松田龍平が体現する"静かな狂気"――閉ざされた村で暴かれる真実「連続ドラマW 鵜頭川村事件」
2026.2.15(日)
自身が企画にも参加した金曜ナイトドラマ「探偵さん、リュック開いてますよ」で、探偵であり、発明家でもある主人公を演じている松田龍平。佇んでいるだけで存在感があり、独特の陰りと個性を放つ松田は、これまでもさまざまな役を演じてきた。坂元裕二脚本の「カルテット」や「大豆田とわ子と三人の元夫」、大泉洋とタッグを組んだ「探偵はBARにいる」、コミュニケーション下手な主人公を演じた「舟を編む」など挙げればきりがないが、"演じていること"を感じさせず画面の中に存在している松田の在り方は、"自然体"を超えた次元にいるのかもしれないと思わせられる。
そんな松田が2022年に主演を務め、突然失踪した妻・仁美(蓮佛美沙子)を追って、ひとり娘とともに妻の故郷を訪ねる医師・岩森明を演じたのが「連続ドラマW 鵜頭川村事件」だ。本作のメガホンをとったのは、「SRサイタマノラッパー」シリーズや「AI崩壊」も手掛けた入江悠監督。櫛木理宇による同名小説をもとに映像化した、WOWOW初のパニック・スリラー作品だ。
(C)2022 WOWOW INC.
舞台になるのは、昔からの伝承が残る山奥の"鵜頭川村"。過疎化という問題を抱えた集落は集中豪雨によって孤立し、さらに密室化。村から1歩も出られなくなる状況に加え、村人たちも謎の死を遂げていく。妻を探すために村を訪れたのに、次々に起こる不測の事態。そんな状況下で岩森は臨時の診療所を開設することになり、この事態に否応なしに巻き込まれていくことに。村で古くから信仰されている神様や、 "エイキチの祭事"の存在も、ミステリー要素を深めていく。
(C)2022 WOWOW INC.
そして、この閉ざされた物語の心理的な怖さを体現しているのが、松田の存在だ。感情をあまり表には出さず、受け入れていく過程を描いた前半は、掴みどころのない役を多く演じてきた松田らしい。しかしその後、村で起こる事件によって心の奥底にある感情が徐々に剥がされていく岩森を演じる松田の演技の振り幅に、引き込まれずにはいられない。
■村に潜む闇に巻き込まれる主人公の静かな苛立ちを松田が表現
(C)2022 WOWOW INC.
「エイキチが来る」という謎の言葉を残し、行方がわからなくなった妻・仁美。彼女を探すため、岩森はまだ幼い娘を連れて、仁美の双子の妹・矢萩有美(蓮佛/1人2役)が母と暮らす家に滞在する。しかし、村では経済を担ってきた「矢萩総業」の社長・吉朗(伊武雅刀)と青年団のリーダー・降谷辰樹(工藤阿須加)を中心とする矢萩一族と降谷一族が激しく対立。12年ぶりの祭りを控える中、岩森と同じく東京からやってきたコンサル会社の金井誠(眞島秀和)が吉朗のバックアップのもと、次世代型施設の開発提案をするなど、混乱を極めていた。
(C)2022 WOWOW INC.
その様子を呆然と眺めていた岩森は、ある青年から「仁美のことで話したい」と言われるものの、その日の夜に集中豪雨が襲い、電気や通信も遮断されて村はパニックに。翌朝、岩森は鳥居を抜けた先にある青年との待ち合わせ場所に向かうが彼には会えず、村唯一の警官とともに帰り道で発見したのは、胸を刺された青年の姿だった。祀られているエイキチや儀式について質問しても、よそ者扱いされるばかりの岩森。そんな主人公を松田は、視線や口元で言葉を呑み込む仕草で細やかに表現。その静かな苛立ちはやがて思いがけない行動へと繋がっていく...。
■暴かれていく真相...狂気と正気を行き来する芝居が圧倒的
(C)2022 WOWOW INC.
仁美がいなくなる前に電話で相談していたという降谷美咲(山田杏奈)の行動や証言によって、次第に儀式の実態が明らかになっていく本作。権力と暴力をふりかざす吉朗たちのやり方に反発する青年団・辰樹たちの抗争も含め、徐々に村の闇が浮き彫りにされていく構成だ。その恐怖感は物語が進むにつれて深まり、冷静を保っていた岩森の心のバランスも崩れていく。家族への愛情、執念ゆえに声を荒げ、心配する有美を振り切って命賭けの行動に出る岩森を演じる松田の芝居は、抑えに抑えていた感情が爆発する時の狂気と痛みを見事に体現している。
(C)2022 WOWOW INC.
閉ざされた村に起こった数々の不気味な事件、岩森が抱えた想い。最終話まで見届けずにはいられない本作を、松田の予測不可能で奥行きのある芝居とともに堪能したい。
文=山本弘子
放送情報
連続ドラマW 鵜頭川村事件(全6話)
放送日時:2026年2月28日(土)13:30~
チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
出演:松田龍平、蓮佛美沙子、工藤阿須加、山田杏奈、板橋駿谷、冨手麻妙、吉岡睦雄、和田光沙、宇佐卓真、眞島秀和、綾田俊樹、荒川良々、伊武雅刀 ほか
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