勝地涼×河合優実が"失踪"の謎に揺れる心を体現 舞台『私を探さないで』が突きつける後悔と罪悪感
2026.2.1(日)
2025年から2026年にかけて、映画やドラマで活躍が続く勝地涼。そして作品ごとに印象を変えながら、いま最も注目を集める俳優の一人となった河合優実。そんな二人が同じ物語の中でぶつかり合い、さらに小泉今日子が全体を引き締める役割を担っているのが、岩松了作・演出の舞台『私を探さないで』だ。
物語の出発点は、"失踪"である。結婚が決まり、報告のために地元へ戻った古賀アキオ(勝地)は、高校時代に突然いなくなった同級生・三沢晶(河合)の記憶を呼び起こされる。晶が消えた理由には、自分も関わっていたのではないか----その思いを、アキオは長い間抱え続けてきた。過去の出来事を「なかったこと」にできないまま大人になってしまった人間の顔が、彼の立ち姿には最初から出ている。
そんなアキオが再会するのが、当時の担任で、いまは作家として成功している大城ユイ子(小泉)だ。しかもユイ子は、アキオと晶をモデルにした小説『無人島』を書き、それが評価されていた。自分の過去が"作品"として世に出ている。その事実だけでも心がざわつくのに、当のユイ子はどこか淡々としている。ここから物語は、「誰が悪いのか」よりも、「残された側がどう壊れていくのか」という方向へじわじわ進んでいく。
勝地が演じるアキオは、「正しいことをすれば救われる」というタイプではない。結婚が決まって人生が前に進みそうな時期でも、高校時代の出来事がずっと引っかかったままになっている。勝地は、その引っかかりをセリフで説明する前に、表情で伝えるのがうまい。特に印象的なのが、ユイ子が「あなたたちをモデルに小説を書いた」と打ち明ける場面だ。アキオは事実を聞いて終わりにはできず、「その時、なぜユイ子は誰かの手を掴んだのか」と、仕草の意味までしつこく問い詰める。相手の指先に目が吸い寄せられたかと思うと、次の瞬間には目つきが変わり、逃がさないように相手を見据える。その表情の変化だけで、アキオの中で感情が抑えきれなくなっていることが伝わってくる。
ただ、彼がそこまで問い詰めるのは「真実を知りたい」からだけではない。過去に理由をつけて整理しないと、自分が前に進めないからだ。だから問いが鋭くなるほど、アキオ自身も傷ついていく。その苦しさがまっすぐ見えるからこそ、観ている側も目を逸らせなくなる。
河合が演じる晶もまた、ただそこにいるだけで空気を変える人物だ。言葉が少ない場面でも、一言一言に重さがある。晶の存在は、"失踪した人"というより、"残された人間が抱え続けた時間"そのもののように感じられる。そして、古賀に「大好きだった」と伝える場面。声を荒げる瞬間の切迫感が圧巻だ。感情を爆発させるというより、抑えてきたものがとうとう溢れ出てしまった、という感じがする。だから観ている側も、ただの名場面として消費できず、胸が苦しくなる。河合の演技は、派手さよりも「逃げられなさ」を作るのがうまい。さらに晶は、アキオの記憶の"偏り"を突いてくる。自分のことは都合よく覚えているのに、忘れている部分もある。そういう覚えていることと忘れていることの差を突きつけながら、記憶がどれだけ本人の都合で作られてしまうものかを、容赦なく見せるのだ。特に印象的なのは、泣き顔でも笑顔でもない、表情があまり動かない状態のまま、声だけが鋭く強くなるところ。顔は静かなのに声だけが跳ね上がる、そのギャップが観客の胸に刺さる。
小泉が演じるユイ子は元教師で、いまは作家でもある。だからこそ、アキオや晶の人生を題材にしながらも、どこか「自分のことではない」という距離で語ってしまう。その態度が冷たいのか、それとも相手を救うためなのか、小泉ははっきり答えを出さず、観客に考えさせる。本作は、生と死、本当と嘘の境界があいまいな世界を描いている。それなのにユイ子は、小説という形にすることで、そこに線を引こうとする。きれいに整理できるはずがないと分かっていながら、それでもやろうとする。その無理を承知の強引さが、ユイ子の魅力であり、同時に怖さでもある。
本作の見どころは、「失踪の真相は何か?」を追うだけでは終わらない点にある。岩松了が描こうとしたのは、いなくなった本人よりも、残された側が自分は被害者だと思い込み、その感覚に縛られていく姿だという。探すことは愛情にも見えるが、いつの間にか「自分が安心したいだけ」になることもある。本作は、その危うさを静かに、しかし確実に見せてくる。
『私を探さないで』は、誰かが消えた理由をはっきりさせる物語ではない。むしろ、残された側が抱え続ける後悔や罪悪感、そして「知りたい」「納得したい」という気持ちの行き場を描いた作品だ。簡単に答えが出る話ではないからこそ、見終えたあとも心に残る。誰かを思う気持ちと、相手の人生を勝手に語ってしまう危うさは、決して他人事ではないはずだ。2026年2月14日(土)からWOWOWで放送・配信される『私を探さないで』。静かな緊張感に身を委ねながら、登場人物たちの言葉と表情を、ぜひ最後まで見届けてほしい。
文=川崎龍也 写真=宮川舞子
放送/配信情報
『私を探さないで』
チャンネル:WOWOWライブ(スカパー!)
放送・配信日時:2026年2月14日(土)18:45~
※放送情報は変更になる場合がございます
作‧演出:岩松了
出演:勝地涼、河合優実、富⼭えり⼦、篠原悠伸、新名基浩、岩松了、⼩泉今⽇⼦
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