『私を探さないで』勝地涼&河合優実インタビュー 岩松作品の神髄とノスタルジックなサスペンスの世界
2026.2.1(日)
2026年2月14日(土)に舞台『私を探さないで』がWOWOWにて放送・配信される。
2025年10月に東京・本多劇場で上演された同舞台は、勝地涼と河合優実、小泉今日子らが出演した話題作だ。高校卒業後、忽然と失踪した少女との再会をめぐる、ノスタルジックでミステリアスなサスペンス劇として注目を集めた。今回は主演の勝地涼と河合優実に、作品の魅力や役づくりについて聞いた。
――最初に台本を読んだ時の感想は?
勝地「やっぱり岩松(了)さんの世界、"岩松ワールド"という感じがしました。読んでいてすぐに口に出して言いたくなるセリフがいっぱいあると思いました。自分のセリフだけじゃなく、他の人のセリフもいいなと思ったり、大城先生(小泉)のセリフは、"ああ、わかる"と感じたり。ニヤニヤしながらあっという間に読み終わりました。結局、"ん?"と掴みきれない感じはあるのですが、岩松さんらしい作品だと思って、僕はとても好きでした」
河合「私は岩松さんの作品を文字で読むという体験が初めてだったので、理解はしやすかったかなと思いました。また、今回は結構シンプルな三角関係とも言えるので、舞台やセットができてみると抽象的な感じがするのですが、中で動いている感情はすごくシンプルで強い感じがしました」
――特に好きなセリフやシーンは?
勝地「自分の役どころ的に、過去にあったこと、あれはなんだったんだろうとか、そういうことを考えたりする時間がすごく好きです。あの時、あの景色をいまもう1回見たいなと。それは何を求めているのかわからないですけど、自分の小さいときの通学路や、中学校の通学路を歩いてみたり、あの時に行っていたロケ場所はどこだったんだろうとか。マップで動画や写真を見ると"ああ懐かしいな"と、あの時に戻りたくなるような感覚がすごく好きでなんです。
あと、もう会わないだろうって思っている人に夢で会えたりする時間もすごく好きだったりするので、シーンというか全体的に"あれは何だったんだろう"と思いを巡らす時間がすごく好きです」
河合「たくさんあるんですけど、細かい言葉への岩松さんのこだわりというか、岩松さん"らしさ"みたいなものが好きです。大城先生が『夜が私に囁きかける。今 擬人法ね』って言うんですけど、『「今の擬人法ね」って言うんじゃなくて「今 擬人法ね」ってちゃんと台本通りに言ってください』って岩松さんに言われていて。台本を読んだ時から、すごく岩松さんっぽいなって思っていたし、"やっぱりそこ『の』って入れちゃいけないんだ"っていう岩松さんの"文体"みたいなものができている現場を見させてもらったような感じで、すごく面白かったです」
――演出の岩松了さんに言われてハッとしたことは?
