俳優・福山雅治の代表作にしてターニングポイント!新たな一面を見出した是枝裕和監督の演出
2023.4.23(日)

4月23日(日)から放送されるドラマ「ラストマン-全盲の捜査官-」で主人公のFBI特別捜査官を演じる福山雅治。連続ドラマ出演は2019年以来の実に4年ぶり。共に難事件に挑む孤高の刑事役・大泉洋とのタッグは大河ドラマ「龍馬伝」(2010年)以来となり、放送前から大きな話題を集めている。
「龍馬伝」も俳優・福山雅治の代表作だが、是枝裕和監督による映画『そして父になる』(2013年)も挙げられるだろう。以前からファンだったという福山が監督にラブコールを送り、コラボレーションが実現した本作。ヨコハマ映画祭では福山が『真夏の方程式』(2013年)と合わせての主演男優賞を受賞したほか、脚本賞も受賞。第37回日本アカデミー賞でも12部門で優秀賞に輝いている。また、第66回カンヌ国際映画祭の審査員賞を受賞するなど海外でも高く評価された。

(C)2013「そして父になる」製作委員会
福山が演じたのは一流大学を卒業して大手建設会社に勤める、野々宮良多。都心の高級マンションで妻と息子と暮らしていたが、ある日、息子の出身地・群馬県の病院で赤ん坊の取り違えがあったと知らされる。
DNA検査の結果、6歳になる息子は取り違えられた他人の子どもだった。野々宮夫妻と相手方の斎木夫妻、2組の家族の間に起きた取り違え事件を通して、親たちの葛藤が鮮明に描き出されていく。「血のつながりとは何か」「家族とは何か」を問いかける衝撃作だ。
自身初の父親役に挑んだ福山。良多は昇進コースを真っ直ぐに歩み、妻子と共に裕福な暮らしを送る絵に描いたようなエリートだ。しかし、完璧な彼の人生に思いもよらない事件が起きてしまう。過去の取り違え事件では100%が血のつながりをとるというが、息子に深い愛情を注いできた妻・みどり(尾野真千子)や、エリートではなくとも温かでにぎやかな家族を築いてきた斎木雄大(リリー・フランキー)とゆかり(真木よう子)夫婦も、育ててきた子どもを手放すことに苦しむ。

(C)2013「そして父になる」製作委員会
一方の良多は「早い方がいい」と冷静な意見を出し、子どもの交換が決まる。どこか作られたような父親の顔をして息子に接し、相手夫妻を冷めた目で見下していた良多。家族にすら一定の距離を取っている男の中に、少しずつ迷いや後悔が浮かんでくる。本当に"父"となれていたか、これまでの自分と向き合い苦悩することに。
純粋な問いかけに揺れる表情や子どもへの温かな眼差し...その隙間から、心の奥底にしまい込んだ弱さが溢れ出しそうだ。息子からの真っ直ぐな愛が届く時、本当の"父性"が芽生える、その心境の変化を繊細に表現した。
初出演の是枝作品で初の父親役と初めてづくしの本作で、監督から与えられた難題に真摯な演技で応えた福山。その後、「三度目の殺人」(2017年)で再び是枝監督とタッグを組んだことからも、相性の良さが窺える。独特の演出から生まれる自然な空気感の中で、一人の父親という感性が研ぎ澄まされていくようで、日本を代表する名匠が俳優・福山雅治の新たな一面を見出した。
文=中川菜都美
-
池田エライザが導いた阿達慶の役作り「感謝という言葉じゃ伝えきれない」映画『リライト』
提供元:HOMINIS6/10(火) -
ジェシー(SixTONES)版の「ビートルジュース」も好評!オリジナルキャストの再集結や「ウェンズデー」のジェナ・オルテガの参戦が反響を呼んだ「35年後」の世界観
提供元:HOMINIS6/10(火) -
瀬戸康史、長澤まさみの"俳優"としての印象は?映画「ドールハウス」インタビュー
提供元:HOMINIS6/9(月) -
千尋役の中沢元紀に集まる熱い視線!朝ドラ「あんぱん」で河合優実、高橋文哉らが体現する若者たちの青春模様
提供元:HOMINIS6/9(月) -
生田絵梨花が松本清張『天城越え』で見せた俳優としての覚悟「遊女ハナの運命が変わる場面は『すっぴん』で演じたかった」
提供元:HOMINIS6/9(月)