主演・本島純政をはじめ、「卒業」と「旅立ち」をテーマに俳優陣が躍動!ユニークで見ごたえ十分なVシネクスト作品「仮面ライダーガッチャード GRADUATIONS」
2025.11.22(土)
2023年から2024年にかけて放送された「仮面ライダーガッチャード」は、令和の仮面ライダーとしては5作目にあたり、「仮面ライダーフォーゼ」以来となる学園生活を描いている。錬金術によって生み出された101体の人工生命体ケミーを軸にした設定もユニークだった。高校生で錬金術師見習いの主人公・一ノ瀬宝太郎/仮面ライダーガッチャードを演じたのは、本作が初主演となった本島純政。当時は芸能界デビューしたての18歳でフレッシュな魅力を発揮した。当初こそ演技に初々しさがあり、経験不足は否めなかったが、回を重ねる中で上達してすっかり役を自分のものにしていたという印象だ。
今回は、テレビシリーズの続編として作られたVシネクスト作品「仮面ライダーガッチャード GRADUATIONS」をご紹介したい。本作は2025年2月に期間限定で上演され、同年6月にBlu-rayとDVDが販売された。短編作品「ホッパー1のはるやすみ」との同時上映となっている。
■タイムループの謎に気づいた黒鋼スパナを中心に仲間たちが戦いに挑む
若き錬金術師たちが、さまざまな困難にもめげずに未来へと向かう姿を描いた「仮面ライダーガッチャード」。激しい戦いの日々は終わりを告げたが、彼らが歩みを止めることはなかった。高校生活や錬金アカデミーでの思い出を抱き、一ノ瀬宝太郎/仮面ライダーガッチャード(本島)、九堂りんね/仮面ライダーマジェード(松本麗世)、加治木涼(加部亜門)たちは卒業式の日を迎える。宝太郎の夢は、変わらず大物錬金術師になること。銀杏蓮華(安倍乙)や鶴原錆丸/仮面ライダードレッド(富園力也)ら錬金アカデミーの仲間も次なるステージへ向かうはずだった。ところが、卒業式の当日に同じ時間が何度も繰り返されるタイムループ現象が起こってしまう。その異常事態に唯一気づいた、錬金アカデミーの卒業生・黒鋼スパナ/ヴァルバラド(藤林泰也)は、タイムループの原因を探ろうとする...。
仲間たちを巻き込みながら、スパナはループの真相に近づいていく。特撮作品らしく、強敵の出現や戦闘シーンの見せ場ももちろんあるが、本作には"卒業"と"変化"を受け入れるための物語というテーマが設定され、若者たちの旅立ちの物語にもなっている点が特徴的だ。タイムループというSF要素を交えた構成も面白いが、仲間や過去の記憶、未来への想いが交錯する複雑な物語であり、実質的なシリーズの"最終回"になっていることに注目したい。テレビシリーズでは「ケミーを回収し、怪人マルガムを倒す」というミッション形式の展開が中心。錬金術に加えて「カード」というアイテムを核として、複数の仮面ライダーが登場してバトルが展開する特撮らしい要素が満載だった。
(C)2025 石森プロ・ADK EM・バンダイ・東映ビデオ・東映 (C)2023 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映
その点で本作は、タイトルに「GRADUATIONS」と冠されている通り、「卒業」をテーマとして、登場人物たちの心情や成長にフォーカスしている。卒業式で泣いてしまうのは、同級生たちと離れるのが悲しいとか、学校生活が終わってしまうのが寂しいという感情があるからだろう。本作においても、スパナに「仲間と離れたくない」「この瞬間を終わらせたくない」という心情があることが示唆され、それがタイムループという形で表れたという捉え方もできるような気がする。主人公は宝太郎ではあるが、基本的に黒鋼スパナの視点でストーリーが展開していくこともポイントだ。スパナが実質的な主役となっている点でも、"攻めた"作品と言える。
ちなみに、短編の「ホッパー1のはるやすみ」は、テレビシリーズ後の世界。主人公の宝太郎が錬成して生まれた「新しい地球」を舞台に、ケミーたちの楽しい日常を描いている。主役格のケミー "ホッパー1" が、宝太郎と久しぶりに遊びたくなり、他のケミーたちも賛同する。ところが、地球につながる「扉」が開かなくなってしまい、ケミーたちは知恵を出し合ってその原因を探るという、ほのぼのした内容だ。
■本島をはじめ、若いキャストたち自身の"成長"も感じ取れる
本作は、「卒業」「旅立ち」「変化」というテーマに正面から向き合った点に好感が持てるし、視聴者にもその点が評価された。黒鋼スパナを中心にキャラクターの変化と成長をしっかり描いたドラマ性にも見ごたえがあった。テレビシリーズの世界観を壊すことなく、本編の正統的な続編として描いた点もファンには好意的に迎えられたようだ。
そして、黒鋼スパナ/仮面ライダーヴァルバラドの新たな強化フォームは、ダイオーニGTとギガントライナーGTのライドケミーカードで変身する仮面ライダーヴァルバラドGT。両腕の機関車の造形が特徴的で、特撮ファンには一見の価値ありだ。
また、錬金術の世界で「破壊と再生」など相反するものの統一の象徴とされていた"ウロボロス"の名を持つ最強の敵ウロボロスが登場するのも見逃せない。声を担当するのは、声優の杉田智和。「銀魂」の坂田銀時役や「涼宮ハルヒの憂鬱」のキョン役などでアニメファンにはおなじみだが、特撮作品でも数多く活躍している。仮面ライダーシリーズでは、「仮面ライダージオウ」の仮面ライダーギンガ、「仮面ライダーキバ」のキバットバットIII世の声も担当。「仮面ライダーガッチャード」でもケミーの一種であるテンフォートレス役で声の出演をしている。
本島をはじめ、当時15歳だった松本など若いキャストが多かった本作は、俳優たちも作品を通じて「成長」していった様子が伝わってきた。1年間にわったテレビシリーズを経て、実質的な最終回だった本作は、キャストたち自身にとっても「旅立ち」となった作品のはずである。長期にわたって参加してきた作品であるほど、撮影が終わってしまう寂寥感が沸き上がるだろう。若い彼らであれば猶更だ。おそらく、そんな思いを込めながら彼らが撮影に臨んだであろうことも想像できる。「仮面ライダーガッチャード」の実質的なファイナルとして、そんな感慨深い作品でもあり、視聴者は我が子の卒業式を見守るような感覚を味わえるかもしれない。本編を観た人には、いっそう心に響く派生作品としておすすめしたいが、逆にテレビシリーズを観たのに、本作を観ないのはあまりにも勿体ない一本と言えるだろう。
文=渡辺敏樹
放送情報
仮面ライダーガッチャード GRADUATIONS/ホッパー1のはるやすみ
放送日時:2025年12月7日(日)11:00~
放送チャンネル:東映チャンネル(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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