『兄を持ち運べるサイズに』──青山姫乃が映画初出演で出会った"もう一人の自分"
2025.11.26(水)
作家・村井理子によるノンフィクションエッセイ「兄の終い」を映画化した『兄を持ち運べるサイズに』が11月28日(金)に公開される。
映画監督・中野量太が5年ぶりにメガホンをとった本作で、映画初出演を果たした青山姫乃。満島ひかり演じる加奈子の娘・満里奈役を通して、家族との距離や本音を見つめ直したという。
HOMINISでは、そんな青山にインタビューを実施。撮影前の気持ちから原作の印象、満里奈役への思いや役作り、満島との撮影エピソード、そしてファンへのメッセージまで赤裸々に語ってもらった。
(C)2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会
――映画初出演ということで、現場に入る前はどんな気持ちでしたか?
「決まった際はまさか私が出演できるとは思っていなかったので、びっくりした反面、初めての映画でどのように進んでいくのか全く想像がつかなかったので、緊張と不安は常にありました。台本を何度も読み返したり、頭の中で満島さんや柴咲(コウ)さん、中野監督やスタッフさんにお会いした時のあいさつのシミュレーションをして、不安要素を取り除いたり、自分を勇気づけたりと撮影までの期間を過ごしていました。
たくさんの場所で撮影をして皆さんとお仕事ができると思うと、最終的には不安や緊張より楽しみの方が大きくなっていました!初めての映画出演だからこそできる事はたくさんある、いろいろな方から教えていただいた事や見て気づいた事をたくさん吸収できる機会だと、早く撮影をしたい思いに変わっていきました。今まで夢中になって取り組んできた(レッスンしてきた)お芝居、監督が選んでいただいたお芝居を全力でやって楽しみたいという思いも強くありました。
撮影がいよいよ始まり、何も分からずカチカチになっていた私に、監督や満島さんが優しく話しかけてくださり、色々なことを教えていただきました。毎日新しい発見がどんどん増えていくのが楽しくて、嬉しくて、目に映る世界がキラキラして見えていたのが印象に残っています」
――実際に原作を読んで、特に心に残ったエピソードはありますか?
「兄のアパートについての描写です。文字を読んでいるだけで、どんどんアパートの様子が頭に浮かんできていて、想像するだけでも息を呑むほどのお部屋でした。あれほど汚れていたらどんな臭いがするのだろうと思い、想像してみましたが想像しようとしてもできず、嗅いだことのない臭いなのだろうと読みながら思っていました。お部屋の様子も想像していましたが、そこでお父さんと良ちゃんは毎日どのように過ごしていたのだろうと考えていました。きっとお父さんはタバコを吸い、お酒を飲みながらテレビを見ていて、良ちゃんは、本を読んでいたのだろうかと目を瞑りながら頭の中でシーンを作っていました。
撮影でもアパートを使う期間があったのでどんなお部屋なのだろうとドキドキしていましたが、想像よりもはるかに汚れていて満里奈はすごく嫌なお顔をするだろうなーと思いながら見ていたのを思い出します。実際、満里奈はお父さんが亡くなった現場は見ておらず、片付けが終わった後の部屋しか見ていないんです。後から考えると満里奈は見なくてよかったのではないかと思っています」
――満里奈に共感した部分や、自分自身と重なる部分はありましたか?
「満里奈は感情がとっても豊かでよく表情に出るんです。マナーに厳しいところや、ぬいぐるみよりもマリモのキーホルダーをカバンにつけているところ、ずる賢いところ(亀吉を自分で洗わずに、大家さんに洗わせていたところなど)全てがどこか私と似ている気がします。
オーディションを受ける前、原作を読んだ時から似ていると感じていました。似ている部分だけではなくて満里奈が羨ましいと感じた部分もあります。満里奈のように素直にわんわん泣いたり、本音を人にまっすぐにぶつけられたりできたらいいなと思う時もたくさんありました。自分ではできないことを満里奈だったらできると思い、普段の私だったら恥ずかしくなってしまう事を満里奈で堂々とできた事が嬉しく、満里奈のおかげでこんな私も存在するんだと気づかされたと感謝しています。
共感した事もあります。満里奈は自分で決めてお父さんとのお別れを区切っていました。満里奈はお父さんに『私は大丈夫だから見てて。お母さんは私が支える。』という思いがあり、お父さんを思い出すと泣いちゃうから、最後はアパートのお部屋にはいかず、しっかりした成長した姿を見せたいという満里奈の思いがあったのではないかと思います。私も重なる部分があり、素直に甘えられないけど心の中で約束を決めて我慢する。少し意地が見えるけれど、強く大人になっていく...そんなところに演じていて共感していました」
(C)2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会
――中野監督との話し合いで「素のままの中学生らしさ」を意識されたとのことですが、具体的にどんな演技や表情を大切にして演じましたか?
