あの「愛の不時着」が宝塚に!?雪組トップスター・朝美絢がお披露目公演で見せる少しお茶目なリ・ジョンヒョクに注目!
2025.12.16(火)
人気ドラマの舞台化で注目された『愛の不時着』がタカラヅカ・スカイ・ステージにいよいよ登場する。
タカラヅカでも舞台化されると聞いた時は「ついにこの時が来た!」と胸が高鳴ると同時に、あの長編ドラマをどうやって2時間半に収めるのだろう?と心配にもなったものだ。
だが、ドラマの世界観はしっかり守りつつ、タカラヅカ雪組バージョンの『愛の不時着』として無事に着地できていた。出演者もドラマの俳優をなぞるのではなく、自身の持ち味を活かしつつ、役を掘り下げて演じている。「ここは見たかった!」と膝を打ちたくなるシーンはしっかり見せてくれるところに、潤色・演出を担当した中村一徳のドラマへの愛を感じる舞台である。
本作は雪組トップスター朝美絢のプレお披露目公演でもあった。朝美が演じる北朝鮮の軍人リ・ジョンヒョクは温かい人間味に溢れ、ちょっぴりお茶目なところも垣間見える。ドラマとはまた違う朝美らしいジョンヒョクの姿に「朝美絢率いる新生雪組」の始まりを実感した。
韓国の富豪の娘ユン・セリは単なるお嬢様ではない。ビジネスで大成功できる賢さと、不時着した地でも生き抜ける逞しさ、北の人たちにも愛される人懐っこさなど、多面的な魅力を持ち合わせた女性をトップ娘役・夢白あやが伸び伸びと演じてみせる。
本作のもう一組のカップル、ク・スンジュンとソ・ダンとの恋模様も、限られた時間の中で濃密に描かれる。
ク・スンジュンを演じる瀬央ゆりあ(当時専科)が新しい風を感じさせてくれる。一見遊び人に見える男性だが、隠しきれない誠実な持ち味ゆえ「この人ならナンパされても大丈夫そう」と感じさせるク・スンジュンでもあった。ソ・ダンを演じた華純沙那は『双曲線上のカルテ』では可憐なモニカ、『ステップ・バイ・ミー』では姉御肌のジェシカを好演したが、本作ではまた違うイメージのクールビューティーな女性を演じ、その振れ幅に驚かされる。ジョンヒョクの宿敵チョ・チョルガンに挑むのが諏訪さき。彼とジョンヒョクとの因縁は一筋縄ではいかないが、限られた出番の中で凄みも見せつつ「彼がどうしてあんな男にならざるを得なかったのか」をダンスも交えて丁寧に表現してみせる。
ジョンヒョクの部下4人組のユニークな個性とチームワークに胸が熱くなる。一見ぶっきらぼうだが実は愛すべきキャラクターであるピョ・チス(真那春人)、寡黙なイケメンのパク・グァンボム(壮海はるま)、韓国ドラマ愛が止まらないキム・ジュモク(紀城ゆりや)、「セリ姉さん」を慕う姿がいじらしいクム・ウンドン(苑利香輝)。物語の鍵を握る「耳野郎」ことチョン・マンボク(麻斗海伶)も少ない出番ながら存在感がある。
マ・ヨンエ(愛すみれ)率いる北のご婦人方もパワー全開だ。彼女たちやジョンヒョクの部下たちと、南からやってきたセリとの交流もこのドラマの魅力的な部分だけに、タカラヅカ版でもしっかり描かれているのが嬉しい。
『愛の不時着』はコロナ禍の最中、気分が沈みがちな日々に彩りを与えてくれたという意味でも忘れ難いドラマである。思えばその頃からタカラヅカでの上演を切望していたのだった。タカラヅカ・スカイ・ステージで見直したら、夢中になったあの頃の熱い気持ちが再びよみがえりそうだ。そしてまたドラマも見直したくなってしまうかもしれない。
文=中本千晶
放送情報
愛の不時着(’24年雪組・梅田芸術劇場・千秋楽)
放送日時:2025年12月17日(水)00:00~ほか
放送チャンネル:TAKARAZUKA SKY STAGE (スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合があります。
-

世界にも波及?「国宝」現象を引き起こした吉沢亮&横浜流星...朝ドラ「ばけばけ」&大河「べらぼう」にも表れた鮮烈な存在感
提供元:HOMINIS12/7(日) -

Stray Kids、ENHYPENの涙の初受賞も...追悼ムード一色の「MAMA」に連帯感をもたらしたパク・ボゴムやチョウ・ユンファらの言動に滲む、誠実な人間性
提供元:HOMINIS12/6(土) -

豊川悦司が放つ、妖艶さと不気味さ...内に秘める"悪"の表現が秀逸な「松本清張サスペンス わるいやつら」
提供元:HOMINIS12/6(土) -

「ばけばけ」のタエ役でも脚光を浴びる北川景子、親としてのリアルを投影した「ナイトフラワー」での家族を思う壮絶な母親像
提供元:HOMINIS12/6(土) -

沢口靖子が見せる笑顔と切ない横顔のギャップ...同僚として見守る、寺脇康文の優しさにじむ演技も必見「夏樹静子サスペンス 喪失-ある殺意のゆくえ-」
提供元:HOMINIS12/5(金)

