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乃木坂46・奥田いろは、これまでの経験から見つけた"等身大の自分らしさ" ミュージカル『レイディ・ベス』ベス役への覚悟

2025.12.24(水)

奥田いろは、新しい“ベス”で輝く瞬間
奥田いろは、新しい“ベス”で輝く瞬間

2014年に帝国劇場で世界初演されたミュージカル『レイディ・ベス』が、2026年に新演出版としてよみがえる。英国に黄金期をもたらしたエリザベス1世の若き日々を描いた本作は、ミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイの楽曲と小池修一郎の演出によって、これまでも多くの観客を魅了してきた。

その主人公のベスをWキャストで務めるのが、乃木坂46の奥田いろはだ。『ロミオ&ジュリエット』『1789-バスティーユの恋人たち-』と着実にミュージカル女優としての歩みを重ねてきた彼女は、今回どんな思いでオーディションに臨み、重責と向き合っているのか。

インタビューでは、ベス役に決まったときの心境や、自分にしかできないベス像を模索する役作りのプロセス、ミュージカルに向き合ううえで大切にしているマインドセットまで、じっくりと語ってもらった。

ミュージカル『レイディ・ベス』奥田いろはが舞台に立つ覚悟
ミュージカル『レイディ・ベス』奥田いろはが舞台に立つ覚悟

――以前『ロミオ&ジュリエット』のタイミングでもインタビューさせていただいて、今回もとても楽しみにしています。改めて『レイディ・ベス』でベス役に決まったときのお気持ちを聞かせてください

「歴代のベスを演じられてきた方々が本当に大御所の、大先輩ばかりだったので、まさか自分が同じ役でオーディションを受けられるなんてとすごく驚きました。でも、作品を観たときにベスという女の子にすごく惹かれて、"私も挑戦したいです"と思ってオーディションを受けさせていただいて。まさか受かるとは思っていなかったので、決まったと聞いたときは、今までにないプレッシャーを感じました。もちろん嬉しさもあったんですけど、それ以上にどうなっていくんだろうという不安や、ぐっと気が引き締まる感覚のほうが大きかった気がします」

――過去の公演は、映像などでご覧になっていたのでしょうか?

「映像で何度も観ています。観るたびに新しい発見があったり、新しい気持ちになれたりして。今は演じる側ではなく、いち観客として何度も観ているのですが、音楽も本当に素敵ですし、物語、そしてベスの人柄にもすごく魅力を感じます」

――これまでベスを演じてこられた方々の姿を見て、「こんなベス像にしたい」とイメージが膨らむ部分もありますか?

「そうですね。前回ミュージカル『1789-バスティーユの恋人たち-』に出演させていただいたときに、Wキャストの(星風)まどかさんを近くで見ていて、私もこうなりたいとすごく思ったんです。でも、それを"真似すればいい"というわけではなくて、本当に私だから演じられるものを作らなきゃいけないんだと強く学びました。お客様の感想もよく拝見しているのですが、そのときに"等身大な姿が良かった"と書いてくださっているのを見かけて、もしかしたらこれが私の強みなのかなと思ったんです。私はまだ人生経験もそこまで多くはないですが、だからこそ私にしかできない物事の捉え方が絶対にあるはずで。それをギュッと詰め込んでいきたいです。ベスというキャラクター自体がもうすでにとても魅力的なので、そこに自分らしさを重ねて、さらに素敵に演じられたらいいなと思います」

――反響もチェックされるんですね

「してます(笑)。皆さんそれぞれ解釈が違っていて、"なるほど、そういうふうに捉えるんだ"と思うことも多くて。そういう声を受け取って、ちょっと自分の中に生かしてみたりもしていました。なので、前回も自分ひとりで作りましたというよりは、皆様の気持ちや解釈を学ばせていただきながら、本番中も少しずつ変化していった感覚があります」

奥田いろは、ミュージカル『レイディ・ベス』で帝劇に挑む
奥田いろは、ミュージカル『レイディ・ベス』で帝劇に挑む

――まだ台本もこれから、という段階かと思いますが、過去のベス像を見ていく中で、「ここは自分と近いな」と感じた部分はありますか?

「好奇心がすごく旺盛なところは似ていると思います。例えば小さな趣味みたいなことでも、やったことがないのに、ちょっとあれやってみたいなと思ってしまうというか(笑)。なんでも挑戦してみたい、という好奇心は近いのかなと感じました」

――逆に「ここは自分と違うな」と思うところはありますか?

