若き日の時任三郎×原田知世が体現する、本質的で普遍的な愛情... 繊細かつ抑揚のある演技に心温まる「満月 MR.MOONLIGHT」
2025.12.26(金)
1991年に公開された映画「満月 MR.MOONLIGHT」は、原田康子の小説を原作に、大森一樹が監督・脚本を務めたファンタジーロマンスだ。2026年1月16日(金)に衛星劇場で放送される。主演は、時任三郎と原田知世。公開当時、時任は多数のテレビドラマや映画で活躍し、俳優として確固たる地位を築いていた。
一方の原田も、アイドル的な人気を経て、女優としてのキャリアを着実に積み重ねていた時期である。この2人が、現代へタイムスリップしてきた誠実な侍・小弥太(時任)と、ひょんなことから彼と出会う現代の高校教師・まり(原田)を演じ、時代を超えた愛の形が描かれていく。
本作の魅力は、非日常的な設定でありながら、俳優の存在感が役柄に強い説得力を与えている点にある。時任が演じる小弥太は、現代社会の常識に戸惑いながらも、その"心根の美しさ"を失わない。現代の知識や技術に疎くても、人として持つべき誇りや潔さにおいては誰にも劣らない。
■非日常な設定でも観る者を引き込む時任の演技
(C)1991 松竹株式会社
時任らしい内に秘めた熱さを感じさせる眼差しが、小弥太の純粋な魂と重なり、観客は理屈を超えてその存在に引き込まれていく。小弥太の、時に無防備なほどの純粋さを映し出す表情の機微は、時任が豪胆な役柄も演じてきたキャリアの深さがあるからこそ実現した、優れた抑制の演技であるといえる。
原田が演じるヒロインのまりは、現代の忙しい日常の中で、どこか空虚さを抱える女性だ。原田特有のチャーミングで柔らかな佇まいと、自分の意思を大切にするナチュラルな演技が、まりが小弥太という"異質"な存在を受け入れ、次第に心を開いていく過程を丁寧に描いている。声のトーンや視線の動きによって微妙な心の変化を表現し、その抑揚のある演技が原田の女優としての表現力の豊かさを物語っている。
この作品で際立つ時任の"内なる力強さ"や、原田の"穏やかな佇まい"は、キャリアを重ねた現在でも彼らの俳優としての基本的な魅力として息づいている。特に原田の自然体な存在感は、その後に出演した作品でも変わることなく観客に心地よい安らぎを与えている要素だ。
一方で、公開当時と変化した点を挙げるなら、時任がその年齢やキャリアの変化とともに"大人の包容力"を伴う役柄へと表現の幅を広げていること。原田が、フレッシュな時期を経て、人生経験から来る思慮深さや知性をより深く表現するようになったことが挙げられるだろう。
■原田と時任が体現する、本質的で普遍的な愛情
(C)1991 松竹株式会社
このストーリーが時を超えて人々に響くのは、2人の俳優が、"本質的で普遍的な愛情"を表現していることも大きな要因だ。私たちは日々、社会の常識という枠の中で生活しているが、小弥太とまりの交流は、知識や文化という表面的な違いを超えて、"飾らない真実の人間関係"の形を提示しているように見える。恋愛映画に見られがちな劇的な盛り上がりよりも、ある種の距離感の保ったやり取り――その踏み込みすぎない関係や言葉にしきれない感情の往復が愛おしく、観る側に解釈の余地も残している。
時任三郎と原田知世の繊細な演技が交差し、時代や常識を超えた人と人とのつながりを描き出した本作。忙しい日常の中で見失いがちな、人との向き合い方や本当に大切なものについて改めて考えるきっかけをくれる作品である。
文=川倉由起子
放送情報
満月 MR.MOONLIGHT
放送日時:2026年1月16日(金)19:15~
放送チャンネル:衛星劇場(スカパー!)
出演:時任三郎、原田知世、石黒賢、森本レオ、上田耕一、柳葉敏郎、加藤治子、天宮良、日下武史
※放送スケジュールは変更になる場合があります。
-

豊川悦司が放つ、妖艶さと不気味さ...内に秘める"悪"の表現が秀逸な「松本清張サスペンス わるいやつら」
提供元:HOMINIS12/6(土) -

「ばけばけ」のタエ役でも脚光を浴びる北川景子、親としてのリアルを投影した「ナイトフラワー」での家族を思う壮絶な母親像
提供元:HOMINIS12/6(土) -

沢口靖子が見せる笑顔と切ない横顔のギャップ...同僚として見守る、寺脇康文の優しさにじむ演技も必見「夏樹静子サスペンス 喪失-ある殺意のゆくえ-」
提供元:HOMINIS12/5(金) -

凛々しく優秀な刑事が吉田羊のハマり役!世界的人気サスペンスシリーズの日本版「連続ドラマW コールドケース3 ~真実の扉~」
提供元:HOMINIS12/4(木) -

【PLAVE・YEJUN×NOAH×HAMIN】ステージも日常も、支え合う3人<ふたりのこと。>特別編
提供元:HOMINIS12/4(木)

