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寺尾聰が刑事と父親の狭間で揺れる葛藤を、味わい深く表現!謎で満ちた殺人事件を題材にした『宮部みゆき原作「理由」』

2026.1.16(金)

松嶋菜々子が主演を務める1月期の木曜ドラマ「おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-」で、主人公・米田正子の父親・田次を演じている寺尾聰。

2025年には映画「父と僕の終わらない歌」で松坂桃李と親子役で共演し、アルツハイマー型認知症を患った父親を粋に演じた。歌手としてはもちろん、佇まいひとつで多くのことを語ってしまう"いぶし銀"のような演技は味わい深く、78歳になった今も現役で活躍し続けている。

そんな寺尾が主演し、刑事を演じたのが1998年に第120回直木賞を受賞した宮部みゆきの長編小説をドラマ化した「理由」だ。高層マンションで起きた謎だらけの惨殺事件を膨大な数の証言から追っていく原作は、映像化不可能と言われてきたが、2004年に大林宣彦監督によってドキュメンタリータッチの映画として公開された。それから8年後に放送されたのがドラマ版となる本作だ。

ドラマ版は、寺尾演じる荒川北署に勤めるベテラン刑事・吉田達夫とバディ的存在の若手刑事・立花(永山絢斗)が、地道な捜査と聞き込みで複雑怪奇な事件を紐解いていくサスペンスヒューマンドラマに仕上がっている。キャストも速水もこみち、吹石一恵、福士誠治、菅田将暉、橋本愛、香里奈、麻生祐未、江波杏子、平田満、杉本哲太、沢村一樹と、豪華な顔ぶれが揃った。

■寺尾が演じる刑事・吉田が直面する難解な事件、そのキーワードは"家族"

寺尾聡が謎に満ちた殺人事件に挑む刑事を、いぶし銀の演技で体現
寺尾聡が謎に満ちた殺人事件に挑む刑事を、いぶし銀の演技で体現

(C)TBS

事件は荒川区にある高層マンションで起こる。落下死した男性は、遺体の損傷が激しく、身元不明。管理人も「住民なのかわからない」と語る状況の中、2025号室の前から血痕が見つかる。吉田たちが部屋の中に入ると、そこには家族と思われる3人が、何者かによって殺害されていた。警察は犯行時刻にマンションのエレベーターの監視カメラに映っていた中年の男(杉本)と、赤ちゃんを抱いた若い女性(吹石)に目をつける。しかし、2025号室で殺された3人がそこに住んでいた家族ではなく、管理人も知らない、"砂山"と名乗る一家と発覚し、事件の謎はさらに深まっていく。「あの死体たちは一体、誰なんだ?」とため息をつく吉田は、難航する捜査の中で、さまざまな人たちが抱える家族の問題や愛情に触れることとなる。時に先走りしそうになる立花を静かに制止するベテラン刑事を演じる寺尾は、穏やかな口調と慈愛をたたえた瞳で相手をじっと見つめ、多くの人から、それぞれが心に秘めていた想いを引き出す。そして、相手が発する言葉が吉田の心に刺さっていることを表情ひとつで表現している。観る人の想像力を掻き立てる演技と、人生を重ねたからこその深い味わいは寺尾ならではだ。

■刑事でありながら、ひとりの父親でもある...その狭間での葛藤を奥深い芝居で表現

優秀な刑事である一方、吉田は家族を犠牲にしたという深い後悔と共に生きてきた人物として描かれている。ひとり娘の美穂(香里奈)が車椅子での生活を余儀なくされたのも、事件に巻き込まれたことが原因。大人になった美穂は、父に結婚を考えている彼氏・和也(福士)を紹介するが、負い目を感じているからこそ、「娘に幸せになってほしい」と願う吉田の態度は硬化。仏の刑事とは全く違う顔を見せ、横目で和也を見て、思わず声を荒げてしまう。そんな私生活でもターニングポイントを迎えたタイミングで、吉田は偶然にもさまざまな形の家族が絡む事件と対峙することになるのだ。

マンションから落下した男と殺害された偽家族の正体、そして監視カメラに映っていた男と女は事件にどう関係しているのか――。ミステリーとヒューマンドラマを同時に描いた本作の行方を、寺尾の渋い芝居と共に見届けてほしい。

文=山本弘子

放送情報

宮部みゆき原作「理由」
放送日時:2026年1月18日(日)11:15~、1月29日(木)19:00~
チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

出演:寺尾聰 速水もこみち 吹石一恵 福士誠治 永山絢斗 ほか