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窪塚洋介と柴咲コウが紡ぎ出した鮮烈なラブストーリー!行定勲×宮藤官九郎による2001年の映画「GO」

2025.11.28(金)

2000年放送のドラマ「池袋ウエストゲートパーク」のキングこと安藤タカシ役で一躍注目を集めた俳優・窪塚洋介。肩の力が抜けた余裕たっぷりな振る舞いと圧倒的な存在感、そしていつまでも少年らしさを失わない笑顔で、瞬く間に若者たちのカリスマとなった彼の人気を決定づけたのが、行定勲監督&宮藤官九郎脚本による2001年の初主演映画「GO」だ。

当時20代の窪塚洋介と柴咲コウが共演したラブストーリー
当時20代の窪塚洋介と柴咲コウが共演したラブストーリー

(C)2001「GO」製作委員会

東京の民族学校に通う在日朝鮮人の少年・杉原(窪塚)。ある日、ハワイ旅行に行きたいという母親(大竹しのぶ)の願いを叶えるために国籍を韓国に移し、南国を満喫してきた父親(山崎努※「崎」は正しくは「立さき」)から、「国籍なんて簡単に変えられる」「広い世界を見ろ。そして自分で決めろ」と告げられる。父の言葉に従い、民族学校を辞め、日本の普通高校へと進学した杉原。しかし、バスケットボール部の試合で暴れたことをきっかけに、彼にけんかを挑んでくる男子生徒が急増してしまう。杉原は、元プロボクサーの父に幼い頃から鍛えられており、その拳でけんかに連勝していた。そんな中、友人・加藤(村田充)の誕生日パーティーが開催されたクラブで、桜井と名乗る美少女(柴咲コウ)に出会う...。

■窪塚洋介と柴咲コウが圧倒的な存在感で描き出す眩いラブストーリー

(C)2001「GO」製作委員会

本作で窪塚が演じるのは、個性的な髪型が特徴の主人公・杉原。タワケ(山本太郎)や元秀(新井浩文)ら、爆発的なエネルギーを持て余す友人たちと悪さをしては、警察に迎えに来た父に、ひどく殴られる日々を繰り返していた。「民族学校始まって以来のバカ」と言われていたものの、知的レベルの高い友人・正一(細山田隆人)からすすめられた古典落語やシェイクスピアをしっかり履修し、自らの血肉にできる知性は持ち合わせていた。そんな杉原を、窪塚は「池袋ウエストゲートパーク」でも見せた余裕のある笑みとリズミカルなセリフ回しによって、カリスマ性のある存在へと引き上げた。

加藤の誕生日パーティーが行われているクラブに足を運ぶものの、三遊亭圓生の落語「紺屋高尾」をヘッドフォンで聞き、マイペースぶりを発揮していた杉原。そんな彼の前に現れたのが、柴咲演じる桜井だった。ゆっくりと階段を降りながら、杉原と桜井の目が合う瞬間、杉原の耳には、「絵のようにきれいだなんて言われようが、とんでもねぇ、絵どころじゃねえ。人間にあんな人があるかと思って」という、高尾太夫の美しさを褒めたたえる圓生の落語が鳴り響く。杉原が目の前の桜井に対して抱いている感情を、落語のセリフが代弁する。ドラマチックなシーンは、柴咲の圧倒的な存在感があってこそ成立する名場面だ。

自分の席の隣に座り、手を重ねてきて、「サイコメトリーって知っている?」と言った桜井は、対象に接触するだけで過去を読み取る能力を発揮したかのように、杉原の苗字やけんかが強いこと、バスケをやっていることを次々と当てる。初対面にも関わらず、杉原のプライベートを暴いていく桜井に誘われ、とある学校の校庭で好きな音楽や映画について語り合った杉原は、すっかり桜井に夢中に。そうなっても仕方ないと思わせるだけの小悪魔的な雰囲気と笑顔で、柴咲は観る者すべてを魅了するのだ。

直木賞に輝いた小説家・金城一紀の半自伝的小説を映画化し、日本アカデミー賞8部門ほか、数々の国内映画賞を総なめにした、今なお色あせないポップでスタイリッシュな青春ドラマ。本作のヒットを機に大ブレイクを果たした窪塚と柴咲の瑞々しい演技に注目しながら、杉原と桜井の恋の行方を見届けてほしい。

文=中村実香

放送情報

GO
放送日時:2025年12月7日(日)16:40~、12月17日(水)14:10~
チャンネル:WOWOWシネマ(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

出演:窪塚洋介 柴咲コウ 山﨑努 山本太郎 新井浩文 細山田隆人 大竹しのぶ 萩原聖人 大杉漣 塩見三省