河合「本当にたくさんあって、自分が言われていることでも、他の方に演出をつけているときでも、毎日宝物のような一言だらけで。いつもメモしていたんですけど、印象に残っているのは、『セリフを言っている内容とか、セリフの中身の意味を伝えることが一番なのではなくて、相手がいてなんで喋っているか、なんでその言葉を今この人は伝えようとしているとか、そっちのほうが重要だし、普段、人間ってそうでしょう?』というようなことをおっしゃっていて、本当にそうだなと思って。もちろん、内容やセリフもないと言えないけど、なんでこの人に向けて今喋りかけるかっていうことのほうが大事っていうことを聞いたときには、目から鱗というか、お芝居の本質と言っても過言ではないくらい、今後にもすごく生かせそうだなと思いました」
勝地「僕は今回、本当に何も言われなくて。立ち位置などは『あそこ、もう少しこういう感じで』と言われていますけど、どちらかというと他の人に対して言っている言葉も、岩松さんは反射させていろんな人に伝えている感じもあるので、その中で言うと、『セリフを言っているときの時間ではなく、そこにドラマがあるっていうよりは、受けているとき、聞いているときの時間にドラマがある』ということをおっしゃっていて、すごく納得したというか、"こういうふうに言ったほうが良いのか?"と言い方ばかり考えてしまいますが、立ち姿1つの状態だったりとかそういうことを大切にしないといけないんですよね。
今回だけじゃなく、以前から演出を受けているときにも、それに似たような言葉は言われているんですけど、強く否定したいからこそ、こういう立ち方になるとか、自分を守りたいから、こういうふうに動くんじゃないか、後ろに下がりながら言うのか、前に進むのか。向きにしても選択肢はたくさんあって。それは演劇においては岩松さんに言われるといつもハッと気が付かされます」
――お客さんはアキオの気持ちに沿って物語を見ると思うので、責任重大ですよね
勝地「そうですね。それってもしかしたら相手のお芝居を受けているときの時間が大切になるかもしれないですね。例えば大城先生の話を聞いているときの時間は (目を)見て聞いているのか、(見ずに向きを変えて)聞いているのか...。
『感情が出来上がってないのに動く』ということをやってみると、何かが生まれることもあるのですが、自分が小さい頃から演劇においての立ち位置などは蜷川(幸雄)さんからも『ここに皆がいるんだったら、お前はそっちから出てこないだろう!』と怒られてきたので、そういうことに慣れすぎているのか、『自分で好きなところから出ていい』と言われたりすると、"あの人が喋っていたらこう動くかな"とクセがついてしまっていて、"それは嘘なんじゃないかな..."と思うときがあるんです。なので、改めて岩松さんがおっしゃったりすると考える感じはありますね」
――勝地さんと河合さんのお互いの印象は?
河合「"勝地さん、すごいな"ってずっと思っていました。たぶん自分の身体に染みついている感覚。舞台っていう空間にどうやっているかっていう感覚がすごく身体にある方なんだなっていうことも思いましたし、とにかくどっしり立っている姿っていうのがすごく安定感があって、見ていてお客さんが不安にならないっていうか隙がない。自然なのに隙がない感じがして、本当に胸を借りるような気持ちで稽古をしていました」
勝地「吸収がめちゃくちゃ早いです。たぶん、河合さんも役柄の気持ちが分からない分、動くのがすごく難しいはずなので、どう動いていいか悩んでいたと思うんです。でも岩松さんから『もう少し動いてほしい』と言われていて。僕はその姿を見て、それが真実だと思うので、その動きに感動を得ていました。"そんな簡単にパンパン動けないよね"と。でも、そこを動いてみることによって変わっていく姿もすごく素敵で。家に帰ってたぶん台本読んで、動くにはどうしたらいいだろうと、落とし込む作業もしているんだと思うし、動いていたら変わったこともあっただろうし、見ていてすごく面白いです」
――これから観る人へメッセージをお願いします
勝地「岩松さんの話は難しいとよく言われるんですけど、僕にとっては全然難しくなくて、全部の意味を辿ろうとすると難しいかもしれないですが、基本的には自分が感じ取っていければいいと思います。誰しも故郷があって、あの時の誰かに会って...という話だったりするので、楽しんでもらえるんじゃないかなと思っています」
河合「私が演じる立場で思ったのは、本当に何が起きていたかっていうこととか、"あれってどうなったんだっけ"って、岩松さんの舞台を観ていたらわからなくなるような、真実がなんだったのか、っていうことは意外とわからなくても面白いと思って。それが面白くなるかは、目の前の人との関係性をちゃんと表現できるかっていう私たち役者にもかかっているし、岩松さんの演出にもかかっていると言えますが、ちゃんとそこを届けられれば、本当のことが何だったんだっていうことはあんまり考えなくても、面白いんじゃないかと思います。もう少しおおらかに観ても大丈夫だと思います!」
文=HOMINIS編集部 写真=宮川舞子
放送/配信情報
『私を探さないで』
チャンネル:WOWOWライブ(スカパー!)
放送・配信日時:2026年2月14日(土)18:45~
※放送情報は変更になる場合がございます
作‧演出:岩松了
出演:勝地涼、河合優実、富⼭えり⼦、篠原悠伸、新名基浩、岩松了、⼩泉今⽇⼦
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