遠藤憲一×菊池桃子が体現する夫婦の愛...2人のナチュラルな演技に心動かされる「NHKスペシャル 星影のワルツ」
2026.2.26(木)
いまから15年前、2011年3月11日に起きた東日本大震災。津波で海に押し流され、がれきの上で3日にわたって海を漂流した男性の体験をドラマ化したのが、震災から10年を経た2021年に放映された「NHKスペシャル 星影のワルツ」だ。
救助されるまでの43時間、がれきの上で寒さに震えながら生き抜いた主人公・孝志を遠藤憲一が、その妻・恭子を菊池桃子が演じている。2人はこれまで何度か共演はしてきたが、夫婦として本格的に組むのはこれが初。しかし本作で2人はまるで長年連れ添った夫婦のようなコンビネーションを見せている。
劇団出身の遠藤憲一のドラマデビューは1983年、NHKの時代劇「壬生の恋歌」だ。脇役など下積みを経て、1990年代には強い目力を武器にVシネマのやくざモノを中心に硬派な役でブレイク。多くのアウトローを演じ、「ミスター・Vシネ悪役」と呼ばれて人気を博した。
やがてドラマでも活躍するようになった遠藤の転機となったのが、2010年NHKの朝ドラ「てっぱん」。不器用だが愛情深いヒロインの父親を演じて以降は「怖い顔をして面白いことをする」役も増え、いまやシリアスからコメディまでどんなキャラクターも自分のものにしてしまう技巧派としてドラマや映画に引っ張りだこの人気俳優となった。
菊池桃子は1980年代に一時代を築いた人気アイドル。映画「パンツの穴」(1984年)のヒロイン役でデビュー後は、歌手を中心にタレント活動で人気を博した。アイドルとしての菊池の持ち味は、身近にいそうなかわいい子。多くのアイドルがひしめいていた当時、舌足らずでどこか頼りなさげな口調の菊池は、癒やし系アイドルとしてファンを魅了した。1990年代より俳優活動の比重が高まり、結婚や出産、子育てを経ていく中でアイドルのイメージから脱却。窪田正孝の母を演じた朝ドラ「エール」に代表される、やさしさの中に芯のあるお母さん俳優として定着している。
■遠藤は途方に暮れる現実と幸せだった回想のギャップを見事に演じ切る
(C)NHK
遠藤と菊池が「星影のワルツ」で演じたのは、仕事や結婚で子供たちが巣立ち、2人で暮らす農家の夫婦。自宅の屋根のがれきに乗って漂流する孝志のひとり芝居が多くを占める本作で、菊池が登場するのは主に回想シーンとなる。
1人暮らしの息子の世話をするため家を空ける恭子から料理を習ったり、恭子が押さえたはしごに登って屋根のペンキを塗り直したり、2人で山登りをした時には往年のヒット曲「星影のワルツ」を口ずんだ恭子...。厳しい寒さや飢えと戦いながら、孝志は恭子と過ごした日々や何気ない出来事を思い出し、死んでたまるかと気持ちを奮い立たせていく。全身ずぶぬれで途方に暮れる現実と記憶の中の平穏な日々。カットバックで映し出される姿とのギャップに、あらためて遠藤の振り幅の広さを思い知らされる。
一方、菊池の見どころは平凡な主婦のリアクション。孝志が作った焦げた卵焼きを食べておいしいとほほ笑んだり、娘が嫁いで2人暮らしになった時に孝志に向かって「これから一緒にやっていこうね」とそっと手を握ったりと、何気ない表情やしぐさ全てに生活者のリアリティがあふれている。
■切り取られた日常のひとコマもナチュラルな演技で魅せる
(C)NHK
夫婦のやり取りだけでなく、畑の前を通りがかった近所の人にあいさつしたり、散歩中の犬をなでたり、動物ドキュメンタリー番組を観ながら涙するなど日常のさまざまな場面が切り取られているが、どのシーンも菊池の器用さに舌を巻く。近年はアイドル時代の再評価も高まり若いファンや研究者からも注目されている彼女が、当時を彷彿(ほうふつ)とさせる優しい声で歌う「星影のワルツ」にも心癒された。
死と隣り合わせの漂流記や、津波や福島第一原発の建屋爆発などヘビーな見せ場も盛り込まれているが、本作が描いているのは夫婦や家族への愛や生きることの意味。サバイバルで話題を呼んだ本作だが、遠藤や菊池、娘役の川栄李奈やその夫を演じた岡山天音らによる絆のドラマこそ本作のキモなのである。
文=神武団四郎
放送情報
NHKスペシャル 星影のワルツ
放送日時:2026年3月11日(水)21:00~
放送チャンネル:映画・チャンネルNECO(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合があります。
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