竹内涼真&町田啓太の肉体美と情熱がぶつかるNetflix映画『10DANCE』 10種目のダンスが光る競技ダンスの魅力
2026.12.29(月)
Netflixで配信中の映画『10DANCE』は、社交ダンスの世界でそれぞれ頂点に立つ"二人の信也"が、ラテンとスタンダード10種目すべてで競う〈10ダンス〉に挑む物語だ。ラテンの王者・鈴木信也と、スタンダードの王者・杉木信也。同じ名前を持つ2人が、ライバルとして、そしてパートナーとして歩幅を揃えていく過程を描いており、スポーツ映画らしい熱さと、近づいていく二人の関係の繊細な揺れが、同じ温度で描かれている。

その中心にいるのが、ラテンの王者・鈴木信也を演じる竹内涼真だ。本作でまず圧倒されるのは、彼の肉体そのものが物語ってしまう説得力だろう。引き締まった肩回りや腕の筋肉、鋭くひねり出されるウエスト、深い呼吸に合わせて大きく波打つ胸板......。ラテン特有のうねるようなボディムーブメントを見せるたび、「この男は本当にダンサーとして生きてきたのだ」と思わせるだけの履歴が、その身体には刻まれている。

とはいえ、『10DANCE』がいわゆる肉体美だけを売りにした映画ではないことは、すでに本編を見た人ならよく分かっているはずだ。竹内の肉体美は、サービスカットではなく、鈴木というキャラクターの生き方そのものを伝える大事な要素になっている。試合前に鏡の前で静かに肩を回す姿や、練習で何度も床に倒れ込みながら立ち上がる後ろ姿からは、ここまで積み重ねてきた時間の重さが自然と伝わってくる。だからこそ、ふいにこぼれる無防備な笑顔や、パートナーと向き合ったときに見せる少年のようなまなざしが、よりいっそう愛おしく感じられるのだ。

対するスタンダードの王者・杉木信也を演じる町田啓太は、まったく違う形で観客を惹きつける。姿勢はいつも崩れず、ホールドも乱れない。大きく感情をあらわにするのではなく、口元が少しゆるむ、視線をふと落とす、呼吸がわずかに乱れる──そんな小さな変化の積み重ねで、杉木の心の動きを見せていく。長い手足のしなやかなラインと、首筋に走るささやかな緊張が同時に伝わってくるスタンダードのダンスシーンは、彼が内側に抱えている静かな熱をよく表している。


物語の大きな見どころは、まったくタイプの違う二人が、10ダンスを通して少しずつ歩調を合わせていく過程にある。ラテンの熱と衝動で突き進んできた鈴木と、スタンダードの理性と美しさを何より大事にしてきた杉木。最初はお互いのスタイルを受け入れられず、ぶつかってばかりの二人が、相手のダンスを必死に学び合ううちに、だんだんとステップが揃い、呼吸が揃い、やがて見つめる先の景色まで同じになっていく、その変化の一つひとつの瞬間に、二人の関係の深まりがはっきりと表れている

汗でシャツが肌に張り付き、竹内の鍛えられた体がよりくっきりと浮かび上がる中で、鈴木は力で引っ張るのではなく、相手の動きに合わせて踊ることを少しずつ覚えていく。一方の町田は、これまでどこか冷たく見えた表情をほんの少しゆるめながら、パートナーとして鈴木を信じようとする気持ちを、ダンスそのもので示していく。言葉で「信じている」と伝える以上に、組んだ腕の力の入り方や、一歩一歩のステップが、二人の心の変化をはっきりと教えてくれる場面だ。

『10DANCE』は、競技ダンス映画であり、ロマンス作品でありながら、見終えたあとに残るのはジャンルをまたいだ「パートナーシップの物語」だ。相手を信じ切ること、自分の弱さをさらけ出すこと、二人でしか到達できない場所を目指すこと。それらが竹内と町田という俳優の身体と演技を通して、まっすぐに観客へ届いてくる。

これから作品に触れる人に伝えたいのは、「ダンスがすごい」「二人がかっこいい」だけでは済まない映画だということだ。竹内の鍛え上げられた身体と、その奥に見える鈴木の不器用な真っ直ぐさ。町田の品のある立ち姿と、その内側で静かに燃え続けている情熱。その両方に心を奪われた人ほど、この映画における"10ダンス"という挑戦の重さを、もう一度確かめたくなるはずだ。
文=川崎龍也
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