脇を固める中村倫也の演技も秀逸!思わず青春を思い出す、ドラマ「コントが始まる」
2023.4.17(月)
3月25日に日本テレビ・水卜麻美アナウンサーとの結婚を電撃発表し、世間を驚かせた俳優の中村倫也。中村の演じる個性溢れるキャラクターには毎回驚かされるが、プライベートでもこれほどまでに驚かされるとは...。中村倫也といえば、良い意味で肩に力が入っていない、どこか飄々とした人物を演じるのが上手く、近年は一癖ある主人公を演じることが多いが、「脇役としての演技を楽しんだ」というドラマが2021年の「コントが始まる」だ。
「コントが始まる」は、売れない芸人トリオ"マクベス"のメンバー・高岩春斗(菅田将暉)、朝吹瞬太(神木隆之介)、美濃輪潤平(仲野太賀)と、ファミレスでアルバイトをするマクベスの熱烈なファン・中浜里穂子(有村架純)、そして里穂子の妹・つむぎ(古川琴音)の5人による青春群像劇。キラキラ生きている人物は1人もいない、"負け組"たちの物語だ。
理不尽な理由で一流食品会社を退社して廃人生活を送っていた里穂子は、社会復帰に向けてファミレスでアルバイトを始めた。毎週、そのファミレスにネタの打ち合わせにやって来る3人組の楽しそうな様子に興味を持ち、必死のリサーチで彼らが弱小事務所所属の芸人・マクベスであることを突き止める。喜び勇んで初めてマクベスのお笑いライブに出かけた日に、次回のライブで解散することを告げられる。そこから解散までマクベスを全力で推す決意をする里穂子と、偶然にも里穂子の隣のマンションに住んでいたマクベスとの交流が始まる。

本作で中村が演じたのはマクベスのマネージャー・楠木実籾で、第8話では楠木のエピソードも登場。意外な過去をきっかけにマネージャーになったが、仕事を楽しめていなかった楠木。しかしマクベスと出会い、"4人目のマクベス"になったつもりで仕事をし、「青春時代に戻ったような熱い時間を過ごした」という。中村は2021年末に行われたオンライン単独トークイベントで「今年、『コントが始まる』に脇役で出たのが自分としてはメモリアルでした。良い出方をしたと思います」と語っていたが、中村にとってもトップコート3兄弟(中村倫也、松坂桃李、菅田将暉)と呼ばれるほど仲の良い同じ事務所の弟分・菅田との共演で、楠木と同じような気持ちを持ったのではないだろうか。
作中にはマネージャー・楠木のほかに、マクベス結成を後押しした高校時代の恩師・真壁(鈴木浩介)、3人の行きつけの焼き鳥店の店主・安藤(伊武雅刀)などマクベスよりも年上世代の人物たちも登場するが、彼らにとってももがきながら生きているマクベスは青春を思い出す"情熱の象徴"だったのかもしれない。そして、解散してそれぞれの道を歩き始めるマクベスの未来像こそが、この大人たちのような気もする。
ドラマのオープニングでは毎回、マクベスのコントステージが展開されるが、実はこれが物語の前フリとなっている。ただのコントと思わずに、じっくり見るべし。また、解散ライブのネタ順が、このコントの放送順になっているのもよく考えられている伏線なのだが、そんな難しいことを抜きにしても、コントの役柄で女装する神木の可愛らしさは必見。
「よくぞこのメンバーをキャスティングした!」と思えるほど、主演から脇役まで演技派俳優たちが揃っている作品。そこかしこに伏線がバチバチに張られているので、何度も見返したくなるドラマだ。誰かを支えるということは、自分自身が支えられることでもある。芸人としての夢は叶わなかったかもしれないが、それぞれが幸せな生き方を見つけていく。「マクベスとは何だったのか」を登場人物それぞれの視点で考えさせられる温かな青春ドラマでの、脇役としての中村倫也の演技をじっくり見てほしい。
文=坂本ゆかり
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