2代目相棒の及川光博の演技と、真の相棒になってゆく過程に注目の「相棒 Season8」
2023.2.3(金)
2002年に連続ドラマ化されてから現在まで、高い人気を誇る長寿刑事ドラマシリーズ「相棒」。「Season21」が放送中の今でも、早くも次のシーズンの話題がニュースになるほどその注目度は高い。
本作の魅力といえば、やはり水谷豊演じる主人公・杉下右京の痛快な推理だ。類まれな記憶力と洞察力、そして幅広い知識を持ち、トリックを見抜き犯人を追い詰めていく。権力に屈することも、情に流されることもなく、あくまで公平に犯人に罪を贖わせる杉下のブレない姿勢も、このシリーズが支持される要素と言えるだろう。
そしてもう1つ、このドラマで欠かせないのがタイトルにもなっている「相棒」、杉下とコンビを組む刑事の存在だ。現在までに4人の相棒が登場しているが、ここでは初代相棒・亀山薫(寺脇康文)に代わって「相棒 Season8」から本格的に2代目相棒となった、及川光博演じる神戸尊にスポットを当ててみたい。
(C)東映
神戸が登場するのは、「Season7」の最終回から。警視庁のエリート官僚だった神戸だが、杉下が所属する特命係が警視庁にとって有益な存在として発展できるかどうかを見極めるスパイとして、特命係に異動する。エリートだけあって礼儀正しくそつがない神戸だが、そこはドラマ「相棒」、自分のペースで捜査を進める杉下に振り回されることとなる。
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例えば第1話で事件の関係者の家を訪れた時は、ずかずかと庭に侵入したり、勝手に引き戸を開けて家に上がろうとする杉下に呆れて「住居侵入ですよ!?」と止めようとする。誘拐された女性の手がかりを探すため単独行動に出た杉下に電話で居場所を聞き、「言いたくありません、いちいち君に注意されるのは不愉快ですから」と突き放された時には、少年のような慌てぶりを見せたりもする。
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そういったさまざまなシーンにおいて、神戸に真面目で柔らかい印象を受けるのは、やはり及川光博が持つ空気と彼の演技力によるものだろう。頭は回るが、どこか変わっていて自分の世界を崩さない杉下とのコンビも、熱血漢だった1代目相棒・亀山とは別の意味でしっくり来る組み合わせとなっている。
最初、杉下は神戸のことを認めず、「Season7」では「君は亀山くんの代わりにはなれません」と言い放っている。神戸もまた、強引に捜査を進める杉下に辟易している。しかし事件解決という目標に共に進んでいくうちに、息を合わせ、お互いを認めていくようになる。
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杉下の頼みで関係者を引き止めるため、神戸が温泉に長々とつかってのぼせたり。神戸が爆発物を所持する女性を説得に行った時には、止めようとした捜査一課の面々に杉下がフォローを入れたり。杉下が関係者の机を捜索する時に、神戸が女性社員を甘い言葉で引き止めたりと、抜群のコンビネーションを見せる場面もある。
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数々の事件を解決しながら、杉下と神戸の関係がどう変化し、どう心を開いて真の「相棒」になってゆくのか。及川の演技にも注目しながら、楽しんでいただきたい。
文=堀慎二郎
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