濱田岳が純粋さを感じる空き巣を演じ、奇妙な運命に巻き込まれる映画「ポテチ」
2023.5.3(水)

奇妙でハートウォーミングな物語を描いた映画「ポテチ」(2012年)が5月5日(金)にWOWOWシネマで放送される。
伊坂幸太郎による同名短編小説を中村義洋監督が映画化。「アヒルと鴨のコインロッカー」(2007年)、「フィッシュストーリー」(2009年)、「ゴールデンスランバー」(2010年)に続く4度目のタッグを組み、井坂×中村の名コンビぶりを発揮する。仙台在住ゆえに地元を舞台にすることが多い伊坂作品だが、今回も同様。震災復興の後押しにもなったオール仙台ロケを敢行し、原作の世界観を余すことなく映し出す。

(c)2007伊坂幸太郎/新潮社(c)2012『ポテチ』製作委員会
本作は、同じ日に生まれながら片や空き巣、片やプロ野球選手となった2人をめぐる運命を綴ったヒューマンドラマ。しがない空き巣の青年・今村は恋人の若葉とともに、スランプに苦しむプロ野球選手・尾崎のマンションに忍び込む。試合中は絶対に留守だという確信あっての犯行だが、今村は同じ生年月日に生まれた地元のスターに特別な思いを抱いていた。そんな矢先に尾崎家の電話のベルが鳴り、留守電に若い女性からの助けを求めるメッセージが吹き込まれる。意図せず聞いてしまった今村と若葉は放っておくことができず、女性のもとへと向かう。
主人公・今村忠司には濱田岳が起用された。1998年にドラマデビューを果たし、子役から活動を始めた濱田。2004年に出演した「3年B組金八先生」第7シリーズで名優・武田鉄矢に対しても堂々たる芝居を見せ、大きな注目を浴びた。2007年には前述の映画「アヒルと鴨のコインロッカー」で主演を務め、伊坂作品ならびに中村組の常連に。3作目となる「ゴールデンスランバー」の連続殺人犯キルオは原作者が濱田を当て書きしたキャラクターというが、確かに彼以外にはありえないほどぴたりとハマっている。その大きな期待と信頼に応える秀逸な演技だった。どこにでもいそうでどこにもいない。リアルとファンタジーの狭間で、気弱な青年にも連続殺人犯にもなれる唯一無二の役者だ。

(c)2007伊坂幸太郎/新潮社(c)2012『ポテチ』製作委員会
そんな男が本作で演じるのは、空き巣を生業とする青年・今村。殺人こそしないが立派な犯罪者だ。それなのにどこかゆるい雰囲気で愛嬌がある。空き巣中の電話に飛び上がって驚き、どきどきしている姿も微笑ましい。自殺を仄めかす伝言が心配になって折り返し、妙な説得で若葉の命を救う優しさも持ち合わせている。ふいに天才的なひらめきを見せたり、泣きながらコンソメ味のポテチを頬張ったりと掴みどころがない。尾崎の悪口に憤慨するのも運命のいたずらに思い悩むのも、心根の純粋さゆえだ。バカみたいに真っ直ぐな声援に込められた彼の気持ちを思うと、切なく胸を締め付けられる。濱田らしい不思議な青年を好演した。
濱田の他にも伊坂作品ではお馴染みのキャストである大森南朋も、原作で人気のキャラクター・黒澤に扮する。謎めいた大人の男をさらりとかっこよく体現した。さらには、原作者が中村監督をイメージしたというベテランの空き巣・中村を監督本人が演じているのも、遊び心があって楽しい。気心の知れたチームだからこそ、原作や俳優陣の良さが最大限に引き出される。彼らが紡ぎ出した人を想う純粋な優しさと強い絆が、心地よい余韻を残した。
文=中川菜都美
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