「私はけっこう自由に生きているというか(笑)、やりたいことをやらせてもらって生きているなと思うんですけど、ベスはきっと、自由に生きてこられなかった人なんじゃないかなって思うんです。その部分は、自分とは大きく違うところだと感じました」

――今回のキャストのみなさんはこれまで共演されてきた方も多いですよね。前回とはまた違った気持ちで臨めるのではないかと思います

「そうですね。困ったときに頼れるみなさんがいらっしゃるのはすごく心強いです。『ロミオ&ジュリエット』のときも、歌がうまくできないなと悩んでいたら、次の日に(吉沢)梨絵さんがSNSで"いろちゃん、こういう発声法があるんだって"と、わざわざその動画を見つけて送ってくださったり、お芝居で困ったら相談させていただいたり。本当に苦しいときには、梨絵さんの前で泣いてしまったこともあったので、心を開ける方がそばにいてくださるのは、とても大きな支えです。今回も困ったときはこの方々がいてくださるというお守りのような存在だなと思っています」

ミュージカル『レイディ・ベス』でベス役に挑む奥田いろは
ミュージカル『レイディ・ベス』でベス役を演じる奥田いろは

――これまでもミュージカルに出演されていますが、ミュージカルに向き合ううえで大切にしているルーティーンやマインドセットはありますか?

「ミュージカルに関しては、まずなんでも吸い取ろうという気持ちが一番かもしれません。私はまだミュージカルでは新参者なので、今はスポンジのように良いものをたくさん吸収して、全部自分のものにしようという気持ちで、毎日お稽古に行っています。絶対に伸びしろしかないと思うので、柔軟性を大事にしながら、謙虚になんでも持って帰ろうと思っています」

――公演期間も長いですし、本番までのコンディションの整え方なども気になります

「体調はもちろんなんですけど、心が崩れると絶対に体にも来てしまうと思うので、毎日、心を健やかに過ごすことがすごく大事だなと感じました。いろんな場面で落ち込むこともあるんですけど、そういうときって何かにかかりやすくなる気がしていて......。だから、例えばうまくいかなかった日があっても、その日はおいしいものを食べて次の日に備えるとか。その日のベストは尽くしているはずとちゃんと自分を肯定してあげて、次に生かすために一回リセットする、ということは心がけています」

――奥田さんにとってのリフレッシュ方法はありますか?

「食べることもそうですし、前回は自転車を漕ぐこともリフレッシュになっていました(笑)。お稽古場では、どうしてもここを直してほしいというところをたくさん言っていただくので、自分の中で全部ダメなんじゃないかと落ち込んでしまうこともあって。でも、自転車を漕ぎながら自分の良かったところをいっぱい言って帰るとか、帰りに行ったことのない銭湯に寄って、おばあちゃんとお話ししていたら元気が出てきたり(笑)。そうやって血の巡りもよくしつつ、気持ちも少し軽くしてから帰る、というリフレッシュをしていました」

――『レイディ・ベス』という作品をどのように届けていきたいですか?

「私自身が作品を観たときに、若いながらに強い信念を持って、流されずにひたむきに立ち向かっていくベスの姿から、たくさんの勇気をもらいました。曲も本当に素敵ですし、その世界観にたっぷり浸っていただきながら、観てくださる方にも少しでも勇気や温かい気持ちを受け取っていただけたら嬉しいなと思います」

――『レイディ・ベス』は、奥田さんにとって2026年のスタートを切る作品にもなります。2026年の目標はありますか?

「まだ具体的な目標は決まっていないんですけど、2025年の始まりに月ごとに目標を立てようと決めて、小さなことでも続けられるように頑張ってきたんです。来年も同じように、毎月いろんな目標を持って、それをちゃんと達成していけたら、きっと素敵な1年になるんじゃないかなと思っていて。なので、自分との約束をちゃんと守るぞというのが、2026年の抱負です!」

ミュージカル『レイディ・ベス』奥田いろは
ミュージカル『レイディ・ベス』奥田いろは

取材・文=川崎龍也 撮影=内田大介
ヘアメイク=高橋稚奈 スタイリスト=菅野 悠

公演情報

ミュージカル『レイディ・ベス』
【東京公演】 2026年2月9日(月)~3月27日(金) 日生劇場
【福岡公演】 2026年4月4日(土)~13日(月) 博多座
【愛知公演】 2026年5月3日(日)~10日(日) 御園座