「満里奈が私と似ている部分が多かったので、私が満里奈に羨ましいと思う部分も含めて、表情を表に出して、声を張ることを意識し、とにかくやりたいことをやるということを目標にして撮影に挑みました。自分の感情に素直で、すぐに顔や口に出てしまう...そんな満里奈がお母さんを支えるお姉ちゃんのような関係というのが好きだったので、監督がおっしゃった『素のままの中学生らしさ』は中学生らしく明るく前向きで少しずる賢い。だけど、マナーに厳しくて、家族を思う気持ちは人一倍強いという人物だと想像して決めました。満里奈は意外なところでズバッという人だと思っていて、普段の私だったら絶対にやらないことをやってくれる満里奈を演じるのは少し開放感があったり、嬉しかったりしました。
余談ですが、出演が決まって、最初に監督とお会いした時に言われた『素のまま』を聞いた時に、自分の素をあまり知らないことに気づき悩んでいましたが、お母さんやお姉ちゃん、友達に聞いて私の意外なところを発見できたこともありました」
――満島ひかりさんとの親子役を通して、特に印象的だったシーンはありますか?
「児童養護施設で良ちゃんとお話をする時に、お母さんの手を満里奈がぎゅっと握るところが1番印象に残っています。満里奈がお母さんを支えるという親子関係がよく見えるシーンだったので緊張しました。
カメラが回る前に満里奈がお母さんを支えなきゃと強く思い、手を両手でしっかり包むように握ったのを覚えています。そのシーンの撮影までにお母さんとハグをしたり何気ない会話をしたり、一緒にご飯を食べに行ったり、たくさん笑ってきていたので、自分でもびっくりするくらい満島さんがお母さんだという認識が強くなっていました。現場にお母さんがいないとうまくいかなかったり、安心できなくなることもよくありました。それくらい満里奈として存在できていることにも嬉しく感じていました。
オーディションの際は満島さんがお母さん役だとは知らず、決まって初めて知ったので、テレビの中で見ていた方とこんなに近い関係性で共演させていただけるなんて!!と衝撃的でした。今回お芝居のお仕事が初めてで、お母さんがもう1人になる経験もなかったので、満島さんのことをなんてお呼びすればいいのかと悩んでいましたが、満里奈のお母さんだから"ママ"と素直に呼んでみようと思い、普段から"ママ"とお呼びするようになりました。最初はぎこちない会話でしたが、いつのまにか"ママ"と当たり前のように呼んでいて、そういえば満島さんとお呼びした事がないという事に気づいたのはつい最近です」
――最後に、本作を楽しみにしているファンの方々へメッセージをお願いいたします
「この作品はぜひ感謝している人や家族で見ていただきたいです。家族だからこそ普段言えないこと、恥ずかしくて素直に表せない感謝や本音がそれぞれ皆さんあると思います。だからこの作品を通して当たり前のようにそばにいる家族や支えてくれる人の大切さ、今しか言えない伝えたいことを伝えられるような時間ができればいいなと思っています。
私は、家族とは本音を必ずしも言い合える中ではないと思うけれど、いつもそばにいてくれる、私を守ってくれる温かくて柔らかいお家のようなものだと思っています。ふと思い返すといつもの感謝の気持ちや過去に思っていたこと、今思っている事ことをあまり家族に伝えられていない事に気づきました。言わない選択肢もあるけれど、今伝えられずに未来で後悔する事が1番悔しくて悲しい事だと思うので、ぜひ皆さんも勇気を出して伝えてください。私も普段からまっすぐな気持ちを伝えられるようになりたいと思っています。新たな家族をやり直す4日間。クスッと笑えて涙が自然に出てくるそんなほっこりする映画です。ぜひ家族と大切な人と、感謝している人と観ていただけると嬉しいです」
(C)2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会
文=HOMINIS編集部
公開情報
映画『兄を持ち運べるサイズに』
2025年11月28日(金)公開
原作:村井理子「兄の終い」(CEメディアハウス刊)
監督・脚本:中野量太
出演:柴咲コウ、オダギリジョー、満島ひかり、青山姫乃、味元耀大ほか
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
(C)2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会
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