入野自由&潘めぐみ、『DIGIMON BEATBREAK』で深まった関係性 「現場での安心感が本当にすごいです」
2025.12.5(金)
デジモンシリーズの約2年ぶりとなる新作TVアニメ『DIGIMON BEATBREAK』が、2025年10月より放送されている。
物語の主人公は、普通の生活を送っていた少年・天馬トモロウ。ある日、彼が使っていたAIデバイス「サポタマ」から、自分の感情をそのまま映したかのようなデジモン・ゲッコーモンが突然誕生する。そこからトモロウの日常は大きく動き出し、人間とデジモンの新しい未来を探す冒険へと踏み出していく。
トモロウの声を担当するのは、まっすぐな感情表現で幅広い世代に支持される入野自由。そして、トモロウの気持ちから生まれた相棒・ゲッコーモンを演じるのは、豊かな表現力でキャラクターに命を吹き込む潘めぐみ。今回はそんなお2人に、初めてキャラクターとの向き合い方やデジモンシリーズとの出会い、収録現場の空気感まで、じっくりお話をうかがった。
――『DIGIMON BEATBREAK』のストーリーについてはどんな印象を受けましたか?
入野「オーディションの際に企画の説明を受けたのですが、限られた時間の中でもこれまでのデジモンとは明らかに違うなと感じました。デジタル技術と僕たちの生活が密接になった現代性が物語にしっかり反映されていて、今やるデジモンはこうなるのかという新鮮さがありました」
――時代が作品に追いついた感覚もありますよね
入野「そうですね。現実の変化がとにかく早い。かつて"デジタル"は遠い世界、ファンタジーに近い概念でしたが、今はそうではないですよね。数年後にはこうなっていてもおかしくない、そんな現実のスピード感が作品にも表れていると思います。現代社会が抱える問題や構造を丁寧に映し出した作品だと感じました」
潘「人類の英知である"科学"と、理屈では割り切れない"感情"。この2つを正面からぶつけて、どう向き合い、どう共存していくのか。それをデジモンで描いていることに新しさを感じました。タイトルに"BEATBREAK"とあるように、何かを突き破っていく挑戦的な姿勢も魅力的で。監督の世界観もすごく綿密なんです。1話のアフレコのときにお話を伺ったら、こちらがひとつ質問すると、そこから50くらいの情報が返ってくるような(笑)。1話では何気なく見えるシーンにも、今後の物語に深く関わる仕掛けがたくさんあって、本当に考え抜かれた作品だと感じました。しかも今回はサポタマさえ持っていれば誰でもデジモンと出会える。子どもでもお年寄りでも、誰にでも可能性がある世界なんです。そこはこれまでのデジモンとは大きく違う点だなと感じましたね」
――デジモンとの距離が、より"自分ごと"に近づいた気がします
潘「そうですね。これまでは"出会う"という感覚が強かったですけど、今回は自分の感情から生まれる存在なので、より自分と深く結びつく感覚があります。パートナーとしての関係がより強調されている一方で、デジモンが"バグ"として扱われることもある。その価値観がどう変化していくのか、そこも物語の大きなテーマになっていくのではないかと感じました」
――ちなみに、お2人が初めてデジモンに触れたのはいつ頃ですか?
潘「私は『デジタルモンスター』からでした」
入野「僕も同じです。みんな持って遊んでいましたし、ちょうど僕たちの世代が一番デジモンに触れていた年代でした」
――好きなデジモンシリーズや思い入れのある作品はありますか?
