢れる情熱を思慮深さで包み隠したキャサリンの決断は、美しくも切ない。ひたすら本心を押し隠すエドワードとキャサリン、2人のやりとりに息を呑むばかりである。
ちゃっかりしているが、やるときはやる男リチャード(桜木みなと)、真面目で正義感あふれるウィリアム(瑠風輝)も、それぞれの持ち味を発揮。悪い奴なのに何だか憎めないトーマス(凛城きら)、古き良き時代を映し出す執事ジョージ(寿つかさ)の芝居が味わい深く、物語のキーパーソンでもある少年ヘンリー(亜音有星)の素朴な可愛らしさが目を引く。
イギリスが第二次産業革命を経て、世界の金融をリードした時代、そして、インドをはじめ世界各地を植民地支配していた時代の物語である。同時に、貴族階級の支配が崩れ去った時代の話でもある。
そんな大転換期の中で、慎ましやかに展開する愛の物語。正塚作品の真骨頂ともいえる繊細なセリフのやり取りをじっくり味わいたい作品だ。
文=中本千晶
放送情報
バロンの末裔
放送日時:2023年5月14日(日)21:00~
放送チャンネル:TAKARAZUKA SKY STAGE
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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