作品の中で輝き続ける中山美穂の美しさ...キム・ジェウクと儚い愛を体現した最後の主演映画「蝶の眠り」
2025.11.23(日)
昨年12月6日に急逝した中山美穂。ミリオンセラーとなった「世界中の誰よりきっと」(1992年)や「ただ泣きたくなるの」(1994年)など数々の名曲を歌い紡いだ歌手としてはもちろん、俳優としても今なお忘れがたい名作を残した。
「Love Letter」(1995年)は、彼女の代表作の一つとして知られる。一人二役を演じた中山はブルーリボン賞をはじめとする多くの主演女優賞を受賞。今年4月には公開30周年を記念して4Kリマスターが劇場公開され、好評を博した。
この「Love Letter」と同じ今年4月にリバイバル上映(5月より全国リバイバル上映)されたのが、WOWOWオンデマンドにて配信されている中山の最後の主演映画「蝶の眠り」(2018年)だ。リバイバル上映の際には監督を務めたチョン・ジェウンや共演のキム・ジェウクによる舞台挨拶も行なわれ、ファンとともに彼女を悼んだ。
(C)2017 SIGLO,KING RECORDS,ZOA FILMS
「蝶の眠り」で中山が演じたのは、売れっ子の女流小説家・松村涼子。50代でありながらも美しく、若い読者にも根強いファンを持つ彼女は、作家として成功し、満ち足りた生活を送っていた。しかし、有効な治療法がなく発症して3年ほどで最悪死に至るという難病、遺伝性アルツハイマーに侵されていることを知る。
人生の終焉に向き合うことを余儀なくされた彼女は、死を迎える前に何か成し遂げようと、大学院での特別講師の仕事を引き受ける。そして、大学近くの居酒屋で韓国人留学生のチャネと出会う。なくした万年筆を探して届けてくれた彼の誠実さに好感を持った涼子は、遺作となるかもしれない新作の執筆活動を手伝ってもらうことにする。
(C)2017 SIGLO,KING RECORDS,ZOA FILMS
涼子は一人で身を立て、立派に暮らしている強い女性だ。落ち着いた大人の立ち居振る舞い、チャネに手伝いを頼む強引さも魅力的に映る。小説を読み上げる声音にすら艶やかな色気を感じさせる。原稿を書き進める真剣な瞳、愛犬・トンボに向ける慈愛に満ちた微笑み、物思いに耽る気怠げな表情...。
自分の尊厳を守りながら記憶を残そうと、懸命に生きようともがく姿も美しい。病気が進行するにつれて次第に弱さや脆さ、不安定な心が剥き出しになっていくが、その変化と儚さを中山が繊細に体現した。
また、チャネを演じた人気俳優のジェウクは、「コーヒープリンス1号店」(2007年)でブレイクし、日本でも高い人気を誇る。本作でも高い演技力で複雑な心情を日本語で自然に表現。役さながらに中山の芝居を丁寧に受け止め、涼子を支えながら直向きな愛を注ぐ青年を好演した。
大切な人に残したい記憶とは何だろうか。遺伝性アルツハイマーに侵され、恐怖の中で生き抜くヒロインを中山が熱演した本作。純粋な愛が切なく映し出される。作品の中で輝き続ける美しい人を、目に焼き付けてほしい。
文=中川菜都美
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