入野「やっぱり『デジモンアドベンチャー』ですね。劇場版も含めて一番よく観ていた作品で、当時はすごく憧れていました」
潘「深刻なテーマも描かれていますよね。本作にも通じますが、子どもたちの家庭環境に事情があったり、社会的な問題も忌憚なく描かれたり。小さい頃でも心が震える瞬間がたくさんあって、すごく記憶に残っています」
――お2人が演じられたキャラクターの印象や、演じるうえで意識されたことを教えてください
入野「"主人公"というより、どちらかというとライバルキャラのような雰囲気ですよね。クールで影があって、少しツンとした空気をまとっている少年なんですけど、物語が進むにつれて、むしろヒロイン的とも言えるほど"悲劇性"を抱えているキャラクターだなと感じています。今2クール目を収録しているのですが、彼はどんどん変わっていくんです。変化が大きければ大きいほど、物語が一区切りを迎えるときにどんな姿になっているんだろうと、演じていてとても楽しみになるキャラクターです」
――八神太一や本宮大輔のような情熱的な主人公とはまた違いますよね
入野「そうなんです。これまでのデジモンの主人公は、チームを引っ張って物語を動かしていくタイプでした。でも彼は巻き込まれていくことで旅が始まっていきます。とはいえ、主人公にもいろんなタイプがいますよね。彼の場合は、ゲッコーモンをはじめ多くのキャラクターと出会う中で、少しずつ自分で選んで前に進むようになっていくんです」
――潘さんが演じられたゲッコーモンについてはどんな印象を持ちましたか?
潘「1話でトモロウからゲッコーモンが生まれた瞬間は、彼の感情が最もピークに達した場面だと思うのですが、だからこそ爆発的なエネルギーを持っていて。自由奔放で、感情表現が豊かで、食いしん坊で、わんぱくで......本当に"トモロウから生まれた存在"なのかと感じるほど。最初はトモロウとは対になるようにも見えるかもしれませんが、これまで同様、デジモンとパートナーの関係には似ている部分や互いを補う部分がありますし、時には"憧れ"の気持ちも生まれる。そうした中で、ゲッコーモンは、トモロウの中にある悶々とした感情や葛藤を打ち破る存在なのかなと。劇中でも"合わせ鏡"という表現が出てきますが、ゲッコーモンが動けば動くほど、これがトモロウの本心なのかもしれないと見え方が変わってくるんです。自分勝手に見える行動もありますが、それはトモロウの奥底にある気持ちが反映されている可能性もあるのかなって。初めは敵だと誤解されますけど、根底にはトモロウが大好きという気持ちがあるキャラクターだと思います」
――ゲッコーモンの声も特徴的ですが、どのように作っていったのでしょうか?
潘「基本的に"キャラクターのイメージに自分が寄せていく"というスタイルで作っています」
入野「オーディションのときから今の声の方向性だったんですか?」
潘「はい。オーディションはゲッコーモンのセリフのみだったので、進化後の姿などは全くわからずに臨みました(笑)。ただ、監督からヒーローっぽくしないでくださいという明確な指示があったんです。正義感で動くのではなく、イタズラ心や興味、本能的なまま動いてほしいと。正義のため、というより自分の欲で行動する。その方がゲッコーモンらしいのかなと。その中で、最も作用する要素はトモロウの感情なんです。入野さんが演じるトモロウの心の動きを敏感に受け取れるように、マイク前では意識しています」
――今回はお2人が同じスタジオで収録されているとうかがいました。掛け合いが重要になる作品だと思いますが、一緒に録れることの良さや、お2人の息が合ってきた実感はありますか?
潘「ありますね。お芝居の間は基本的に演出の方が付けてくださっているのですが、自然と生まれる"間"みたいなものもあって、それが楽しいんです。しかも、それを入野さんが全部受け止めて返してくださるので、本当に有難いです」
入野「潘さんは、よく見て、よく聞いてくれるんですよ。僕が『えいっ』と勢いでいった芝居にも合わせてくれる。だからすごくやりやすいです」
潘「いやいや、こちらこそですよ(笑)」
入野「アニメの現場は一瞬で決まるセリフも多いので、マイク前でどんな入り方をしたら掛け合いが成立しやすいか、考える必要があるんです。でも潘さんは、本当に周りをよく見ながら合わせてくれるんです」
――キャラクターの絆に比例して、お2人の関係性も深まってきましたか?
