松山ケンイチと小雪が本格アクションで白土三平の伝説的漫画を映画化！孤高の主人公の決死の闘いを描く痛快娯楽時代劇「カムイ外伝」

2025.10.30(木)

2006年公開の映画「DEATH NOTE デスノート」でL役に抜擢されたことで注目を集め、その後は大河ドラマ「平清盛」で主演を果たすなど、俳優として確固たるポジションを獲得した松山ケンイチ。そんな松山が初の本格アクションに挑戦し、後に結婚する小雪と共演した主演映画がアクション時代劇「カムイ外伝」だ。

原作は1965年より「週刊サンデー」で連載され、その後、アニメ化もされた白土三平による伝説の人気漫画「カムイ伝」。その中のスピンオフ的な立ち位置にある「スガルの島」を、「血と骨」の崔洋一監督が実写映画化したのが本作。脚本は、崔と宮藤官九郎が共同で手掛けた。

松山が演じているのは、貧しい生い立ちゆえに幼少期から迫害されて育ち、忍者から"抜け忍"となって追われ続けながらサバイブしていく青年・カムイ。同じく抜け忍となったスガルを小雪が演じた。CGやワイヤーを用いた人間離れした技も満載の本作に出演するに当たり、松山も小雪も訓練を積んで臨んだものの、灼熱の過酷なロケで松山は怪我を負い、一時は撮影を中断した経緯も。そんな切羽詰まった状況に置かれたことも影響したのか、孤独な瞳を持つカムイを松山が見事に演じ切っている。

脇を支えるキャストも佐藤浩市、小林薫、伊藤英明などの実力派揃い。その出自による運命に抗い続けるカムイとスガルの生きざまを映し出した松山と小雪に注目したい。

■"宿命の2人"を演じた松山と小雪が熱演

漫画をバックに流れるナレーションの後、映し出されるのは抜け忍となったスガルが命賭けで忍と戦うシーン。小雪も松山同様、本格アクションは初めてだったというが、小雪の全身から放たれる迫力と、自身で挑んだワイヤーアクションに圧倒される。当時のカムイはまだ少年で、「忍を抜けることは死ぬことだ。覚えておけ。カムイ」と釘を刺されるが、やがて厳しい掟に縛られる忍を脱け、自由を追い求め、逃走の旅に出る。その途中で出会ったのが藩主・水谷軍兵衛(佐藤)の逆鱗に触れた男・半兵衛（小林）。半兵衛の奇妙な行動に血が騒いだカムイは半兵衛を助け、荒れ狂う海から浜辺の村に打ち上げられる。そこで漁師の妻・お鹿として子供たちを育て、暮らしていたのがスガルだった。カムイに少年時代の面影を見てとったシズルは敵と認識し、カムイの息の根を止めようとする。運命の再会を果たすも猜疑心の塊になっているスガルに、好きにしろと背中を向けるカムイは命知らずの男。スガルの娘・サヤカ(大後寿々花)はカムイに想いを寄せるようになるのだが、クールで、どこか寂しげな空気を纏っている青年・カムイを松山は佇まいで魅せている。長い前髪から覗く鋭い視線と殺気に松山の気迫が滲む。

■復讐に燃えるカムイを演じた松山の対決シーンも見どころ

小雪が攻めの抜け忍から、家庭を持ち、大切なものに身体を張る母親に変化していく演技を見せるのに対して、松山は漁師の半兵衛たちと触れ合うことによって生まれた感情を怒りに変換させる演技を見せる。「渡衆」を名乗る大型船を率いる不動(伊藤)たちが平和な島にやってきたことをきっかけに、カムイの怒りに火がつくシーンでは、好んで人を殺したりしないカムイの本気が炸裂。自らが編み出した「変異抜刀霞切り」で緊迫感溢れる戦いに挑む。殺陣はもちろん、全力疾走する場面を含めて、松山がこんなに暴れ回る映画はほかにないのではないだろうか。全身全霊でカムイを演じたその一挙一動が身逃せないものとなっている。

文＝山本弘子

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