三浦友和の極限状態での表情に引き込まれる!山口百恵とのラスト共演作「赤い死線」
2025.11.27(木)
正統派二枚目スターとして、映画やドラマで活躍している三浦友和。明るくさわやか、ダンディなルックスでジェントルな役を数多く演じてきた三浦だが、「アウトレイジ」シリーズの冷徹なヤクザなどダーティな役もこなす幅の広さも持ち味だ。
山口百恵の夫として知られる三浦がブレイクしたきっかけが、山口と共演した映画「伊豆の踊子」(1974)だった。三浦の映画デビュー作でもあるこの作品で、三浦は幼い踊り子に恋をする純朴な少年を好演。まだトップアイドル前夜だった山口と、初々しいコンビネーションを見せつけた。映画が公開されると年間興収3位の大ヒットを記録。
それ以降6年にわたって三浦は12本の映画で山口と共演し、ゴールデンコンビとして一時代を築いていった。2人は映画のほかにも1975年の「赤い疑惑」を皮切りにドラマ「赤いシリーズ」でも共演。百恵=友和コンビによる最後の作品が、前・後編からなる「赤い死線」(1980)である。
■三浦は、純真で一本気な青年をふり幅の大きい演技で魅せる
本作で三浦が演じるのは、悪徳実業家の江藤に1千万円をだまし取られた青年・北村明夫。その後江藤は何者かに殺害され、返金を迫って暴力騒ぎを起こした明夫は容疑者として警察に追われることになる。
本作のポイントが、ひと晩の出来事を描いていること。明夫が返済を迫った直後に江藤が殺されたため、明夫は警察の目を逃れ朝までに真犯人を突き止めようと街を奔走する。山口演じる良子と故郷の北海道に戻るため、朝一番の飛行機に乗る約束をしていたのだ。フライト時間までに真犯人を暴けるのか、犯人捜しとタイムリミットのサスペンスの二重構成になっている。
追う明夫と待つ良子という図式の本作では、明夫がドラマを回していく。大映テレビが制作した「赤いシリーズ」は、視聴者の意表を突く大胆不敵な設定やドラマチックな展開が持ち味で、面白さ重視の作りは本作でも健在。メインで活躍する明夫も、怒りに駆られて江藤を殴りつけたほか、開いていた彼の金庫から勝手に1000万円を取り戻したり、深夜にもかかわらず江藤と関わりのある人物の自宅に押し掛けたり、奪った車でパトカーとチェイスを演じるなど、その行動はかなり過激。
純真で一本気な性格のため、三浦も怒りや戸惑い、絶望、希望など感情のふり幅の大きな演技を見せている。アクションは多くはないが、「泥だらけの純情」(1977)のチンピラ青年など荒っぽい役もこなしてきただけに、取っ組み合いのシーンなどきびきびした身のこなしが気持ちよい。
本作の後、三浦は勝目梓原作のハードアクション「獣たちの熱い眠り」(1981)の復讐鬼、小松左京原作のSF大作「さよならジュピター」(1984)では木星調査官などこれまでにない役に挑戦。主演作のほかに相米慎二監督作「台風クラブ」(1985)では無気力な教師をリアルに演じて高い評価を獲得した。本作にはその後の三浦の活躍の片鱗が見てとれる。
なお本作が放映された1980年、三浦と結婚するために山口は芸能界からの引退を発表。「山口百恵引退記念スペシャル」と銘打たれた本作は、2人が共演した最後のドラマになった。その後の三浦と山口を象徴するように、明夫と良子が手に手を取って東京を後にする幕切れも印象的な本作は、「赤いシリーズ」の常連俳優の宇津井健ほか三國連太郎、ジョニー大倉、松原智恵子、小林稔侍ほか錚々たるキャストの共演も見どころだ。そんな本作で、躍動感あふれる若き日の三浦友和に触れてみてほしい。
文=神武団四郎
放送情報
赤い死線
放送日時:2025年12月4日(木)4:00~
放送チャンネル:TBSチャンネル2 名作ドラマ・スポーツ・アニメ(スカパー!)
出演:山口百恵、三浦友和、石立鉄男、高橋昌也、山本學、前田吟、松原智恵子、春川ますみ、アン・ルイス、ジョニー大倉、松村達雄、坂上二郎、小林稔侍、小鹿番、辻シゲル、浅見小四郎、三國連太郎、宇津井健 ほか
※放送スケジュールは変更になる場合があります。
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