潘「私たちのほうがちょっと先に深まってますよね(笑)。トモロウとゲッコーモンはゆっくりタイプなので」
入野「キャラクターとしては、お互い主張が強いタイプなので、なかなか噛み合わないところも多いんです。そういう意味では僕たちのほうが協調性がありますね(笑)。現場は1話、2話、3話と進むうちに、もともとチームワークは良かったのですが、さらに団結してきた感じがあります。みんな"デジモンが好き""この作品をより良くしたい"という気持ちが強くて、10数話を経てよりまとまりが強くなりました。先日も、デジモンとコラボしたラウンドワンに"行けるメンバーで行こう"ということになって、みんなで楽しんだんです。そういう時間もあって、さらに絆が深まった気がします。最初から雰囲気は良かったですけど、今はもっと良いですね」
潘「本当に最初から居心地が良かったです」
入野「今はもう、スタジオに入ると実家に帰ってきた安心感があるんです。最初の頃は『自分でいいのかな?』とか『イメージと違うと思われたらどうしよう』と不安に思うものですが、今は胸を張って現場にいられるようになってスタッフの皆さんが良い空気を作ってくださっているので、冗談を言い合いながら、この先どうなるんだろうねって話すのが楽しいです」
潘「ラウンドワンのときもそうですが、現場でも入野さんが真ん中にいてくれると、自然とみんなが"ぎゅっ"となれるんです。カラオケの選曲もみんなが盛り上がれる曲ばかりで、無茶してる姿ですら頼もしくて(笑)。入野さんが楽しそうにしていると、じゃあ私たちも歌おう!ってなるんですよ。ついていきたくなるし、お芝居でも頼もしい。現場での安心感が本当にすごいです」
入野「嬉しいですね」
――お話を聞いているだけで、現場の温かさが伝わってきます
潘「本当にあったかいです。"ファミリー"が作品のテーマでもありますけど、その言葉がぴったりな、素敵なファミリーです」
――では最後に、デジモンファンへ向けて、これからの見どころも含めたメッセージをお願いします
入野「『DIGIMON BEATBREAK』は、そのキャッチコピーの"未来をバグらせろ"という言葉が象徴するように、これまでのデジモンとは一味違う、新しい進化を遂げた作品です。ぜひどんなデジモンなのか観ていただきたいです。今の社会は、"人と違うこと"をどこかマイナスに捉えてしまいがちですが、本来は誇るべきことのはず。スマホやメディアを通じて価値観が最適化され、気づかないうちに自分の感情を押し殺して生きてしまう、そんな息苦しさがある時代だと思います。でも『DIGIMON BEATBREAK』には、その"気づいていない息苦しさ"に光を当ててくれる力があるなと思っていて。トモロウとゲッコーモン、そして仲間たちの関わりを通して、自分の"本当の気持ち"を思い出させてくれる物語ですし、ここからさらに熱量の高いドラマが展開していきますので、ぜひ楽しみにしていてください」
潘「今回この作品に関わって、あらためてデジモンとパートナーは切っても切り離せない関係なんだと強く感じました。これまでもパートナー同士の絆は描かれてきましたが、『DIGIMON BEATBREAK』ではさらに踏み込んだ"人間とデジモンの様々な関係性"や"自分と向き合った上で世界とどう向き合っていくか"ということにも光が当てられていると思います。デジモンを利益のために利用しようとする存在もいれば、主人の意思とは裏腹に動かざるを得ないデジモンもいる。トモロウとゲッコーモンの関係にも、すでにその片鱗が描かれていましたが、こうした触れられてこなかった側面にスポットが当たるのは本作ならではだと感じています。この先、キャラクター一人ひとりに深いドラマが待っていますし、必ず心に返ってくるものがあるはずです。ゲッコーモンもちゃんと進化しますので(笑)、ぜひ物語と一緒に歩んでもらえたら嬉しいです」
取材・文=川崎龍也
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